武蔵野市のリバースモーゲージ 廃止が提言される

 武蔵野市が昭和56年に全国に先駆けて実施したリバースモーゲージ(不動産を担保に福祉資金を貸し付ける制度)について、廃止すべきとの武蔵野市福祉資金貸付制度見直し検討委員会の報告書が出された。この制度は、「福祉の武蔵野」のひとつの象徴だろう。廃止となれば、ひとつの時代が終わることになる。



 検討委員会は、福祉関連の有識者や弁護士、会計士など5名で構成され、委員会として、今までの検討経過を踏まえ次のように考え方をまとめたと記されている。

① 本市の福祉資金貸付制度はその先駆けとして、画期的な役割を果たしたと評価しているが、すでに民間にも普及し始めており、市が単独で制度を維持する必要性は薄れている。

② 条件を厳格化しても、制度が包含するリスクは解消されず継続するメリットが少ない。

③ 公費の支出にあたっては、特定の個人のみに恩恵の及ぶものから、広く市民全体に還元できるものへ転換していく必要がある。

 以上のことから、市の福祉資金貸付制度は廃止すべきとの意見が大勢を占めた。

 なお、長年住み慣れた自宅に居住継続をしたいとの意思が強い高齢者もおり、自宅からの転居は精神的負担もあることから、対象年齢の引き上げや限度額の見直しなど条件の厳格化によるべきであり、廃止とすべきではないとの少数反対意見もあったことを付記する。

 というもの(報告書より)

 リスクは、不動産が必ずも値上がりする社会状況ではなくなり、貸付金を全額回収できない事例が発生、市から税の補填が必要になるケースがあること(一部の利用者に市民全員の税金が使われている)。「資産はあるが現金収入の少ない高齢者に貸し付ける」ことが制度の基本だったが、資産調査や所得制限を行っていないため「資産もあり、現金収入もある人」に貸し付けている例もあるなど制度の矛盾も出てきたことなどだ。

 この制度についてこれまでに何度か考えられていたが、反対の意見が強く廃止とはならなかった。介護保険ができ、民間でも同じような制度ができたことを考えれば、もう役目は終わったのではないかと思う。ここで大きな判断をすべきだろう。
 今後、廃止となれば、この制度を担っている市の外郭団体である福祉公社の内部改革も必要になってくる。今すぐにとはならないが、1~2年で大きな変革となりそうだ。

【参考】
福祉資金貸付制度見直し検討委員会 報告書