今度は立派な歴史資料館?  旧西部図書館の行方

 平成23年3月で廃館になった西部図書館の再利用についての説明会が5月26日にあった。公文書の倉庫にはしませんと説明があったことは良いことだったが、参加した人から、歴史資料館なら学芸員を配置してしっかりしたものにすべきとの意見が多く出されていた。
 先に議決された第五期長期計画では、税収が増える見込みはなく、限られた財源を有効に使うために新たな施設は作らない、というよりも再整備する方向が示されている。となると、この日に求められていたような歴史資料館を作ることにはならないはずだ。旧西部図書館の再利用はこの日で決定したわけではないが、袋小路に入ってしまっていないかと思ってしまった。


説明会では、昭和56年(1981年)に策定された第二期基本構想・長期計画に記されていた三駅圏ごとに図書館を設置することから武蔵野プレイス開館による廃館の流れと図書館よりもさらに前の昭和46年(1971年)から考えられてきた歴史資料館の検討についての流れが資料として配布されていた。
 資料にはなかったが、市議会でも要望する意見はあり、平成9年(1997年)には武蔵野市の開村100年の記念事業として公文書館の機能もあわせ持つ建物として旧中央図書館の活用によって設置・開設することこを前提に検討が始まっている。たがその後、計画は止まったままとなっていた。

 早い話が長年の検討課題だったのが歴史資料館だったということ。

 この日の説明会では、民俗資料の展示も必要だという意見や古文書の保存もするべきなど機能が整った歴史資料館を求める意見が大半だった。
 だが、民族資料だけでなく周辺自治体と比較して武蔵野独自の歴史的な資料がどれだけあるのか、と過去の検討会議などは指摘され、歴史資料や民俗資料を保存展示を重視するのではなく、公文書保存を優先とした歴史資料館とし、お金のかかる新設ではなく既存施設を使ってつくる、というのがこれまでの想定となっていた。さらに時代は変わり、デジタル化することで公文書保存のスペースはさほど必要なくなている。となれば、さほどない歴史資料の展示と周辺住民からの要望が多い、市民スペース(居場所)との複合型となっていたのが第五期長期計画の想定だろう。

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 従来の想定  公文書保存(優先)+歴史資料
        ↓
       デジタル化でさほどスペースが必要ない
        ↓
 長期計画   市民スペース + 歴史資料
        ↓
 説明会   (歴史資料館???)
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 ところが、この日では、歴史資料館として機能が整った施設が必要との意見が多く出されていた。歴史資料館は従来から市民要望としてあったことや旧中央図書館にできるものと考えていた人たちの思いが噴出しているのでは、とも思ったほどだった。

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 住民との意見交換はこれまでにも求めていたことで、今頃にとの疑問は残るが、開催したことは評価したい。しかし、何のための説明会かは明確ではなかった。もし、これで住民からの意見集約や意見交換が終わりとなれば、市がやろうとしていることのアリバイ作りにならなかの懸念を持ってしまう。それは、旧西部図書館を歴史資料館にとの流れ自体が不自然だからだ。

 そもそも、この日の説明では、第五期長期計画に書かれているから旧西部図書館は歴史資料館にするとの前提としていたが、平成22年の歴史資料館(仮称)調査検討委員会は市の職員だけで構成され、パブリックコメントも住民への調査も行われていない。議会へも報告書ができましたとの報告だけだ。市役所内で西部図書館の跡地利用を決めるために作ったと思えてしまう手法だからだ。
 だからこそ、議会からは施設利用について周辺住民と話し合うこと、議会の理解を得ることを求める決議が全会一致で可決しているのだ。

   ◆

 現状では旧西部図書館の再利用方法が決まったのではない。今後、さまざまな検討が行われ、住民や議会との議論が行なわれるはずだ。しかし、この説明会では、とにかくスタートを切りたいという市からの答えがあり、気になった。住民の意見ばかりを聞いていると先に進めないと思っているのかは分からないが、スタートをしたとしても、住民が置いてきぼりにならないだろうか。
 また、この日の意見はどうするのだろう。聞いただけで終わるのだろうか。この日に求められていたような歴史資料館はできないと判断しているのであれば、そう答えておくべきではなかったのか。そのうえで、最善は何かを住民と協議できないだろうか。歴史資料館自体のあり方、住民参加手法など課題が残されている。

【参考資料】
2012年05月26日旧西部図書館の再整備に向けた説明会資料.pdf

歴史資料館(仮称)調査検討委員会報告書(PDF)