宇宙開発技術と自治体連携

JAXA (5) JAXA(宇宙航空研究開発機構)を視察してきた。視察といっても、展示物を見ることが目的ではなく、JAXAが持つ、あるいは開発している技術を他の分野に展開できないかをテーマにした懇談が目的だった。宇宙開発技術と自治体、議員とは関係ないような気がしてしまうが、考えようによっては大きな可能性があると思う。

 視察は、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟の議員と行ったもの。茨城県つくば市にある筑波宇宙センターへ伺った。見学施設にある展示物を見学させていただき、JAXAの職員の方々と懇談させていただいた。

JAXA (1) JAXAというと「はやぶさ」が映画にもなったようにロケットや宇宙ステーションなどの開発をしているイメージが強い。しかし、話を伺うとJAXAのプロジェクトには、技術の開発や宇宙からの観測だけではなく、開発した技術を国内の企業や大学、研究機関、企業などに提供・共同開発することで新たな産業を生み出すことも大きな柱としてあるのだそうだ(JAXA産業連携)。

JAXA (3) これまでにも、宇宙ステーションでは着替えることができないため使用されている「宇宙下着」の技術を応用した匂いが気にならない下着を市販していること。同様に水のない宇宙空間では尿を飲料水にリサイクルする必要があり、この技術を応用した家庭用浄水器の市販化。ロケットの開発で得た断熱技術を建築用断熱塗料に応用。人工衛星の観測装置を使い茶葉の成分分析することで最適な摘み取り時期を判断することなどが実現している。観測衛星を活用した例としては、防災情報の提供があり、人工衛星を使った情報伝達技術を東日本大震災でも使われていたのだそうだ。

 また、現在市販されている技術を宇宙開発に応用することも研究されている。例えば、気泡緩衝材(エアキャップやプチプチと呼ばれているもの)の技術を応用して薄くて丈夫な太陽光パネルの研究が行われているのだそうだ。これは宇宙ステーションで使うだけではなく、さらに転用して市販品の改良にも結び付くことも考えられている。他にも市販されているLEDを宇宙ステーションで使うことも研究されているという。これは、宇宙ステーションでは特殊な蛍光管が使われているが、LEDのほうが電気消費量が少ないだけでなく、寿命が長いことや何よりも安全性が高い(破損しにくい)ことが注目されるからなのだそうだ。

 このようなことをさらに拡充したいが、しかし、問題があるという。それは、双方の技術をどのようにつなげるか。どこにニーズがあるかなどマッチングや新しい技術として次のステップにつなげていくコーディネートのようなことがうまく進められないことだという。技術開発を研究機関や事業者とJAXAの二者間で行う例は多いが、もっと幅を広げることも重要と考えているが、どのような事業者や研究機関があるかなどの情報も少ない。いろいろな技術展示会にJAXAとして参加して可能性を探っているが、現状ではこの部門のスタッフの数に限りがあるので対応が満足にできていないのが現状なのだそうだ。研究費用の不足もあるという。

JAXA (2)

 そこで、自治体や議会が情報の橋渡しや連携ができないかとの話になった。
 自治体が新しい技術開発やビジネスモデルに助成金を出すケースがあるが、そこに、JAXAも交えることで新たな可能性も広がるのではないだろうか。宇宙開発技術を市販化することでの産業振興だけでなく、防災情報として応用することも考えられる。緑被率を調べることや建築物を宇宙観測衛星を使うこともできるのではないだろうか。また、町工場からロケットをという話があったように、市販化されている技術や町工場が持つ技術を活用することも同様だろう。
 宇宙のように、というと大げさだが、可能性はかなり大きいと思った。今回は、議連の共同代表、斉藤直子戸田市議のコーディネートにより実現した視察で、まずは顔合わせ的なものだったが、この可能性をさらに広げることを今後は行いたいと考えている。再び、訪れてみたい。

JAXA (4)

写真は上から2点が見学用展示物から
宇宙下着から開発された匂いが気にならない下着
宇宙ステーション内部のモデル
展示され散る実物のロケットと研究開発棟