旧中島飛行機変電室の存続を求める署名始まる

 武蔵野市のほぼ中央にある都立中央公園。ここにはかつて、ゼロ戦などのエンジンを作っていた中島飛行機製作所があり、太平洋戦争で空襲の標的となっていた。その中島飛行機製作所の唯一残されていた施設が変電室跡だが、今、取り壊されてようとしており、反対の署名活動が始まっている。



 変電室跡を含む都営住宅が老朽化により隣地に移転新築されたことで跡地が公園になることが決まったことで、取り壊しが決まった。公園を作るのは東京都だが、同じ東京都でも都営住宅を管轄する部局ではなく、いわば別会社が作ることになるため、更地にしてから渡すことになっており、旧都営住宅の撤去とともに変電室跡も取り壊すとしている。

 署名活動を行っているのは、武蔵野の空襲と戦争遺跡を記録する会。東京新聞によれば『旧変電室は存在自体に価値がある。戦争を知らない世代に見て触って感じてもらいたい。施設の保存はいまを生きるわれわれの責任だと思う』と会の代表者の方は話されている。武蔵野市への要望も行っているが、市長は『「解説板の設置を都に要望する」と書面で回答』しているという(どちらも2013.07.24夕刊)。同会では武蔵野市議会にも陳情を提出する予定で、近く議会でも議論になるはずだ。

 
 変電室跡は、都営住宅の管理事務所や倉庫として使われてきた。そのため、塗装が施されていたり、窓がアルミに変更されていたりと戦争当時の面影は残されていない。東大和市にある旧日立航空機立川工場変電所のように銃痕や爆弾の破片がぶつかった跡が残されているわけでもない。見た目には古びた倉庫でしかないので、歴史を知らない人にとっては、取り壊したくなるのだろう。
 しかし、なくしてしまって良いとは思えない。現状の施設をそのままとはいかないだろうが、解説版以上のことができないのだろうか。
 

 要望書の内容は下記。
 要望書の説明文も転載させていただきます。ご参考に。

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東京都知事 猪瀬直樹 殿

都立武蔵野中央公園拡張対象地域(武蔵野市緑町2丁目)に残る旧中島飛行機武蔵製作所変電室建物の存続および有効活用に関する要望書

武蔵野市役所から都立武蔵野中央公園にかけての一帯は、戦時中、零戦のエンジンを含む日本有数の軍用航空機エンジンの製造工場である中島飛行機㈱武蔵製作所があったことで知られる。同工場は、その重要性のため、1944(昭和19)年11月24日に始まるアメリカ軍のマリアナ諸島からのB29 による日本本土空襲では最初の目標となり、翌年8月までに合計9回の爆撃を受けた。工場内の犠牲者200名以上、子どもたちを含む周辺一般市民の犠牲者は数百名に及んだとされる。

 このたび、都営武蔵野アパート建て替え・高層化が進められ、都立武蔵野中央公園に隣接する約1.1haの敷地が緑地公園化されることとなったが、その北側部分に旧管理事務所棟という建物がある。この建物は、もともと1938(昭和13)年に同地に開設された陸軍専用の航空機エンジン製造工場である中島飛行機㈱武蔵野製作所(海軍専用の多摩製作所と合併後、武蔵製作所・東工場となる)の一部で、「工具工場」の変電室であった。戦後は廃墟と化し放置されていたが、1953(昭和28)年、都営武蔵野アパートの建設に伴い改修工事を施され、管理事務所棟となった。近年は自治会等の倉庫として利用されてきた。南北方向約18 メートル、東西方向約9 メートル、敷地面積約162m2(約50 坪)の鉄筋コンクリート構造2階建ての建物である。公園の詳細設計はこれからであるが、東京都は、公園化の前提として同建物を取り壊す方針である。

 しかし、この建物は、改修工事を施されているものの、中島飛行機武蔵製作所のオリジナルな建築物としては最後に残されたものであるとともに、同工場のほぼ中心部に位置し、爆撃の際の「照準点」にも近い場所にあることから、ここに日本有数の軍用航空機エンジンの工場が存在し、かつ激しい爆撃を受けた象徴的な場所に残る歴史を語る「実物教材」、「戦争遺跡」としての価値は少なくない。

 武蔵野市は、条例で11月24日を武蔵野市平和の日と定めているが、市民、とりわけ次代を担う子供たちに戦争の悲惨さと平和の大切さを発信する場所として、同建物を存続させていくことはたいへん意義深いものである。

 以上の趣旨を踏まえ、以下のことを要望する。

     記

1.当該建物の取り壊しを中止し、存続させること
2.公園の計画にあたり、当該建物を生かし、有効に活用すること

            以上

【参考】
2012年11月21日 都立中央公園拡充へ 中島飛行機の変電所跡はなくなる?

2011年03月02日 中島飛行機変電室跡の保存に黄色信号

2007年12月18日  武蔵野市に残る戦争の記憶

【参考資料】
署名用紙

説明文書