一方的な安値受注を拒否  人材育成にならないと建専連が決議

 建設産業専門団体連合会(建専連)が6月5日に開催した総会で、適正価格でないと契約しないという決議が行われた。下請け会社が不当に安い工事を請けないというもの。今後の人材育成や仕事の対価を考える意味で意義のある決議だろう。


 

 建設業界では、親会社が下請け会社に協議もしないで一方的に見積額よりも低い工事代金にしてしまう(指値)などが行われることがあり、下請け会社の経営を圧迫し、賃金の低下、人材育成につながらないなどの問題が起きているという。『現状では、指し値が適正価格より3割は安い。(中略)技能労働者が急激に減少している。労務単価を下げたり、経費を削ったりして対応してきたが、限界だ」(才賀建専連会長談・ケンプラッツ2013/07/06 「下請け会社が「指し値にNO」、異例決議の真相」より)とのことから決議となった。
 この背景には、国土交通省が技能労働者の不足や賃金低下を理由に、公共工事設計労務単価を前年度比15.1%増と引き上げたことや太田国交相が、建設業4団体(日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建専連)に対し、適切な価格での契約や技能労働者への適切な賃金支払いなどを要請したことがあるという(同ケンプラッツより)。東日本大震災やアベノミクスで公共工事が増えたことで、下請け会社のほうが売り手市場なのが背景にあるようだ。

 理由はともあれ、正当な対価は支払われるべきだ。問題は、この団体に加盟していない団体に発注が流れてしまわないかだろう。横の連携が必要になる。
 また、発注する側が、下請け会社も含めて適正な賃金になっているかに注視することも必要だろう。特に市役所が発注者の場合はなおさらだ。
 そして、工事代金が本当に適正なのかも考えなくてはならない。例えば、武蔵野市でも市による想定価格では応札する会社がなく入札が何度か流れている。税金をなるべく使わないように安く設定することは分かるが、それが適正な労働単価にならないのでは別問題だ。見積もりが適正なのかを今一度、考え直すこと、下請け、孫請けまで含めて適正に賃金になっているかも考える必要があると思う。このことを考えると武蔵野市にはない公契約条例(※)を考える時期になったとも言える。

※公契約条例は、『市が発注する工事や業務委託の契約(公契約)の基本方針等を定めるとともに、契約において、一定の労働報酬下限額を保障することで、従事する労働者の労働意欲を高めることにより、安全かつ良質な事務及び事業の確保を図り、もって市民が安心して心豊かに暮らせる市民生活を実現する』というもの(相模原市公契約条例より)

 決議内容は下記。

 建設業の現状は、建設投資の大幅な減少から、過当競争を繰り返し、安値受注による企業経営の圧迫から、人材確保・育成を行う余裕がなく、賃金の低下、若年者の入職減少など、技能・技術の伝承も困難。魅力の無い産業になっている。
このままでは建設産業そのものが衰退し、今後増大するインフラ維持、安全安心な国土形成を担う者が居なくなるとの危機感から、公共工事設計労務単価の大幅な引き上げ、社会保険料等の法定福利費の見直し等々、国等、総合工事業、専門工事業、労働者挙げての取組みが動き出した。
この機会に、将来を担う若者が希望を持って入職できる環境整備、健全な建設産業を目指し、全会員一致して以下の取組みを行うことを決議する。

1.適正価格で受・発注し、現場で働くすべての就労者が社会保険等に加入し、安心して働ける環境整備を図る

1.適正価格で受・発注し、適正利潤を確保し、技能労働者等への適切な賃金の支払い等を行い、健全な企業体質にする

1.安値受注を繰り返し、指値をしてくる企業とは契約を行わない

1.登録基幹技能者の地位向上と下請け評価制度の体制整備を図る

1.若手技能労働者の確保・育成と技能・技術の伝承ができる企業体制を確立する