保育料審議会答申で保育料と武蔵野の保育を考えてみる

 認可保育園の保育料を検討してきた武蔵野市保育料審議会の答申が議員に配布された。答申内容は、これまでにも書いてきたように低所得階層への値下げがある一方、全体平均で約9%の値上げとなるものだ。
 審議会には求められていなかった、グループ保育室の保育料に補助がないことや認可を希望していながら認可外保育施設に通っている(旧基準の待機児)のうち、所得の低い世帯への配慮を検討することを付帯事項として求めていることが特徴。12月の議会で審議され、可決されれば来年4月から保育料が変更になる。

 答申書の内容は、スキャニングしたデータをアップしてあるので詳細はこちらをお読みになっていただきたい。

 答申書を読むと、『子育て世代の金銭的負担は軽い方が良いのは当然であるが、一方で保育園運営やさらなる待機児対策をはじめとする子育て支援の一層の充実には多額の財源が必要となることも事実である』(3.保育料を改定すべしとの結諭に至った理由と留意した点について)との理由から、値上げが必要と判断した苦渋の様子が記されているなど、答申にいたった理由がよく分かるものだ。

 保育料の値上げは、正直なことを言えば、受け入れたくはない。安いに越したことはなく、昨今の経済状況や今後、消費税の増税を考えれば避けたいと思う。“議員の性”としては、自らの票、人気欲しさで考えれば反対というのが簡単だろう。
 しかし、不況下で所得が減る、あるいは会社が倒産するなどで両親がともに働かざるを得ない家庭が増えていることやシングルの家庭を考えると、保育園を増やすことも求めれている。女性の社会進出にも必要だろう。さらに、前回の保育料審議会が設置されたさいにはなかった認証保育所など認可以外の保育施設、事業も多くなり、それらの事業への補助(利用者、事業者ともに)も必要となっている。今後の施設の新設、拡充、認可以外の保育事業も増やしたいとなれば、財源が必要になるは当然だ。

 保育だけではなく広く子育て支援は、将来のまちづくりへの投資でもあり、まちの魅力づくりとして重要。だから安い費用負担で、という気持ちも十二分に分かるが、施設が必要な一方で財源がいくらでも出てくる打出の小槌がない以上、可能な範囲の負担を認可保育園利用者には求めざるを得ないのだと思う。

 答申には、武蔵野市の保育料を考える意味で重要と思え記載があった。
 そのひとつは、『武蔵野市は近隣自治体に比して手厚い職員配置を行っており、これは武蔵野市らしさであること。そのことによって運営費総額が増えはするが、所得にかかわらず質の高い保育を受けられるのが武蔵野市らしさであるという意見は大方の賛同を得た』(〃)と書かれていたことだ。
 武蔵野市の保育の質を高めている理由のひとつである職員配置について、審議会として評価していることになる。これは今後の保育を考える意味でも重要な記載だ。
 保育料を安くするには、じつは職員数や職員給与など人件費を減らすことが特効薬と言える。なにせ、保育園運営費の約8割が人件費だからだ。武蔵野市もかつては、非正規職員を増やすことで人件費を抑えたことを行ってきた。しかし、それが質を考えれば問題であり、解決策として「保育士の安定雇用の保障と信頼される保育士の人材育成・確保に努める」と子ども施策の総合計画である「第三次子どもプラン」に記載されるなど方向性を転換している。保育料の一定程度の見直し、値上げをしない限りは、また同じことを繰り返すことにつながると思うからだ。

 もうひとつは、『保育料を改定せずに保育園職員の削減や面積基準を緩和することにより、保育所運営にかかる経費を抑制しながら定員増を行い、保育料改定を回避することも可能であるが、これらの方法では児童の直接的な処遇に悪影響がでてしまう』とあった。詰め込みで保育環境を悪化させて単価を下げる手法もあるが、審議会としては否定的ということだ。となれば、残る手段は保育料の見直しとなる。

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 答申書を読む限りでは、私が主張してきたこととも同じように思うし、低所得者への値下げもある以上、反対することはできない、と現段階では思っている。他市にあり武蔵野市にはない第三子の保育料減免も盛り込まれている。
 ただ、審議会期間があまりも少なく急ではなかったか。スケジュールを考えれば最初から見直しありきではなかったかと思う。
 さらに、議会本来の仕事を考えれば、適正な保育料はどの程度か。認可、認可外へ子どもを通わせている保護者はどのように考えているかを、執行部の答弁だけで判断するのではなく、議会としても調査する時間が必要だと思う。この12月議会に議案を出すということは、来年4月からの値上げありきで、議会はすぐに賛成するだろう、継続してより調査をしながら審議するわけがないと高を括っていないか、とも感じている。そう考えると、すぐに判断すべきかと考えてしまう。

 答申書は、武蔵野市の保育を知るためにもいい資料だと思った。ぜひ、ご一読を。

 
■参考値
<1人当たりの経費>

答申書によると、認可園における園児1人にかかる経費は、年間約208万円。
そのうち保護者負担割合は平成23年度決算では10.91%。68.3%が市負担。

待機児童の解消を行う場合には、施設建設費用のほか、増加する受入児童数がそのままランニングコスト増にもつながっていくことも考えなくてはならない。

<見直し平均額>
全体で9.03%(3歳未満児9.0%、3歳児15.8%、4歳児以上2.3%)。
平均改定差額は、3歳未満児3,389円、3歳児3,567円、4歳児以上1463円。

<認可と認可外保育所の保護者負担割合比較>
 (図を参照)

hikaku認可と認可外の保育料格差が問題だが、この表を見るとその背景が分かる。

審議会の資料で、認可に入れなかった家庭の所得についてのデータがあったが、これを見る限りでは所得によって認可に入れる、入れないが決まっているのではないことが分かった。つまり、低所得でも認可(低保育料)に入れない課題が明らかになっている。認可外の低所得者世帯への保育料補助が必要になるはずだ。

【参考】
保育料の考え方

保育料を値上げすれば待機児は減るのか?  保育料 意見を聞く会から