武蔵野市の福祉の原点 リバースモゲージなどを見直しへ

 9月12日の市議会厚生委員会で、「福祉資金貸付制度見直し検討委員会設置について」の行政報告があった。福祉資金貸付制度(リバースモゲージ)は、自宅などの不動産を担保にして福祉サービスを受けるというもの。同様に有償在宅福祉サービスも見直す、つまり廃止を含めて検討するという。これらは、武蔵野市で始まった制度で、福祉の武蔵野と言われてきた理由のひとつでもある。そして、この事業のために設立し、事業を行っている福祉公社のあり方にも関係してくることになる。

 設置する理由は、制度開始より30年以上が経過し、社会状況が変化してきでいるため。具体的には下記があるとしている。

(1)介護保険制度の創設・普及により、在宅福祉サービスの供給体制、供給量が大きく変化したため、福祉公社の提供する有償在宅サービスが需要・供給ともに低下していること。
(2)国・民間金融機関による類似事業が実施されていること。
(3)制度が持つ不動産価格下落リスク・貸付期間の長期化リスクが顕在化し、平成成22年度には債権未回収の事例が発生したこと。
(4)福祉公社が公益法人化にむけて、組織・事業の整理・見直しを進めていること。

 検討することは下記。

(1)福祉資金貸付制度のあり方に関すること。
(2)福祉公社の実施する有償在宅福祉サービスのあり方に関すること。
(3)その他、市長が必要と認める事項

 福祉公社が設立されたのは、昭和55年(1980年)12月1日。昭和56年4月1日から事業をスタートさせている。有償在宅福祉サービスは、一定の料金を払うことで自宅で家事援助や介護のサポートを受けられるサービスのことで、それまでの施設に入るか福祉施策でしか対応できなかった高齢者への新たな福祉施策となった。サービスの提供者は地域住民で、有償ボランティアとして担うことで地域コミュニティともなるのが特徴だ。

 福祉資金貸付制度は、自宅不動産(土地・建物、マンション)を担保にして、福祉サービスを受けることができる制度。不動産はあるものの現金収入がなかったり、身近に親類がいない高齢者が住み慣れた自宅で生活しづけることができることになる。
 
 どちらも全国で初めての事業。福祉公社のこれらの事業のために設立されたものであり、福祉の武蔵野という言葉も、これらの事業があったことが大きな要素となっている。

 しかし、介護保険制度が始まったことで同じようなサービスが他の事業者から提供されるようになったこと。不動産物件が常に値上がりする時代ではなくなったことから、担保としていた不動産の価値が受けているサービスよりも低くなってしまうケース(いわゆる担保割れ)が起きていることから見直すというものだ。

 見直しでどのようになるかは分からないが、手放す、廃止となれば福祉公社自体のあり方も考え直すことになるはずだ。

 福祉公社は、市独自の事業である有償在宅福祉サービス事業と福祉資金貸付事業を二大柱として事業をスタートさせたが、現在では、武蔵野市立高齢者総合センター、北町高齢者センターを指定管理者制度により運営するなど多角的な事業を行っており、今では一般的な民間会社と何が違うのかが問われるようになっている。このことは、福祉公社に市の職員を出向させていることなど武蔵野市からの支援が必要なのかも問われることになる。民間事業者と同じことをしているのに、なぜ税金を支出しなければならないのか、との観点だ。

 30年たてば時代が変わるということだろう。時代を切り開いてきた福祉公社だが、今後をどうするのか。これまでにも、福祉公社でなければできない事業は何かが問われてきている。今回、福祉公社の原点でもあった事業が見直されることで、今後、改めて問われることになりそうだ。同時に福祉の武蔵野と言われていたことが過去になってしまわないかもだ。

【資料】
2012年09月12日厚生_福祉資金貸付制度見直し検討委員会の設置について.pdf