セカンドスクールと私立学校支援

 9月11日の市議会文教委員会で「武蔵野市内在住の私立小・中学校就学者に対する支援に関する陳情」が審議された。武蔵野市が公立小中学校で実施しているセカンドスクールにあたる行事参加費用を私立に通う児童・生徒にも支援することなどを要望するものだった。小中学校は義務教育であり、子どもには等しくとは思うが、いろいろと考えさせられる陳情だった。


セカンドスクールは、小学校5年生と中学校1年生が、6~10日間、授業として農漁村に滞在し自然体験などを行うもので、武蔵野市の教育の大きな特色となっている。授業で行うため食費以外は市が負担している。陳情で求められているのは大きく次の二つだ。

1 市内在住の私立小・中学校義務教育就学者に対する支援として 、
  ①登校許可証明書発行費の支援
  ②小学校5年生 、中学校1年生のセカンドスクール費用にあたる各学校の自然体験的な行事参加費の支援実施

2 国と都に対し 、私立小 ・中学校就学者に対する教育費助成に関する意見書を提出すること。

 
 2は毎年提出されており、義務教育であることから国が基本的には考えるべきものだろう。そのため、市議会では毎年、異論なく採択(可決)し意見書を送付している。しかし、今回は1が新たに付いていたことから疑問も持つ議員が多く、継続審議となった。

 1の①は特定の病気になった時に、医師の登校許可証明書が必要になるため、武蔵野市は公立(市立)小中学に通う児童。生徒に1580円かかる必要を負担している。多摩の市で同様のことをしている立川市のみで、私立学校へ助成している市はないとの答弁だった。

 1の②については、当日、陳情者の方がの説明がなかったので、具体的にどのような支援を求めているのか、額を含めて分からなかった。例えば武蔵野市は、私立小中学校へ通う児童・制度へ所得制限を設けず1人当たり年額1万4000円を保護者へ補助していたが、子ども手当の実施などにともない24年度から廃止にしている。突然と廃止したことへ議会からは異論が多かったが、廃止自体には異論がなかったものだ。この補助への代わりを求めているかなどが分からなかった。私立への補助は多摩地域の市では調布市のみが行っており、他市では実施されていない。

 そのため文教委員会では、主に私立の児童・生徒にもセカンドスクールにかかる同等の費用支援とすれば、どの程度の額になるのか。セカンドスクールと同様の自然体験プログラムへの参加の機会が不足しているのかが主な論点になった。
 
 市の答弁によると、小学校5年生で実施しているセカンドスクールの児童一人当たりの費用は7万6000円。中学校1年生で実施するセカンドスクールの生徒一人当たりの費用は5万4000円としていた。また、武蔵野市民で私立学校へ通う小学校5年生は108人。中学校1年生は354人(23年度)との答弁があった。
 費用を支援するとして考えてみると、仮に小学校5年生、中学校1年生の私立の児童・生徒が650人として一人当たりのセカンドスクール費用をかけて計算してみると約1900万円の費用が必要になる。私立学校への補助していた額、一人当たり1万4000円としてかけてみると約910万円になり、廃止した事業よりも増えてしまうことになる。私立の小中学校の全児童・生徒に補助を出した時の事業費、約2300万円(人件費別)に比較すると少ないとはいえ、これでは疑問符が付く。

 もうひとつの論点として、市が実施している自然体験プログラムなどが私立学校へ伝わっていないことが考えられるが、市は市内の私立小中学校へ案内を出しており、ハバロフスク市などの海外へ出かける事業などでは私立が半分ぐらいとしていたので情報が伝わっていないことではないようだ。

 市が責任を持つのは、基本的に教育内容の充実を含めて公立小中学校だ。私立には、あえて選択して通う児童・生徒だけではなく、公立学校になじめないために通うケースやフリースクールもあり、一概に市がまったく関係しなくていいとは思わないが、費用支援の廃止は議会も認めた現状では、再び行うのは難しいだろう。市が主催する自然体験プログラムなどへの参加できる機会を増やすことが市としてできることではないだろうか。私立学校で同等の自然体験プログラムをしているかも分からないこともあり、学校ごとにその費用を支援することも難しい。市の方針も現金給付を行うのではなく、事業などへ参加機会の拡充などで対応するとしていることもある。

 武蔵野市議会では、陳情で要望されている項目のひとつでも認められない場合は、部分的に採択することはせず、不採択(否決)としている。2の意見書は賛成だが、セカンドスクールと同等の費用支援となれば賛成はできない。となれば、不採択となってしまう。意見書については提出したいと私は考えており、他にも同じ考えの議員も多い。そのため、どのようにすべきかを含め協議するため継続審議となった。

【参考】
武蔵野市 セカンドスクールについて