議会がしっかりしないから執行部がしっかりしない  御船町視察報告

熊本県御船町を視察させていただいた。議会への訪問だったが、途中から山本町長も出席されたので、議会と首長の双方から話を伺え貴重な時間となった。視察のテーマは、議会基本条例・通年議会を初めて4年になろうとしているが、議会はどのように変わり成果を出しているか。首長が自治基本条例を制定しようとしているか中、議会はどのように考えているかがだった。

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 視察は、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟の有志で行ったもの。御船町議会からは岩田重成議長と田中隆俊議運委員長、吉村公一議運副委員長、塚本勝紀議運委員、池田浩二議運委員。他の会合が終わってから山本孝二町長も参加された。

 御船町議会の改革については、これまでにも伺っており、町長からも話を伺っているので詳細には記さないが、山本町長がマニフェストを掲げ町長に当選。マニフェストを基軸とした運営を行う一方、町民とのミニ集会を重ね、距離が近づく一方で議会は何をしているかが問われ、栗山町などを視察し議会改革を進めてきているのが概要だ。
 改革のポイントは町民への議会報告会を行い、町民を意見交換を重ねて説明責任を果たしながら、議会質問を自らの支援者からの意見だけではなく、町民全体代表として考えるようなったこと。町長に反問権(※1)を与えたことで、生半可な質問ができなくなってこともあり、質問の質が向上していること。そして、通年議会としたことで、最低、月に一回は本会議や委員会を開催していることなどだ。

 通年議会にするかは別として、議会基本条例を制定した議会は2013年度中に成立見込みを含めると571議会になろうとしている。これは全国1789自治体議会の約三分の一になろうというほどの数だ(※2)。しかし、制定しただけで住民のとって何が変わったかと問われると明確に答えられない議会も少なくないのが実情だ。そこで、4年を迎える議会がどのように活動しているかを伺った。

※1 質問に対して反論する権利のこと。通常は議員が質問したことにだけ答弁ができる制度になっている。反問権を持つと議員側が困るとして採用しないこともある
※2 議会改革白書2013年度版より

■議会改革の現状

 現状については、選挙で議員構成が変わっても改革を進めることを町民と約束するために条例は制定した。条例には、町民とともにあゆむ議会、行動する議会、開かれた議会をめざすと記しているように現在でも進めている。具体的には、町民や有識者に議会モニター、アドバザーになってもらい議会の現状について改善点をアドバイスしてもらっている。また、議会報告会の他にあおぞら会議を開催し、テーマを設定し町民と意見交換を続けてきているのだそうだ。
 議会運営は、4月当初に町長が招集し3月末まで会期として開催。その後は議長が招集し(※3)毎月、一般質問ができるようにしている。その他にも全員協議会(議決はしない会議)を24年度で14回開催し、町の課題を全員で討議を行うようにしている。常任委員会も毎月開会し自主的勉強会も行っている。議会だよりは、通年に議会が開催されていると、いつ議会を開いているか分からないとの指摘もあり毎月発行している

 武蔵野市議会は、年に四回(2月、6月、9月、12月)、本会議を行っているが開会数で比べると大きな差が出ている。委員会については、毎月でも開催できるように武蔵野市議会ではしているが、実際には、本会議の合間に一回開催する程度となっている。課題があるかどうかで開会すべきかどうかは変わるが、常に議会として活動をすべきと考えれば、御船町議会のようにすべきはないかと思えた。

※3 現行法では議会の招集権は首長にあり議長は臨時議会しか招集できない。一年を通じて開会(通年議会)とすることで、実質的に議長が招集権を持つことになる

■議員の報酬、町民の評価

 御船町議会のひと月のサイクルは、1週目=全員協議会、2週目=本会議、3週目=常任委員会、4週目=議会運営委員会が開催され、議会広報誌も毎月出しているので編集作業も加わり、議員個人の調査活動も他に加わることになる。この内容を考えると、報酬はで季節なのかと考えてしまうが、御船町議会の場合はどうなのか。

 応対してくださった議員の意見を伺うと、現在の月額20何万では、生活はできない。議員以外に生業があればできているのが実情で議員で飯が食えるように報酬を上げないと若い人が議員になれない。給料あげて質の向上をするべきだが、では、いくらの報酬ならいいのかが決められない。そのため、現在はではない政務活動費を月額2万円にできないかを議論している。
 
 町民と報酬についても意見交換をしているが、議会活動を理解して持っている人からは、増やしてもいいと言われるが、多くは減らせになる。町民の平均年収の180万円を考えると上げるのは難しい。しかし、質の高い議員を増やすなら報酬も必要だ。そのためには、議員の活動内容を知らせることがその前提と考えているとされていた。正々堂々と町民から理解は得られるようにしたいとされていた。

 これは武蔵野市議会でも同様だろう。議会活動が見えていない現状では、多くの市民から減らせとなるのは容易に予想がつくからだ。まず、自分たちの活動が報酬に見合ったものなのかを示し、理化してもらうことが必要だ。

IMG_0625_large■通年議会で執行部はどう思っているか

 途中から山本町長が参加され、執行部としての評価も伺った。山本町長は元議会事務局長ということもあり議会の重要性を認識されている方だが、「議会がしっかりしないから執行部がしっかりしない。執行部がしっかりしないから議会はしっかりしない」と話されていた。首長と議員は別々に選ばれるのであって、それぞれが持ち場でしっかりすることが求められているはずだが、実際にはどうかと問われると疑問を持つ場合が多い。意味深く示唆に富む言葉で非常に印象に残っている。

 とはいえ、通年議会になり毎月議会があると市執行としてはどう考えているのだろうか。議会を面倒な存在と考えれば、これほど嫌なことはないはずだ。
 山本町長は、最初は毎月では大変だと思ったが、いまでは当たり前と考えている。執行部には厳しくなるが、スピード感が出てきた。先決処分(議会を開会する時間がないときは町長が決めてしまう制度)はほとんどない。あくまでも道具なの有効に使うべきで、町民のためにはなっていると話されていた。
 議会としても住民との意見交換を常に行い毎月議会があることで、町の課題を速やかに対応することができるとしていた。スピード感を考えると確かに有効だろう。

 また、議員が生半可な質問ができなくなったことで、今度は答弁する執行部もその分、対応が変わったとも話されていた。それは、議員が数字を使い質問をし、以前と変わってきている理由を質し、さらにその結果は町民のためになっているのとの本質的な内容になったことで、より深堀した答弁を考えないと議員の質問に耐えらなくなり。日頃の仕事が全て議会の質問に耐えられるかを考えるようになってきている。以前は、年に四回だけの会期ごとに対応すればいいと思っていたのが大きく変わったとされていた。

 そして、議会からの質問は、結論はするかしないかに尽きる。その中間でのせめぎあいになっていると話されていた。首長からの答弁は、多くは「検討します」、「善処します」となるが、反問権があるので、するとすればどのようにするかの逆質問がされることになり、議員も具体的な手法を考えていの質問になっているということだろう。単に電話して聞けば分かるようなことを質問しているケースもあるが、質問した後で、ではどのようにすればいいか、できないのならその理由を確認し、少しでも前に進めるにはどうするかを議員と首長で議論をするのが本来の議会だと考えれば、このようになっていくべきだと改めて思った。

■自治基本条例は何のため?

 御船町では、シンポジウムなどを開催し自治基本条例を平成26年10月の制定を目指している。素朴になぜ必要なのかを伺ってみた。
 山本町長は、合併しなかった町がどのように自立をするか、地域を盛り上げるかを考えた結果として必要だと考えたとされていた。総合計画(武蔵野市の長期計画)は町の目指すべき姿の目標であり、目標を実現するための手段が自治基本条例と考えている。先行している条例も研究しているが、ルールを厳しくすると足を引っ張ることになり、中身をどこまで作るかが課題。まずは基本的なことをつくり、やりながら改正がいい。マイナスのことばかりを考えるのではなく、どうやれば町が良くなるかで考えるべきと話されていた。
 自治基本条例には議会のことを書き込む例が多く(武蔵野市でも想定されている)、執行部が議会のことを決めるかなど課題が出てくるが、御船町の場合は、議会基本条例が先に制定されていたので良かったとされていた。

 自治基本条例は作ることが目的ではないはずだ。なぜ作るのか、作ることによりどのようになるのかを考えて、実行できる条例にすべきなのだ。議会も含めた条例にしたいと武蔵野市では考えられているが、議会のことは議会でまず考えるべきで議会基本条例を武蔵野市議会でも考えるべきだと、これも改めて強く感じた。

WS000000視察は御船町議会のFacebookでも紹介された。Facebookの活用も参考になる。また、視察の対応は議員が行っている。これも武蔵野市議会でも行うべきだろう。

【参考】
御船町の改革  まちづくりは住民、議会、執行部のバランスで