具体策が見えないが、一歩を踏み出す  民主党綱領案

 民主党が綱領案を発表した。たたき台となるもの。2月24日の党大会で承認ができるようにするという。政党として綱領を持たない大きな課題へやっと動き出したことになる。
 内容を読む限りでは、きれいな言葉と正論を並べ、党内融和を優先させたような感じだ。1998年に発表された当時の綱領案ともいえる「私たちの基本理念」が、最後の文字にあるように、政権交代をゴールにし、その先の具体策がなかった頃よりも進化しているはこれだけでは分からない。なにせ具体策が見えないからだ。

 注目した一文は「健全な党内統治に貢献する。公開・参画・対話を重んじ、国民との協働による政策の決定と実行を目指す」というもの。国会議員だけでゴチャゴチャ揉めているだけの政党では、もう存在価値がないと思うからだ。国会議員だけではなく、党員やサポーター、自治体議員との公開・参画・対話も重んじるべきだとも思った。ここが薄いことにも課題があるからだ。

 いずれにせよ、振り出しに戻ってスタートするしかないのが民主党。これを元に信頼を取り戻せるように動きだすしかない。一か月ほどで決めるのではなく、もっと時間をかけることやこれまでのことを総括することが必要だと思うが、まずは動き出すことも重要なのだろう。自治体議員も含めて、この綱領案にどう肉付けしていくかも求められている。

 ご意見があればお寄せください。

              2013年1月22日

  民主党綱領 たたき台(案)

      民主党綱領検討委員会役員会

前 文

日本は古来より東西文化を融合し、大いなる繁栄と独自の誇るべき文化を発展させて来た。多大な犠牲をもたらした先の大戦からも見事に復興をとげた。 しかし、経済の長期停滞、少子高齢化、人口減少による国力の低下に加え、新興国の台頭による国際的な地位の低下は、旧来の政治を機能不全とし、国民には長期にわたる閉塞感と不安感が広がっている。 このような状況下で発生した東日本大震災及び福島第一原発事故は、未曾有の被害をもたらし、我々に生き方や、物質文明、科学・技術のあり方までも問い直している。

大きな変革期を迎えた今、古い政治と決別し、公平・公正・透明なルールのもと、国民が生きがいをもって働き、互いに負担を分かち合う持続可能な社会を再構築しなければならない。そして政治家、政党と国民が信頼関係を築かなければならない。 政権交代の成功と挫折を経験した今、我々は改めて原点を問い直し、さらなる進化を遂げ、国民政党として再生する。

綱 領

一 基本的立場

1998年、我が党は、「生活者」「納税者」「消費者」「働く者」の立場に立つ者が集まって誕生した。同時に、今と未来の世代に希望、幸福、安心を贈るべく、古い政治を変える意欲を持つ改革者が集まった改革政党でもある。我々は、この原点を忘れず、統治機構改革、規制改革、地域主権改革など政治社会の変革に取り組む。

二 共生社会

 すべての人に居場所と出番があり、互いに支え、支えられることは歓びである。この人間社会の可能性を、我々は「新しい公共」と呼び、これを支援することで人間らしい生き方のできる社会を目指す。中央政府が吸い上げてきた公共空間を地域に還し、地方政府、学校、NPO等多様な主体が連携しあう、強くてしなやかな共生社会をつくる。

三 正義と公正

我々は、すべての人々が互いの人権を尊重し、正義と公正が貫かれる社会、男女協働を真に実現し、すべての国民が健康で文化的な生活を送れる社会、生涯を通じて必要かつ十分な学びの機会と環境が確保される社会をつくる。

四 幸福のための成長

 我々は、個人の経済的な自立を支援しつつ、弱い立場に置かれた人への温かい眼差しを忘れない。経済成長を目指しつつ、その果実を働き暮らす人々の真の幸せに役立てていく。得られた収入や時間を自己だけでなく他者を支える糧ともする、そんな人々の厚みを増やす。

五 安全保障と国際貢献

 我が国の豊かな文化や技術は海外との開かれた交流の中からもたらされた。我々は、外交の基軸である日米同盟を深化させ、隣人であるアジアとの共生を実現し、国際社会の平和と繁栄に貢献することで、「開かれた国益」を増進する。厳しさを増す安全保障環境に対応するため、専守防衛の原則の下、自衛力を着実に整備し国民の安全と領土を守る。

六 政治姿勢

 我が党に集う者は、様々な経験を積んで自らの意思で政治に携わっている。我々は、地域社会に根差した活動と、地域住民との触れ合いの中から課題を見出し、行動する。積極的な議論と結論の遵守を旨とし、健全な党内統治に貢献する。公開・参画・対話を重んじ、国民との協働による政策の決定と実行を目指す。

【参考】
民主党 党綱領たたき台(案)を公表 細野幹事長が会見で

(補足)
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私たちの基本理念
――自由で安心な社会の実現をめざして――

1998年4月27日民主党統一(第1回)大会決定より

●私たちの現状認識

 日本は、いま、官主導の保護主義・画一主義と、もたれあい・癒着の構造が行き詰まり、時代の変化に対応できていません。旧来の思考と権利構造から抜け出せない旧体制を打ち破り、当面する諸課題を解決することによって、本格的な少子・高齢社会を迎える21世紀初頭までに、「ゆとりと豊かさ」の中で人々の個性と活力が生きる新しい社会を創造しなければなりません。

●私たちの立場

 私たちは、これまで既得権益の構造から排除されてきた人々、まじめに働き税金を納めている人々、困難な状況にありながら自立をめざす人々の立場に立ちます。すなわち、「生活者」「納税者」「消費者」の立場を代表します。「市場万能主義」と「福祉至上主義」の対立概念を乗り越え、自立した個人が共生する社会をめざし、政府の役割をそのためのシステムづくりに限定する、「民主中道」の新しい道を創造します。

●私たちのめざすもの

 第1に、透明・公平・公正なルールにもとづく社会をめざします。
 第2に、経済社会においては市場原理を徹底する一方で、あらゆる人々に安心・安全を保障し、公平な機会の均等を保障する、共生社会の実現をめざします。
 第3に、中央集権的な政府を「市民へ・市場へ・地方へ」との視点で分権社会へ再構築し、共同参画社会をめざします。
 第4に、「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」という憲法の基本精神をさらに具現化します。
 第5に、地球社会の一員として、自立と共生の友愛精神に基づいた国際関係を確立し、信頼される国をめざします。

●理念の実現に向けて

 私たちは、政権交代可能な政治勢力の結集をその中心となって進め、国民に政権選択を求めることにより、この理念を実現する政府を樹立します。