武蔵境駅駅舎 工事契約可決と1社入札の課題

 12月17日に開催された鉄道対策・武蔵境駅周辺整備特別委員会で武蔵境駅舎連続施設( 北側) 新築工事請負契約の議案が審議され全会派一致で可決した。19日の本会議で可決成立し工事が始まり、平成25年12月末までに完成する見込み。
 北側は、現在の南側のように通路に布製のシェルター(屋根)が設けられるが、JRの駅舎の高さに合わせるデザインのため12m263mm~14m753mm(およそ四階建ての高さ)という高さになり、雨の吹込みを防ぐためガラスを垂直に配置する設計となっている。このガラス面が北側駅舎の“顔”になる。一方で一社しかしなかった入札には疑問が残った。

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sakai_kouji ガラスはフィルムを挟んだ強化ガラスで震災時などでの落下の心配はないという。今回の議案は、北側駅舎につながる連続施設の工事費で4億7565万円(税別)の契約金額となる。駅舎自体はJR東日本と西武鉄道の施設だが駅舎の南北にあるシェルター(連続施設)や緑化されているシンボルゲートは市の施設となり、市が工事費を負担している。市がここまで独自に駅舎にプラスアルファの要素を加えているのは他にないと思う。武蔵野市らしさといえばそうかもしれない。
 南側の連続施設を含めた総工事費は約7億円。そのうち、半分程度が国や都の補助金が入る見込み。年間のランニングコストは南北合わせて約1000万円だ。

■1社入札の問題

 今回の議案で気になったのは、入札(電子入札による制限付一般競争入札)に応じたのが1社のみであったことだ。1社しか参加しない場合、競争原理が働かないことや談合の可能性があること、もしくは、市による設計価格(予定価格)が不適切であったことが一般的には考えられるため、他の自治体では入札自体を成立させないことがあるからだ。武蔵野市契約事務規則第37条にも「指名競争入札に付するときは、(中略)なるべく3人以上指名しなければならない」とあるほどだ(なるべくなので必ずではない)。

 今回のこの工事は、これまでに入札を二回行っているが、いずれも不調となっている。このようなケースとなると、工期が間に合わなくなるため、何が何でも入札を成功させようとしてしまい、入札の担当職員(契約担当)が市の工事で取引の多い業者に声をかけて“当て馬”として参加してもらうことがあるとの話を聞くことがある。
 声をかけられた業者にとって、入札が成立しないということは利益が見込まれからであり、参加したくないのが本音。しかし、普段からお付き合いのある人からでは断るわけにもいかない。そのため適正な利益を出せないで工事を請け負ってしまい、業者の倒産、もしくは手抜き工事を行ってしまう。あるいは、実施したことがないような工事であれば積算ができず、仕方なく他の業者に落札予想金額を聞いてみることになり、立派な談合になるのだそうだ。これはある業界の人から聞いたものだ。さらに、昨今は震災復興の工事が多いため、大手建設会社は利益率の少ない今回のような小規模工事に参加しないのだとも言われた。 
 つまり、1社入札でいいのかの疑問が出てくる。

 そのため、入札不調への対応などを質問をしてみた。
 不調になってしまったことへの対応は、風を通させることや火災時の排煙のためにシェルターを開閉式にしているが、これを電動から手動へと仕様変更したもの。今回の工事は地元業者がJVとして参加する条件があったことや特赦な構造であることから参加社が限られていたこと。事前に複数社の見積もりを取ったうえでの予定価格であり、見積もり合わせのさいに競争原理は働いているといった答弁だった。この内容と議案書には、1社入札ではあるもの2回目の入札で予定価格を下回っていたことを考え、議案には賛成することにした。

 先に完成した八幡町コミュニティセンターでも入札の不調が続いた。境子ども園では工事業者が倒産してしまった。クリーンセンター(焼却場)でも、複数入札にするため設計変更をしている。このことを考えると、そもそも市の設計価格が適切なのかとなってしまう。税金をなるべく使わないように安く算定することは重要だが、入札自体が成立しないのでは考え直す必要があると思う。
 今回の入札が成立しなかった場合、シェルターを作らなくても駅舎機能には問題はないことを考えると、そもそも、必要なのか。もっと簡易なものでもいいのではとの議論になったのかもしれない。そうなると、長年積み重ねてきた武蔵境周辺のまちづくり構想にも影響が出てしまう。ぎりぎりのタイミングでの工事契約成立となったともいえる議案だった。

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白黒画像は議案書から
カラー画像は「これからのまち武蔵境リーフレット」より。
【参考】武蔵野市 都市整備部 武蔵境開発事務所

【資料】
2012年12月17日鉄道武蔵境_駅舎連続施設工事請負契約.pdf