高さ規制への駆け込み建設は許されるか

 武蔵野市中町で計画されているマンション「(仮称)武蔵野市中町2丁目計画」についての調停会が12月20日に開催された。調整会は市のまちづくり条例で規定されているもので、大型開発事業を行うさい、開発事業者と近隣住民との間で意見調整ができない場合に第三者(学識経験者などによるまちづくり委員会)により意見調整をするというもの。
 このマンションについては、市が近く規制する予定の高さ制限、24mを超えていることや近隣が低層住宅(第一種低層住宅専用地域)であることから、近隣住民だけではなく、市からも計画案を見直すように求められている。市議会も12月19日の本会議で、このマンションへの陳情が全会一致で可決しており、市と同じ意思を示している。
 現状の法律では計画案通りの高さ、規模で建設できるが、近く予定されている高さ制限をどのように考えるのか。市からの助言(意見)をどの程度まで配慮して建設するのか。企業の社会的責任として注目される。

 マンションの開発事業者は、三菱地所レジデンス。横河電機のスイミングクラブがあった場所で約5000平米の敷地に高さ31.8m、10階建てのマンションを計画している。
 この日の調整会は二回目で、これまでに、建物の高さを15mにすること、3m東側にセットパックすること、周辺住民へのプライバシー配慮などが住民側から要望されていた。事業者からは、24mの高さ制限で検証した結果、販売価格が大幅に下落し、事業自体が成立しないので高さの変更に対応できない。東側に計画されている住戸は1mセットバックスする。植栽やプライバシーへ配慮したバルコニーの仕様について変更案を示すなどの回答が出されている。

 この日の調整回でも論点は同じだった。マンション建設には反対はしないが、規制が予定されている高さ以下にすべき。圧迫感を少なくすること。さらに、着工時には規制がかかっていないとしても完成時には高さ規制の対象になる。建て替えなどに制限がある既存不適格の物件を駆け込みで建設し販売していいものか。市長や議会の意見をどのように受け取っているのか。企業としての社会的責任をどのように考えているか。採算性が悪化するというなら、具体的に示してほしいなどの要望や意見が出されていた。事業者からの返答は、これまでと同じで、事業性が悪化するため大幅な変更はできないとしていた。

 これらの意見交換の後、まちづくり委員会からは、次回までに高さを再検討すること、採算性の悪化を定量的に示すように見解が出され閉会となった。次回は、年明けの1か2月に開催される見込みだ。調整会は、原則3回まで開催されるので次回が最終となりそうだ。

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siryou 調整会で提出された資料には計画されているマンションの平面図(案で変更の可能性がある)を見ると東側(図では下)にマンションが接近して建設されることになり圧迫感がかなりあることが分かる。今回のようなことが起きてしまうことは、最初から想像できたのでは、と思う。いくらで土地を購入したかは分からないが(※)、紛争が起きないようなマンションを計画し、見合う購入代金にできなかったのかとも思ってしまった。また、駐車場がある西側に建設すればいいのに、と素人考えでは思ってしまうが、ある関係者に聞くと、東南の位置にあるほうが人気があり販売価格を高く設定できる、つまり利益を上げやすくなるのだそうだ。あくまでも商売、利益を上げるために事業を行うことは理解できるが、もっと上手にできないのものかと思ってしまう。

 調整会は、あくまでも近隣住民と事業者の意見の整理や調整を行うもの。それぞれの意見を確認したうえで委員会が市長へ報告し、これを基に市長がさらに助言を行う仕組みだ。助言は強制力を持たない。事業者側がどのように対応するかが問われることになる。法律上は許されていても、今後に規制がかかることを分かってのマンションの販売、近隣住民との関係も含めて、住民側が問うている社会的責任をどのように事業者が考えるかも注目されることになる。

 

日経不動産マーケット情報によると『価格は明らかにしていないが、売却益は概算で37億3400万円』とされている

【参考】
武蔵野市 建築物の高さの最高限度の導入
     調整会が開催された開発事業について(12-002,12-003 (仮称)武蔵野市中町2丁目計画