女川原発視察  福島原発事故との違いは人間としての考え方

宮城県にある東北電力女川原子力発電所を視察してきた。福島第一原発と同じように海岸沿いにあり、より震源地に近いところにある原発だ。東日本大震災では同じように高さ13mの津波に襲われたが、被害は大きかったものの福島第一原発のような致命的な事故とはならなかった。その理由について伺ってきた。

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 視察は、民主党の自治体議員を中心として無所属の議員などで構成されている原発のない社会をめざすグリーンテーブルでおこなったもの。女川原発では、施設の概要や安全対策などを伺い、原発の内部も見させていただいたが、PR館を除き原発施設の写真撮影が禁止されているので画像がないことはご容赦いただきたい。

■福島原発のようにならなかった理由

 説明のなかで、なぜ津波により福島第一原発のような事故にならなかったのかについては、これまでの歴史を調べ、津波はあるものと考えて設計されていたことが大きい。当初想定されていた津波の高さは3m。しかし、想定以上に安全策を考え敷地を14.8mにしていたことが大きな事故につながらなかったという。東日本大震災により地盤が1m沈下したので、実際には13mの津波に対して0.8mだけ高かったことになる。

onagawa なぜ、このような安全策をとったかにについては、NTTファシリティーズ総合研究所 EHS&S研究センター上級研究員、尾形努さんのレポート「女川原発を救った企業文化」に建設当時の新聞記事を引用することで記されている。

『8月20日の日本経済新聞には、次のように記載されている。
女川原発が、福島第一原発に比べ、高い場所に建設されたのは、東北電力副社長を務めた平井弥之助氏の進言とされる。津波の高さが、約3m(後に9.1m)と想定されていた時期に、平井氏は明治三陸津波や貞観地震の記録を踏まえ、高い場所に建てるよう主張、反対を押し切って実現させた。
 また、3月7日の東京新聞は、平井氏の次のような言葉を紹介している。
「法律は尊重する。だが、技術者には法令に定める基準や指針を超えて、結果責任が問われる。」
 さらに、3月7日の東京新聞は、当時プロジェクトに参加した、東芝の小川氏の次の
ような言葉も紹介している(5)。
「東北で津波を考えなかったら、何をやっているんだということ。そういう雰囲気が
東北電力内にあった。』

 人間としての考え方が結果を左右したということだろう。福島第一原発の想定していた津波の高さは、女川と同じ3m。この想定に対して敷地面積は4mだった。さらに、女川原発の場合は、原発の非常用電源など重要設備は堤防の内側に設置してことが大きな違いだったと女川原発の職員の方々は話されていた。福島第一原発がなぜ同じようなことをしなかったのかについては、経済性を優先させたのでは、との見方を示されていた。

■再稼働
 
 設計当初の考え方は正しかったは結果が証明している。しかし、原発を冷やすための海水を取り入れる取水口から入った海水が熱交換器へ流入してしまったこと。地震の揺れで上記から電気を作り出すタービンが破損し作り直すと同じ程度の補修行っていることや堤防の外にあった重油タンクが流されてしまったことなどの被害も起きている。そのため、現在でも補修が行われており、完全に戻っておらず約9割程度までだという。電源は外部からの送電が一部、止まったがた全てではなく非常用電源も確保されていた。

 私たちが視察するちょうど前日、女川原発の防潮堤を2016年4月完成をめざし29mにかさ上げすると発表された。東日本大震災後、敷地よりも高い17mの防潮堤を建設していたが、さらに高くするのだという。この高さは、浜岡原発の防潮堤の22mを抜き日本で一番高くなるという(朝日新聞2013年05月14日)。これは、2016年7月に想定されている再稼働を見据えてのものだ。

 福島第一原発と比較をすれば、より安全だったのが女川原発だ。しかし、いくら物理的に防潮堤を高くしたとしても、想定外は考えらる。津波の被害を防げたとしても地盤に大きな被害が起きたらどうなるのだろう。事実、現在は地盤沈下しているのだ。対策を考えること否定しないが、そもそも、事故が起きれば取り返しのつかなくなるのが原発だ。もう動かすことを考えずに廃炉を考えるべきとあらためて思った。
 とはいえ、女川原発で今現在働いている人は約2500人いるという。この人たちの雇用も考えなくてはならない。決定打となる決定的な解決策を私は持っていないが、再生可能エネルギーや第一産業への投資である程度は可能ではないだろうか。かさ上げする女川原発の防潮堤の工事費は未発表でいくらになるか分からない。新たな雇用につながることへ投資をしていくべきではないかとも思った。

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画像は、上から
・女川原発の外観(昨年撮影)
・女川原発と福島第一原発の津波被害の比較(視察資料より)
・女川原発PR館に表示されていた運転状況。定期検査といえるのか、と思った。
・女川町内にあったオフサイトセンター(原子力災害対策特別措置法において規定されている緊急事態応急対策拠点施設)は津波で崩壊していた。もっと重大な事故があった場合、機能を果たせなかったことになる(昨年撮影)