都市鉱山の可能性

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小型家電からのレアメタルの回収事業について、株式会社リーテム水戸工場を視察させていただいた。武蔵野市を含む多くの自治体で回収された小型家電がこの工場に運ばれており、いわゆる都市鉱山がどの程度まで可能なのかを伺うことが目的だ。


リーテム水戸工場は、1970年から稼働している総合廃棄物処理工場。特殊な破砕機、切断機などがあり、大型産業機械から携帯電話などの小型家電まで様々な産業廃棄物を再資源化している。レアメタルの回収もこの再資源化のひとつとして行っているものだ。
 工場の一日当たりの処理能力は、切断機で80トン。破砕施設が37.8トン。工場の敷地面積は、29,287㎡。一般的な工場よりも、高効率・高濃度で分離し再資源化しており、敬遠されがちな金属とプラスチックの複合物も再処理ができるのが特徴だ。
小型家電からのレアメタルの回収は以前から行っていたが、国が都市鉱山の可能性を探るために回収システムの実証実験を昨年、水戸市の協力を得て行っていたこともあり、視察をさせていただいた。

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■都市鉱山のほうが効率がいい

 再資源化の工程の写真撮影はできなかったため、伝えにくいのだが、粉砕後にベルコンベアーのように流しながら風や磁力、振動など各種の機器を使い種類ごとに分別し、最終的には手作業で行うというものだった。東京など遠方で回収されたものは、東京工場で粉砕し鉄などを回収、レアメタルなど回収しきれない非鉄金属複合物を水戸工場に運び、さらに細かく選別しリサイクルしているのだという。
 工場内には、小型家電だけではなく、業務用機器や工場で使われていたような機器など大型のものも多く、また、販売ができなくなったような新型の電化製品など様々な大きさ、形状のものを再資源化していた。小型家電の再資源化は、採算ベースになるのかと伺ったところ、このような再資源化システムが元からあるので、多額の設備投資が必要ないことから十分対応できるとのことだった。むしろ、もっと多く小型家電が搬入されれば利益を多く出すことができ、その利益は自治体にも還元されるので(契約上、事業者と自治体が利益を分け合う)、もっと進めるべきだとの意見だった。
 話によれば、金鉱石1tから取れる金は3~4g程度。しかし、携帯電話1tからは300~400g程度が可能であり効率がいいのだそうだ。他の金属、特にレアメタルは原材料から取り出すコスト、輸入にかかるコスト、さらに最近問題になっているカントリーリスクがあることを考えれば、有力な「鉱石」と言えるのだろう。都市鉱山と言われる由縁がよく分かる事例であり、実際の再資源化を見れば、十分可能とも思えた。

■回収がネック
 
 ただし、一番のネックとなるのが、家電をどれだけ回収できるかだ。パソコンなど家電リサイクル法で対象となっていない家電の多くは、燃えないごみとして収集されてしまい、資源にするリサイクルルートに乗らないことからだ。都市鉱山として成り立たせるには、家電に特価したシステムが必要となる。そこで、行われたのが実証実験だった。

toshi3 実証実験というと大げさになってしまうが、ようは小型家電の専用回収ボックスを市役所や家電量販店などに設置。消費者に持ってきてもらい、回収するというもの。回収ボックスはイメージキャラクターを描くなど親近感を持てるように考えれていた。
 他に環境イベントなどで回収ボックスとコーナーを設置し、レアメタルなどを回収しようとの展示説明や携帯電話を解体し中にレアメタルがあることを知ってもらうなどの周知活動や啓発活動も同時に行うというものだった。
 リサイクルの重要性を知った市民は、わざわざ大き目の家電を運んできてれるなど効果はあったようだ。捨てるにしてもどのようにすればいいのか分からない人にも、いいきっかけになったとも思われる。

 実証実験は、平成20年に日立市で行われ、高萩市、北茨城市などで実施。23年には水戸市でも行われている。
 

■実証実験の問題

 これらの話を伺うと、実証実験から日常的に行うべきだと思う。回収によるコストがどの程度なのかを検証することで、さらに広げることが可能なのかが分かるとも思う。
 ところが、このコストが不明なことも分かった。水戸市役所で伺ったところ、国の実証実験なので自治体へは詳しい情報が来ていないとされていたからだ。さらに、水戸市での実証実験は、平成23年度から始めたが東日本大震災があったことで予算がなくなり、23年度末で終了してしまったのだという。

 復興予算が、復興とは異なることに使われていると批判されている。例えば、都市鉱山を可能とするようなリサイクル工場を被災地に作ることで復興支援と都市鉱山の可能性を広げることができのではないだろうか。
 
 今回は、もともとシステムを持ってためにレアメタルの改修が可能という例だった。日本の将来を考えていくと、都市鉱山の可能性を高めるために国の政策としても重点化すべき。そして、生活に最も密接な自治体施策としても確立すべきではないだろうか。

toshi 独立行政法人物質・材料研究機構が2008年に発表したレポート「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵」によると、金は世界の現有埋蔵量の約16%、銀は22%、インジウム61%、錫11%、タンタル10%と世界埋蔵量の一割を超える金属が都市鉱山にはあり、白金は国別保有量のベスト5に入ると試算されている(画像は、同レポートより転載)。

(視察は民主党の区市町村議員団で行ったもの。視察日は24年8月29日)