行政評価のタイムラグをなくす事中評価

 行革のツールとして一般的になってきている行政評価だが、評価している年がタイムラグとなるため改善策が翌々年度への反映となり、時代の早い流れについて行けなくなったり、改善がすぐにできない課題がある。この課題をクリアするために事中評価を行っている秩父市に話を伺ってきた。

 通常の行政評価は、4月~3月まで一年間事業を実施し、年間を通じた予算の執行状況をまとめ決算資料などを作成、その後に評価を行う。
 一般的には、いくらを使ったを5~6月にまとめ、何をしたかの実績をまとめるのが9月頃。9月には議会の決算委員会があるので、一呼吸おいて評価をはじめる。この間に翌年の予算も作成しなくてならならず、予算の作成と一昨年前の事業評価を並行して行うことになり、予算案を作成してから、その前々年度の事業の行政評価をすることが多くなるという。
 PDCAサイクル(※)で考えると、一年間Dを実施しCを一年間かけていることになる。そのため、評価、チェックをしている一年間のブランクがおきてしまい、評価から改善するまでのタイムラグが発生してしまう。これは多くの自治体で共通の悩みとも言われている。

titibu■活用するための事中評価

 そのため秩父市では、このようなすべての評価作業が終わった後の事後評価だけではなく、途中の過程での事中評価を行っている。オータムレビューとも言われているが、一年間ではなく途中段階で評価を行うというもの。年間を通した評価が事後評価、途中段階が事中評価という二段階の行政評価を行うというものだ(画像参照。秩父市基本事業評価の概要から)。

 事中評価を行おうとしたのは、活用できる行政評価にすること、確実に改善につなげるという考えから。いわば当たり前のことだが、課題となっているこのタイムラグをどうすればいいかを考えたからだという。さらに単に評価をするだけではなく、次年度予算の要求資料に使うことで、実際に活用できるようにしていることが特徴だ。

 役所的な考え方として年間で考えることが多いが、この発想は年間ではなく半年程度を単位にして行うというものだ。そもそも行政評価は何のために行うかを考えると、目的を達成するために解決する手段を見つけ、改善していくためにあると考えたからだという。一年間で行うという発想を転換したことになる。
 民間会社で言えば、半期、あるいは四半期ごとに業績を分析し改善策を見つけていることを考えれば当然のことかもしれない。改善のスピードがなければ倒産することもある民間との違いでもあるが、この発想ができるかできないかが大きなポイントだと思えた。
 

■行政内部の抵抗勢力

 事中評価は、いわば中間評価を使い予算へと反映させるものだ。しかし、ここで考えられるのは行政内部の問題。職員の手間が増え行政評価を行う部署と他の部署とが対立し、役所内が抵抗勢力ばかりにならないかとの懸念だ。行政評価は、企画や行革担当課が行うことが多いが、財政課が予算査定でやっているから二度手間だとも批判されることも良く聞く。行政評価の最大の問題は、この内部対立が起きてしまい結局、生ぬるい結果にしかならない、とはよく聞くことだからだ。

 このことを担当の方に聞いてみると、確かに反発はあったという。しかし、なぜ行政評価が必要なのかを研修などで全職員で共有化したこと。行政評価の担当課(市長室改革推進課)と財政課とで人事交流があり財政課との役割分担もできた。事後評価に加え事中評価をすることで手間が増えてしまうことについては、半年ごとに行う評価と考えれば総事務量はあまり変わらないのだそうだ。財政課からは、事後評価では前々年度の古い情報で予算要求をされても、資料として適当でないとの指摘もあろ、事中評価への力になったとされていた。

■そもそもで考える

 目からうろこというか、できない理由や手間ばかり増えるというネガティブな発想で考えるのではなく、そもそも行政評価は何のために行うのかで考えたこと。年間で考えるという発想を転換したことで実現したのがこの事中評価ということだろう。行政評価自体の行政評価をしたことにもなると思う、
 このシステムを作るさい、「職員自ら改善改革を実施できるような制度を目指す」「職員の意識改革から本当の活用できる制度を目指す」ことを重要視して設計した。何よりも目に見えるように活用するのは予算への反映が最も重要との指摘は重要なポイントだろう。座学だけで考えるのではなく、あるいは、担当課だけで設計したのではないということだ。

 しかし、これだけでない改善、行革も同時に行ったから実現できたという。

(続く)

【参考】
秩父市の行政評価
 
 
※ Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(行動)