脱原発か推進か  エネルギー基本計画へ意見を 

 エネルギー基本計画へのパブリックコメントが募集されている。締め切りは1月6日。内容はすでに報道されているように、民主党政権による「原発ゼロ」方針を転換し、原発を推進する内容だ。福島原発事故を体験した現在でもさらに進めるのかが問われている。

 エネルギー基本計画は、『原子力、火力、自然エネルギーを中長期的にどれぐらいの割合にするかを盛り込んだ計画で、数年おきに見直される。政府方針として閣議決定し、自治体や電力会社は計画実現のために協力する「責務」を負う』( 2013-03-16 朝日新聞 朝刊 1経済より)というもの。責務はエネルギー政策基本法で定められている。
 
 パブコメが求められているのは「エネルギー基本計画に対する意見」で、この中に、『運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源である』と原子力を位置づけている。
 さらに『世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所について再稼動を進める。』ともある。

 原子力を重要視している書き方だが、「運転時コスト」「運転時には」とあえて書かれているように、イニシャルコストや立地への交付金、事故賠償、10万年先までの最終処分などのコストを入れていない書き方となっていた。もはや原発が低コスト電源ではないと指摘されているのに、まだ低コストだとしているのだろうか。運転時だけのコストだけで判断すべきではないのだ。

 一方で再生化のエネルギーについては、『今後3年程度、再生可能エネルギーの導入を最大限加速』とは書かれているが、『現在普及の壁となっているコストの問題について、低コスト化に向けた技術開発等を実施することで、現在の半分程度までコストを低減する。』(風力)とあり、技術開発ができなければどうなるかの疑問が残る記載がある。
 また、再生可能エネルギーを普及させる最も大きな原動力となっている固定価格買取制度について、『エネルギー基本計画改定に伴いその在り方を総合的に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じる』とあり、なくすのか? の疑問を持つ書き方もあった。「検討する」などの表現は、実はやりたくないという役所用語だったりすることを考えるとこの書き方の裏側には何の意図があるのではないだろうか。
 原発依存度について、原子力の政策の方向性の項目に『省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる」とあったが、可能な範囲が分からない。1wでも少なくすれば、これが可能な範囲だったとならないか。どうしても、他の意図を考えてしまう計画案だ。

 計画には、エネルギー政策の基本的視点(3E+S)として『安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、最小の経済負担(Economic Efficiency)で実現することである。あわせて、エネルギー供給に伴って発生する環境負荷(Environment)を可能な限り抑制するよう、最大限の取組を行うことが重要である。』と記している。
 本当の最小の経済負担、事故を起こした時の環境負荷を考えれば原子力は選択にならないのに重要としているのは矛盾だろう。

 これらは私が気になったところ。ぜひ、お読みになり意見をだしてほしい。
 今のままでは、原発の再稼働からフル稼働へ、そして、何事もなかったように原発が息を吹き返していくように思えてならない。多数の意見を受け入れるかは不透明だが、言わないよりかはいい。

 日本商工会議所は、12月26日に『全体として、我々の求める責任ある国の政策の方向性を明示しているものと考える』として評価し『安全が確認された原子力発電の早急な再稼働と、継続的な電気料金の大幅上昇につながる再生可能エネルギー固定価格買取制度の早急かつ抜本的な見直しが必要』と指摘している意見を公表した。このような意見と市民意見をどのように反映していくのかも注目したい。
 

【参考】
新しい「エネルギー基本計画」策定に向けた御意見の募集について