武蔵野市長選挙公開討論会 気になる論点は

 9月29日に告示される武蔵野市長選挙を前に、立候補予定者による公開討論会が開催された(主催:武蔵野青年会議所)。これまでの公開討論会に比べると、論点を明確にしようとの努力が伺われ、市長選挙へ参考になる公開討論会だったと思う。公平性を考えると今回以上は難しいのかもしれないが、できれば、もっと深堀りして欲しかったと思った。

 さて、会場で私が聞いていた範囲では、大きな争点はない市長選に思た。しかし、各候補の考えにはいくつか異なっている点もあった。候補が他の候補に質問できる時間もあったので、私が注目したいくつかの論点を記したい。



 討論会に参加したのは、邑上守正氏(現市長)、深田貴美子氏(現市議)、木崎剛氏(現市議)の三名。討論会の様子はネットで公開されているのでご参照を。当日、会場で配布された資料に概要は書かれていたので、ここに書かれていないことについて、いくつか書いてみる。

■待機児対策

 待機児対策は行う。保育園の増設が必要との考えについては三者とも同じだった。しかし、木崎氏は、「保育園は必要だが、家庭で子育てが最良だと考えている人がほとんど。その思いをどうのように実現するか、国や都と連携していきたい」と発言し、「国や都と連携して12か月の育児休暇が取れないか、社会全体で子育て支援を」と主張していた。
 ようは12か月までは家庭で子育てをすべきとの主張と私は思った。木﨑氏が所属する会派では、これまでに保育園への費用が高すぎる、幼稚園支援をもっとすべきと主張する議員がいることを考えれば、家庭での子育て第一なのかと思った。それができればいいが、できない人が少なくないことはどう考えるのだろうと思う。

 深田氏は、少子高齢化が進む武蔵野市を考えれば、働く子育て世帯を誘導することが必要で、「待機児ゼロを目指したい」とし、「子ども協会による一時預かりサボーターズを養成し、地域雇用の創出へとつなげたい」との具体策を示していた。しかし、EYFS (The Early Years Foundation Stage=誕生から5歳までの子どもの発連と学び・ケアの基準)について話し始めると、何を言っているのか分からくなってしまった。議会でも同じだが、着眼点と調査はすごいと思うが、横文字を並べて話し始めると、何かの学会の発表会のようで何を言っているのか、具体的のどうすれば解決するのかが分からず残念だった。

 邑上氏は、待機児対策については27年度までにゼロにすると明言していた。9月議会で補正予算を組んでいるように、実際に今の施策を見れば、十分実現可能と思える内容だった。

 

■人件費 学童指導員の正規雇用

 武蔵野市の今後の財政は厳しくなるとの見方は三者とも同じだった。木﨑氏が市の外かく団体(財政援助出資団体)が15団体もあり、市トータルの人件費が増えていくことが問題だと指摘したことにたいして、深田氏は、期待できる団体はあるが役割を終えた団体もある。整理統合は必要だが、その前に事業の評価が必要で市民のためになっているか先を考えるべきと返答。邑上も、外かく団体は自立した団体であり自ら経営努力をする団体自治が必要。職員数は仕事量とのかねあいで必要な人は必要だ。木崎氏のビラには15億円増えているとしているが、市職員の人件費とのトータルで見れば人件費は減っていると反論していた。ただし、団体は整理統合する段階になっているともしていた。

 人件費については木﨑氏はこだわりが強いようで、さらに学童クラブ指導員の正規化するのか? 人件費が増えるのですべきではないとの質問していた。学童クラブ指導員は、現在は嘱託職員(非正規職員)であり、市の計画では正規化を想定している。
 この質問に対して邑上氏は、今後予定されているあそべえ(全児童対策事業)との運営主体一体化のさいに考えるべき課題と返答。深田氏は、非正規でも優秀な人は多い。人材を活かすことが必要。正規(公務員)はどの自治体でもできないが、ある意味正規化は必要と返答し、正規雇用反対の木﨑氏に対して、邑上氏、深田氏は反対の立場だった。

 
■議員辞職しないのは議会軽視
 
 邑上氏から先の朝日新聞に掲載されたように、議員辞職しないで市長選挙に立候補し議員が2名欠員させてしまうのは、議会軽視、民主主義軽視ではないかと質問が出された。
 このことに対し、木崎氏は、いつ何が起きるか分からない。任期いっぱい議員として仕事をするために辞職しないと返答。深田氏の返答は、コーディネ―ターにも指摘されていたが論点が違い答になっていなかった。

 この後で邑上氏から、武蔵野市は住みたい街ナンバーワン、シングルマザーにやさしいまちランキングなどで1位となり社会的な評価が高い。お二人はチラシで批判をしている、その根拠は? とのサイドの質問があった。

 深田氏は、繁華街の老朽化 道路行政の遅れ、未利用地の展望がないなど行き当たりばったりの行政だと批判。木﨑氏は、8年前と現在で比べると個人として考えれば落ちている。何よりも私が市長選挙に挑戦をすることがその理由と返答だったが具体的な内容はなかった。

■国のモデル事業をなぜやらないか

 深田氏からは、国や都などがモデル事業を募集しているが、手を挙げてこなかった。どのように分析しているか、国と都との連携をすべきでなかったとの質問があった。
 邑上氏は、国がやるよりも先に全国的なモデルになる事業をやり、武蔵野市がやったことが全国に波及している事業もある。都のスマート保育も武蔵野市が行ったグループ保育が先例だ。市民の満足度を上げるためにモデル事業を行うのではなく、必要に応じで対応したいと返答。
 木崎氏は、そのとおりだと思う。思いがそこまでいかなかった。国や都とのパイプを持ち情報をとってくるべきで職員が怠けていたからだと返答していた。

 邑上氏とその前市長時代を私は議員として見てきているが、確かにモデル事業に手を上げることは少ないようだ。しかし、国が補助金を出すからやってくれという事業を待っているのか。市民に必要であれば、すぐに始めるべきかの判断は分かれるだろう。モデル事業はいわば補助金が出る事業ということ。そのような事業が決まるまで待っていれば財政的にはいいが、その間、市民が不便であったり生活に支障が出ることも考えられる。さらに、モデル事業にならなければやらないのか、となってしまわないだろうか。大きな論点だろう。

 
 これらは、あくまでも私が聞き取った範囲で私の私的な見解。正確には、動画配信されているのでご参照を。全体的に感じたのは、邑上氏の発言には安定感があり、実績を示しての発言はより具体的だったことだ。これは現職市長であることから当然ではあるが、この討論会では印象的だった。他の二人は、議員としての期数は違うが議員だ。もっと具体的な論点を示すべきではなかった。批判や感情論だけでなく、どのように邑上市政と違うことを行うのか。武蔵野市民がより幸せになるのか。手法を具体的なマニフェストにして欲しいと思った。逆に言うと、それだけ大きな争点がない市長選とも言えそうだ。

当日会場で配布された各候補者の政策などの資料はこちら