震災時の議会対応

 東日本大震災の時、議会が何をしていたか。何ができたか、できないか。このことを調べていくと、非常時に機能しない議会は、普段でも必要ないと言われてしまいそう、と思ってしまうことがある。議会の存在意義を確認する意味でも考えてみる価値大だ。

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(この記事は昨年5月、女川町議会へ視察に伺ったさいのまとめです。掲載していなかったことに気づき、今頃ですが、掲載しました)

 女川町議会における東日本大震災時の対応

 女川町議会に震災時に議会がどのように対応したのかを視察させていただいた。女川町は、津波の被害、原発の立地自治体で、震災がれきがうず高く積まれ広域処理の必要性とされていた自治体だ。震災発生時から現在までの様子は、女川町のサイトにあるのでご参照のこと。

 まず、議会がどのような対応をしたのかまとめてみた。

●発生時の概要

・3月11日は定例会最終日の本会議開催中
・審議を中止し、延会とした
・各議員は被害状況を確認するために自宅などに戻る
・津波が町役場、議場を襲い役場機能が全滅となる
・議員16名中、4名が津波により犠牲となる。避難誘導などをしていたようだ。14名が被災者
・議員は被災者支援などを行っていた
・町の被害状況、避難状況、町民への支援状況などの情報が得られない、伝わらないことが課題となる
・上記の理由により3月22日に全員協議会を開催。以降、4月28日まで6回開催し、以降は震災対策特別委員会を設置し引き継ぐ

(※議会が発生後に行った主な協議内容は、女川町議会作成資料より抜粋したものを最期に掲載)

onagawa04●災害時の参考事例

 ヒアリングによると、被害が大きくなってしまった原因のひとつには、地震に慣れていたことがあるとされていた。チリ沖地震での津波の高さは4m程度で、大きな被害が無かったこと。今回の大津波警報の当初の想定は高さ6メートル程度だったこと、警報が発令されてから津波の襲来まで時間があったことなどで、心のどこかに油断があったかもしれない。想定以上の津波で逃げ遅れて亡くなった人が多い。非難していた集会所が津波にのまれてしまったことやビルの屋上に避難しても助からなかった例などがあったと話されていた。
 チリ沖地震よりも前に大きな津波被害があり、歴史を調べるべきと指摘されていたが、忘れ去れてしまっていたこともある、との話は印象的だった。歴史に学ぶべきだったが、直近の例だけで判断してしまったということだろう。普段からの最悪を想定した災害訓練の必要性をより得られた。
 また、震災後、学校は子どもを保護者でもあっても引き渡さなかったことで津波被害に子どもがあっていないのが女川町の特色だったろう。これは教育長が指示を出したもので、津波警報が出ていたことで校内待機にしていたもの。女川町は平地が少ないこともあり高台に学校を設置していることもあり、この結果となった。緊急時に原則を守り通したことで子どもの命を救ったことになる。このことも参考にしたい。

●議会としての参考例

 上記を元に、武蔵野市議会としても参考にすべき内容をまとめてみる。

■災害発生時の議会運営
 議場は庁舎の三階だが、ここも津波が襲っている。もし開会中だったらどうなっていたか、とも話されていた。開会中に災害が起きたとき、どのように議会運営を行うか考えておくべきだろう。これは他の議会でも同じで開会中にどのような対応をするか確認しておく必要がある。
 復興会議に議会が関わるかどうか、議長が入るべきか検討はしたが議員で賛否が分かれたことから入ることはしなかったとの話も伺った。

■情報を得られる体制づくり
 震災直後で問題になったのは、通信手段がないことでの不安が住民には広がっていたことがある。議員も情報を得る手段がなく、情報がないことでのクレームが多くあった。このこともあり、災害対策本部にオブザーバーとして議員が参加することにしたのだそうだ。このことは、大災害が起きた時に議員が何をすべきか考えるうえで、かなり重要ポイントと考えられる。
 被災者住宅などでは議員としての運営にかかわること考えれば、行政情報などをいち早く得て、住民に届けること。逆に住民の課題を行政に届けることや議会として解決できることを探るなどが必要と考えられる。災害時には行政の仕事量が多く「議会が邪魔になった」と他の被災自治体で聞いたこともあるため、行政の負担がないよう議会が情報を得ること、住民や議員からの有益な情報を行政に届けることができるシステムづくりが急務だろう。

onagawa05■住民との懇談の重要性
 女川町議会は議会基本条例に基づき住民との懇談会を定期的に行っている。この懇談会で得られた情報や住民からの要望を議会運営や執行部への制裁提案に活かしているという。議会基本条例は平成22年12月に制定されているが、住民との懇談会は平成16年から行っている。手法は、町内24か所を3グループに議員を分けて回るもの。平均参加者は約20人で参加者が限られる課題はあるが、今後も続けていきたいとされていた。文句を言われることもあるが、それは期待の裏返しだとも思っているとの話は、今後、武蔵野市議会で実施するとすれば参考になるものだろう。
 多くの議会では、議会報告が行われ、議決内容、議論内容を住民に報告することが行われているが、決まったことが報告されるだけでは住民の関心が高まらない課題もある。現在の問題を議会が聴取することや市政の課題について意見交換することは女川町議会の例を参考に武蔵野市議会でも定例的に行うべきだろう災害時に必要になることだけでなく、平時から意見交換できる体制を整えておくことで災害時も対応できると考えられるためだ。
 他に、支援物資は三日目に届くようになったが十分に食べることできない量であった。トイレは20日間なかったことなど普段からの備えが必要であることも分かった。これは災害対策などで役立てていきたい。

■武蔵野市議会としての参考例
 災害時にどうすべきかを平時から考えておくべき、とのアドバイスをいただいた。他の被災自治体議会の例も参考に、早急に災害時の対応を明文化した要綱などが必要である。

以上

※武蔵野市議会でも、この後、非常時の行動マニュアルが整備された。
※視察対応してくださったのは、木村征郎議員(震災復興対策特別委員会委員長、議会運営委員会副委員長。震災時の議長)と議会事務局職員。この場で恐縮ですが感謝申し上げます。

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写真は上から
・津波の被害にあった町役場。議場は三階にあった
・地盤沈下している町の中心部
・三階建ての復興住宅。高台にあった野球場を利用。復興住宅に大きな問題はなく感謝していると視察の応対してくださった木村征郎議員は話していた
・木村征郎議員と
・仮設の町役場(会議室を使い議場としている)

 女川町議会が震災発生後に行った主な協議内容(女川町議会作成資料より抜粋)

①未審議の議案の専決処分について
②統一地方選挙について→延期特例法により延期
③町立病院等の指定管理の件(4/1から10/1へ指定期間を半年延期)
④災害対策本部への出席することについて(議員が情報を得られないために)
⑤安否確認情報の報告(生存者、死亡・行方不明者、避難所収容者等)
⑥応急仮設住宅建設候補地及び建設戸数について
⑦罹災証明の発行について
⑧町長の災害復旧に関する基本的な考え方について
⑨火葬場の復旧について
⑩被災家屋調査の結果について
⑪被災者生活再建支援制度の概要について
⑫被災住民への見舞金支給について
⑬政務調査費の精算について(年度末で清算の必要があり)
⑭仮設役場庁舎の建設について
⑮地方自治法第96条第2項の議決事項の検討について
⑯女川町復興計画策定委員会の概要について
⑰震災対策特別委員会の設置について