武蔵野市長選を終えて

 10月6日に投開票があった武蔵野市長選挙は現職の邑上(むらかみ)守正氏が再選され3期目の市政を担うことになった。投票率は41.29%と過去最低だったが、票差を見れば、これまでの二期8年の実績が正当に評価された結果だったのだろう。
 今回の得票から考えられることをいくつか記してみたい。

 開票結果は、邑上氏=2万5573票、木崎氏=1万4203票、深田氏=7164票。

 投票総数への得票率をみると、邑上氏=約54%。木﨑氏=約30%。深田氏=約15%。事前の感覚では、木崎氏と邑上氏の接戦になると思っていたが、ふたを開けてみれば邑上氏の圧勝だった。

 この結果は別として、選挙を振り返ってみると、今回の市長選挙は大きな争点もないことから、固定票をどれだけ固められるかがポイントだったと思う。その点では、市議会の市議が真っ二つになり邑上氏と木﨑氏を支援したことから、誰も支援しない深田氏がどちらの票を獲るかで勝負は決まると思われていた。この視点で今回の選挙を考えてみると二通りが推測できる。

 まず前回の市長選での票で見てみる視点だ。
 木﨑氏は、前回(平成21年)の市長選での自民党系候補(公明党と市議会会派の市民クラブが支援)の1万4567票とほぼ同じ票数。6月にあった都議会議員選挙で得た自民党候補の2万2261票は得られなかった。自民党ブームによる票は乗らなかったことになり、自民党の固定票のみを得たことになる。
 前回の邑上氏の得票数は、3万3668票。今回の2万5573票で8095票を減らしているが、これが深田氏へ流れたのだろうか。

 もう一つは、今回の市議補選の数字での視点だ。

 市長選と同日程で市議会議員補欠選挙が行われたが、こちらでは、自民党公認と共産党公認の小川氏、民主推薦の鬼頭氏の3人の候補が立候補し、自民党公認の高野氏が当選している。高野氏の得票数は、1万8949票と市長候補よりも多い。民主推薦の鬼頭氏の1万6001票と共産公認の小川氏の1万0852票数を足すと2万6853票となり、ほぼ邑上票と同じになる。この数字を見ると、民主票と共産党票がそのまま邑上票になったことになり、自民票を深田氏が奪ったとみることもできる。

 はたしてどちらだろうか。
 これらは。数字から見た結果論の憶測に過ぎない。どのような理由で投票したかは有権者それぞれに聞かないと分からないので、あくまでも推測の範囲だ。

 この結果論とは別に、今回の市長選挙で感じたのは、政策論争にはなっていなかったことだ。邑上氏の対抗陣営からは批判ばかりで、車での宣伝も名前の連呼ばかり。政策にしても具体性がなく辟易したとの意見を多くの人から聞いた。
 特に木﨑氏の場合は、木崎氏の選挙ではなく、前市長の選挙になっているようにも思えてしまった。純粋に武蔵野市の将来を描くマニフェストを示して若い市長候補として戦われると危ないなと思っていたが、結局、今までと同じパターンになったように思う。前市長が前面に出てきたことで、逆に力が出てきた邑上陣営の人は少なくなかったのだ。

 深田氏は、実際の選対がどのような戦略を持っていたのか分からなかった。事前に配布されていたチラシにはずいぶんとお金がかかっているなぁと思ったが、実際の選挙選になると法定ビラも満足に配ることもできなかったようで、公職選挙法のことも含めて、基本的なことができていたのかと思った。途中で失速していたように思えていた。

 結局、細かな課題はあったとしても、大きな失政をせず、着実に市政を進めてきたこと。批判に対しても反論をしてきたこと。何よりも現職の強みを活かしたことがこの結果ではなかったかと思う。そして、武蔵野市民の判断に敬意を表したい。

 いずれにせよ、選挙に勝つことがゴールではない。選挙で約束をしたことを実現するためにスタートラインにたったにすぎない。今後は、邑上氏が選挙で約束したことのチェックとどのように具体化するかの政策論争に議会として対峙していきたい。

【参考】
平成25年10月6日執行 武蔵野市長選挙・武蔵野市議会議員補欠選挙 投・開票速報