六ヶ所村再処理工場

 日本の原子力発電所で使われた使用済み核燃料を再処理する株式会社日本原燃の原子燃料サイクル施設(六ヶ所村再処理施設)を視察してきた。原発の使用済み燃料の再処理や埋設保管などを行う施設であり、原子力エネルギーを進めるためにある施設ということもあり、安全性には問題なく原子力政策がなくてどうするのかといった力強い説得に驚かされるばかりだった。



 視察はローカルマニフェスト推進地方議員連盟の主催で行われたもの。国内各地の超党派地方議員とで訪れた。施設を簡単にまとめると次の四つの主要機能がある

●ウラン濃縮工場
 原発の燃料になる濃縮ウランを作る。

●低レベル放射性廃棄物埋設センター
 原発で出た高レベル以外の廃棄物を埋設して処理する。低レベル廃棄物とは、原発で使われた水や金属、プラスチック、作業員が着た防護服やマスクなど。液体と固体に分別しセメントなどで固めたうえでドラム缶に詰め、自然界に存在する放射線と同じレベルに下がるまでの300年間保管する。

●高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター
 原発から出された高レベル廃棄物を一時的に貯蔵する。自然界と同じレベルになるまでは、十万年以上ともいわれており、原発を“トイレのないマンション”と例える理由ともなっている。最終処分地は決まっていない。

●再処理工場
 原発の使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し再び原発の燃料を作る施設。残ったものは高レベル廃棄物となる。
 使用済み核燃料から回収されたプルトニウムとウランと混ぜて燃やし発電しながらプルトニウムをさらに増やすという高速増殖炉「もんじゅ」、「常陽」が建設されたが1995年に事故を起こし現在でも再開のめどがたっていない。日本より早くこの計画をスタートさせたフランス、ドイツなどは計画をすでに中止している。
 そのため考え出されたのが回収したプルトニウムとウランとを混ぜた混合酸化物燃料(MOX燃料)を燃料とした原子力発電所(軽水炉)を建設し再利用する「プルサーマル計画」。しかし、建設のめどはたっておらず、燃料の再利用はできていない。
 今年10月に完成予定だったが、5月31日に記者会見があり、完成時期の延期が発表されている。再処理工場の着工は1993年。当初、97年に完成予定だったが今回を含め19回の完成延期が行われている。工事費は、当初の7600億円から2兆円以上となっている(2012年5月31日22時48分 読売新聞)。

 視察はできたが写真撮影は禁止されていたのでどような施設かを画像で伝えられないことはご容赦を。詳細は日本原燃のサイトやウィキペディアなどを参照して欲しい。

 
 さて、説明を聞いていて思ったのは、安全への自信だった。セキュリティのチェックは何度もあり、武装した警備もある。標高は約55mで海岸から約5kmであり津波の心配はない。岩盤も頑丈。非常用電源も備わっているなどだ。さらに、ここで採用したプロパー職員が定年を迎えるほどになり多くの人材が育ってきている。超高速回転の遠心分離機によるウラン濃縮は、日本が先端をいく技術になっている。原発が50機が稼動することでここの施設の意味が出てくる。これからが重要だ。脱原発というドイツだって原発はありプルサーマルは必要。IAEAの監視員が24時間体制で監視しているなどなどの話しも伺った。そして、ここでの研究は、高度な機密なので外部に公表ができない。学者なら学会で発表して高い評価を受かられるが如何ともし難いという、少々ぐちのようなことも聞いてしまった。
 このことはさておき、自らの仕事に誇りを持ち熱心に語れるその姿勢には素直に敬意を表したい。現場にこれだけの熱意があることは素晴らしいことだと思う。

六ヶ所 しかしだ。人材が育ち、膨大な研究費や施設建設費を注ぎ込んでいるからといって、続けなければならない理由にはならないだろう。人の命や住む場所がなくなってしまうリスクを抱える原発を進める理由にはなり得ないと思う。周辺自治体や住民への影響も大きいと思うが、いかにして止めるかの研究も必要ではないだろうか。何事にも、いつかは終わりはあり時代は変わる。いや、変わらなくてはならないのだ。施設周辺には風力発電装置が77機も建っていたのだから。
 
 六ヶ所村の財政力指数は、1.71(2009年度)。武蔵野市よりも高く青森県内ではダントツで県庁所在地の青森市の0.56と比較すれば、いかに高いかが分かる。当然だが、この施設があるからこそだ。この施設がなくなったとしたら、村の財政はどうなるのか。このことも考える必要はある(日本☆地域番付 青森県の財政力指数番付より)。

 話しは変わるが、最終処理ができないため、モンゴルの平原の地下に埋めてしまうという想定もあった。現地での反対運動があり2011年10月に断念しているが、同様にオーストラリアでも考えていたこともあった。
 原発の最終処理は、他国で処理をしなくてはならないのか。このことも考えるべきだろう。

【参考】
ウィキペディア 核燃料サイクル

日本原燃 福島第一原子力発電所の事故を踏まえた再処理施設の安全対策

原子力資料室 止めよう! 六ヶ所再処理工場

六ヶ所2 施設内で唯一写真が撮れたのはここだけ