議会改革と議会基本条例  議員力シンポジウムから<2> 

「議会基本条例でどう変わった」をテーマにしたシンポジウムの後半は、目黒議長と松本市議会から村瀬元良議員、大町市議会から八木聡議員、塩尻市議会から金子勝寿議員がパネラーとなり、議会基本条例についてのパネルディスカッションとなった。コーディネーターは、堀部やすし杉並区議。

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■議会基本条例制定へのポイント

 内容はyoutubeで公開されているのでご参照いただきたいが、パネルディスカッションで制定や実際の運用でなったポイントがテーマとなっていたので簡単にまとめてみた。会場からの質問への回答を含めてみると次のようにそれぞれの議会の特徴があった。

○松本市議会
・議会基本条例は21年4月施行。
・基本条例の活動原則に即して4部会を設置
 ①政策部会:政策提案 政策提言の仕組み、議会運営の効率化、議員研修の企画運営など
②広報部会:情報発信 情報提供の方法の検討、議会報告会の企画運営運営
③交流部会
・制定するまでは、話し合ったことは記録し会派へ持ち帰り話し合ってきてもらい次に持ってくるようにした。
・議員は事務的なことが苦手なので議会事務局の協力とやる気もあったことが大きい。

○大町市議会
・改革は議運
・一年三か月かけてゆっくりと時間をかけて制定。作るのは簡単だが、大事なのは心の醸成。
・他の議会に視察することで刺激になった。 そこまでできないと思うこともあったが、少しでも近づくことを考えた。
・議会基本条例の特徴は、市民との意見交換会、市民意見を集約する政策調整委員会の設置、議員間の自由討議の実施、市長などの反問権、重要政策の説明資料提出を求めていること。
・意見交換会を年に一回義務化しただけでなく、市民から要望があったときは、これに応じるものとすると規定している。
・議員定数の検討を公募の市民委員を二名いれて9名で議論している。市民委員は、議員だけではお手盛りと言われることと、議員がどれだけ仕事をしているか、市民も議員も知らないことから。全議員の活動内容を一年に渡り調査した。
・市民からの開催請求権は、珍しい事項とは思われなかった。
・保守系が動くことで力は大きくなる。その議長がやるぞとなれば動き出す
・会派を超えて同じ考えを持つことが重要。
・改革への気持ちの波がある。波を見逃さないこと。
・ポストも重要

○塩尻市議会
・統一地方選前の平成23年1月施行
・10か月の議論機関
・月二回、委員会を開催。議論を後戻りしないように記録を作る。スケジュール管理も徹底し間延びしないようにした
・議会報告会で得られた50項目近い意見・要望をシートに落として状況調査をし結果を公表している。
・内容は担当課の状況、 予算、 法的根拠、 総合計画の位置づけ、実施困難な場合にはその理由 将来的にどのようなことをするかなどをシートに記し、ホームページで公開している。
・報告会を開くことで具体的なことがでてくるようになった。議員が知らないことも多く得られた
・このように進められたのは、議議長のリーダーシップ。最後は多数決で決めることにしていた。議長選挙で公言したことが大きい。
・議会基本条例の制定時には、執行部と協議している。妥協したこともあるが、作り上げた・
・議会改革特別委員会委員会にかならずマスコミに来てもらい記事にしてもらった。議員も記事にされ紹介されると嬉しい。マスコミが来ると前向きの議論をするようになる。

■自由討議はなりたつか

 議会基本条例に自由討議を盛り込む例が多いが、実際には活用されていないとの指摘も多い。パネルディスカッションでは、どうやって成り立つかもテーマとなり、まず目黒議長から会津若松市議会の事例から先例として課題と成り立たせるためのポイントの紹介があった。
 自由討議は意見を言いっ放しで終わることが多い。最初から結論ありきでは討議にならない。全てのことを討議することはできないので、例えば、決算審査ではシートを作り、どこに問題があるかと事前に提案してもらい論点や認識を議員で共通化してから質疑をしている。学校の建て替えなど当局はできるというが、当局のデータを鵜呑みにするのではなくそもそも論からも確認する。議員討議の結果が見えるようになれば、分かりやすくなると思う。
 そして、論点を抽出する行司役が委員長。委員長によって討議に導ける人とできない議員、抽出できる議員とできない議員はいるなど課題は残されているが、現在進行形でやっているとされ、各議会からの発言となった

○松本市議会
・以前と同じように賛否の討論と意見を述べることはできるが、自由討議は一番の課題。
・請願者から意見を聞いて執行部には聞くが、議員間で議論をしようとしている。
・委員会で議論するさいのテーマは全会一致。反対が出て来ると一致点への説明し理解を得てもらうようにしている。

○大町市議会
・委員会で実施している。 一人でもやりたいとなればやる。
・会派で結論を決めてからでは遅い。
・論点が明確になるので、やりにくいがやって良かった。
・請願、陳情の審査では良くやっている。
・多数で決まることが分かっていれば、意見を付けることなど調整ができるようになった。

○塩尻市議会
・実際の運用では大反対にあった。
・言いっ放しだが意見という形で、“らしき”ものはしている。
・委員長が整理すると話はまとまりやすい。

■住民の評価、議会は変わるのか?

 上記のテーマの後、会場から質問に対して返答や意見交換となった。私からは、議会改革を進める中で住民がどのように評価しているのかを質問してみた。よくあるのは、議会や議員だけの自己満足で、住民は全く知らないことや住民には何が良くなるのか分からないとの指摘が多くあるからだ。議会の自己満足で終わってはならず、最終的には住民の利益に結びつかないと議会改革は意味がないと考えているからだ。
 この質問に対しては、実感はない。議員は市民に何かをしたいと考えるようになったばかりなので、結果を出せるか、形になることを示さないとならない。何をしているか分からない議会が自分たちの活動を話すようになり、議会が変わったねという人も出てきたという段階。課題でありこれからが勝負という段階であることが分かった。
 会津若松市議会でも劇的には変わっていない。しかし、震災での変化もあるが、議会報告会での話題といえば、議員報酬が多かったが今では少なくなった。 仕事をすればいいという市民も増えてきている。4年目になるが、きちんと努力すれば浸透する。先日の報告会では終わったら、拍手があったほどだった。繰り返すことで住民の考えは変わる。報告会で変わる。 議会がそういうことができると伝わることが重要との話は、多くの議会で参考になることだろう。

 そして、議会改革は議員が変わらないと意味がない。どうやっているか? との質問があった。
 答えは、会津若松では条例化が議会改革につながった。研究者、学識経験者をタイミングよく使うことが重要。コップのなかで議論していてはダメ。 外部の意見を聞く、外へ出て行くことが必要。
 議会報告会をやらなくてはならないとなれば、どう説明するかで議員が互いに協力するようになる。市民側も意見は別れている。議会側も議会で割れた、反対の意見もあったとしたほうが色々な意見のなかで結論を出したと報告した方が納得を得られやすい。チーム議会になることが重要との答えも重要なポイントだろう。
 そして、議員は言いっ放しだったのが調べるようになった。当たり前のことをするようになった。議会全体でなんとかしなくてばならないという意識になってきているとの感想も述べられていた。最後に目黒議長が議会が変わることで民主主義が進む。おかしいことは変えるべき。慣れるとそう思ってしまうが素朴な疑問は変えていくべきだとまとめていたことも印象的だった。

 議会基本条例を作っただけという例も多く聞くが、今回の例は、それぞれの議会が条例をきっかけに大きく変わった好例だろう。議会基本条例が試金石になり、議員の意識を変える大きな道具になるのだろう。
 武蔵野市議会でも議会改革懇談会が進められており、その俎上には議会基本条例も出されている。条例制定をするべきかはまだ議論されていないが、実質的に議会として議論を深めるにはどうするか、説明責任を果たすにはがテーマとなっている状況だ。時間をかけることもポイントのようだ。今後も少しずつでも進めていくべきとあらためて思ったシンポジウムだった。

【参考】
議会による行政評価と議会基本条例  議員力シンポジウムから<1>