保育があれば仕事を続けたか? 子育てニーズ調査から(1) 

 子育て世代を対象にしたニーズ調査が各市町村で行われているが、武蔵野市が実施した調査結果の速報が、12月12日に開催された武蔵野市子どもプラン推進地域協議会に示された。クロス集計などは今後になるが、この速報だけを見ても、保育へのニーズがまだまだあることが分かる。



■ニーズ調査とは

 ニーズ調査は、平成24年に成立した「子ども・子育て関連3法」(※)により市町村へ子ども・子育て支援事業計画を策定することが定められており、この計画の元になる調査として行われている。調査から「幼児教育」「保育」、「地域の子育て支援」などの事業量の見込みやどのような事業を行うかなどを検討し、平成27年度より全国で始まる「子ども・子育て支援新制度」(新システムなどとも呼ばれる)に反映させることが目的。いわば、27年から始まる制度への基礎調査だ。
新制度は、子育ての課題解決を目指しており、「質の高い幼児期の学校教育・保育を総合的に提供」「子育ての相談や一時預かりの場を増やすなど、地域の子育てを一層充実」「待機児童の解消のため、保育の受入れ人数を増やす」などを行うとしており、消費税の増税分が財源だ。

 また、子ども・子育て支援法第77条で、子ども・子育て支援について「施策の総合的かつ計画的な推進に関し必要な事項及び当該施策の実施状況を調査審議すること」を目的に、「審議会その他の合議制の機関を置くよう努めるものとする」とされている。必ずしも設置しなくともよく、なるべく設置するように求めているのだが、武蔵野市では、以前から設置されていた「子どもプラン推進地域協議会」をこの審議会としている。そのため、この会にニーズ調査が示されたものだ。
 調査内容は、国が作成した内容に市独自の項目を加え、未就学児童の保護者対象、小学生の保護者対象として行われた(※2)。

 未就学児童保護者への調査票送付件数は、1200件。回答数は652件(回答率=54.3%)
 小学生保護者への調査票送付数は、1200件。回答数は650件(回答率=54.2%)

 以上は基礎的なお話。前段がなくなり申し訳ないのだが、調査を整理する意味でまとめてみた。

annketo■保育サービスがあれば仕事を続けたか

 調査項目はたくさんありどれもが興味深いのだが、まず注目したのは 未就学児童保護者への調査項目にあった「仕事と家庭の両立を支援する保育サービスや環境が整っていたら、就労を継続しましたか」の問いだ(画像参照)。

 就職していたが子どもを出産したことで離職した人、280人に対して保育サービスや環境が整っていれば、就労を継続していたかを聞いている。

 回答のうち、「子育てや家事に専念したいのでやめていた」の回答数は68。他は保育サービスや職場環境、家族の賛同があれば続けていたと回答しており、75%の人が可能であれば働きたいと考えていることになる。潜在的なニーズがかなり高いことが分かる。

 ただし、解答は一項目だけとしているが、総解答数を合わせると280の分母を超えてしまうので、おそらくは複数回答をしていると考えられる。数字の精査は今後になると思うが、参考になる数字だ。

定員■希望者全員の保育サービス

 保育園の待機児で特に問題になるのは、幼稚園の対象年齢ではないことや保育園での定員数が少ないため待機児数の大半を占める0~2歳児を対象とする事業だろう。
 武蔵野市のこの年代の児童の総人口は平成25年で3456人(保育概要2013/年齢別人口よりより)。この人数に対して、0~2歳児を対象とした市内保育施設児童定員は、平成25年度で921人(画像・24年度決算特別委員会資料より)だ。荒っぽい計算だが、この3456人から924人を引いた2534人の75%は、約1900人。25年4月の待機児数181人よりはるかに多く、市が考えている300人の保育定員数増では、到底、対応できない数字になってしまう。

 そして、待機児ゼロを実現しようとするのであれば、この数字までもクリアしなくてはならないのか、どこまで整備しなくてはならないのか、税の支出はどこまでが適切なのかなど、さまざまな課題が浮き上がらせている数字ともなる。

 もちろん、保育サービス(認可保育園からさまざまな小規模保育をすべて含めたもの)が必要不可欠な保護者とあれば使いたいという保護者、毎日必要な保護者と週に1,2回でいいという保護者など、その必要度はかなり違う。ニーズに対応するには、保育園でなくてはならないのかを含めて、どのような事業内容がいいのか。どこまでにニーズに対応すべきかが今後の大きな課題となりそうだ。そのさい、頭の中に入れておくべき数字だ。

 今回は速報。今後、市の分析や考え方が今後、明らかになるだろう。議会としても考えなくてはならない。

※1「子ども・子育て支援法」「認定こども園法の一部改正法」「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の三つを指す
※2 武蔵野市では、中学生、高校生を対象にしたアンケートも25年9月に行っている。会議にはこの速報も示されていた

【参考】
内閣府 リーフレット おしえて!子ども・子育て支援新制度(PDF)

武蔵野市 第三期子どもプラン推進地域協議会 (会議録で資料などが公開されている。今回のアンケートは、12月23日現在でまだ公開されていない)