世田谷区に「都市型保育園」開園。待機児対策の問題は別にもある

 待機児童数が2012年度で約800人、過去最高となった世田谷区に「都市型保育園」が開園するとみんなの経済新聞が伝えている。「都市型保育園」とは、区市町村が窓口となり比較的安価な保育料となる認可保育園ではない認可外保育園で、『早朝出勤、残業、フレックスや自宅勤務など、都市部に住む母親のさまざまな就労スタイルにマッチした保育サービスを提供する』という保育園で、運営する株式会社タスク・フォースが名づけたもの。いろいろな保育が増えることで待機児解消や一時保育が対応できることは歓迎したいが、問題点もあるようだ。

 



 
 世田谷区で開設されるのは、砧に建設中の新築賃貸マンションの内部で約80坪の施設。運営事業者のタスク・フォースは、ベビーシッター業で創業し、現在では全国で52の認可外保育園を展開。このような企業では最大規模だという。認可外なのは、認可には設置基準などに縛りが多いため、あえて補助金に頼らない「認可外」にしているのだという。
 基本料金は、10分単位で0歳で190円、1~2歳で170円、3歳以上が150円。食事は一食450円(持ち込み不可)、おやつが300円となっている(東京三軒茶屋園の場合。東京都認証保育所)。このほかに年会費が3000円、受付手数料が1回100円だ。月ぎめの料金体制もある。利用者の就労などの条件はなく、一時保育にも対応する。

 武蔵野市を始め、多くの自治体で待機児が大きな問題。このような保育園が増えることで働くことが可能になり歓迎したいことだ。しかし、一方でこのような保育料を払えない場合はどうするかとの問題は残されてしまう。経済的に厳しいから働かなくてはならない場合、認可保育園に入らない限りは保育料を払えないという、そもそもの問題は解決できないからだ。これは保育園側ではなく自治体施策として考えるべきことだろう。

 そして、もうひとつの問題もあった。それは、この自治体施策と関連することで、同社のサイトにあるコラムを読むと、その自治体施策が別の問題を引き起こしている指摘されていたことだ。

認可外保育所が悲鳴を上げています」とのコラムに書かれているのだが、『認可保育所の定員を拡大する事は、なんとなく良い事の様に受け入れられていますが、現実は、少しだけ働く人、全く働かない人までも入所できるようになっている事、保育の必要のない人まで預けるようになっている事、その結果、本当に保育が必要な人が結局預けられなくなっているという歪んだ現象も生じさせています。又、認可外から言えば、どうしても保育料の安い認可園に転園するケースが増えてきています。認可外の経営はタダでさえ厳しい上に、園児の減少となり、閉鎖する園が続出してきています』
『地道に倫理観を持って地道に子供たちのために保育を行っている認可外の経営者やスタッフがいると言う事も是非ご承知いただきたいと願っています。併せて、認可外、それも補助金を受けずに運営している認可外のスタッフたちは、早朝、夜間、深夜まで、又、難しい新生児の保育、病後時保育など、認可園以上に厳しい仕事をしているのだと言う事も知って頂きたいと願っております』というもの。

 認可保育園は、本当に必要な人が利用できているのか。そして、待機児対策で大きな役割を担っている民間を自治体施策(認可園)によって苦しませていないか、との指摘だと思う。
 認可保育園には多額の税金が使われている。保育はもともと利益を得ることが困難な事業であり、税金を使うことは社会資源として必要だと考えているが、民業圧迫になることは考えものだろう。
 施設規模に違いがあっても、公も民間とも同じような保育の質、保育士も同じような給料で住み分けができるようにならないか。自治体の施策を考えてみるうえで重要なポイントだと思った。民間事業者も同じ地域の市民なのだから。