女川町の震災がれき 2

onagawa (8) 女川町廃棄物選別処理施設を視察した。ここで選別さらた震災がれきの一部が東京へも運ばれることになる。見学コースを見ただけなので、詳細までとはいかないが概要を知ることはできた。現地を訪れることで、初めて分かることも多かった。特に、現地に処理場を作れば雇用になると思っていたが、そう単純な話しではないことも痛感した。

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女川町の震災がれきの推定発生量は44万4000トン(環境省推計)。女川町の震災がれき(震災廃棄物)全体の内訳を見るとコンクリートが全体の約43.6%(重量比)で、木材が19%、金属が15.2%となっている。
onagawa (5) このがれきを一次仮置き場でコンクリートや金属、木材、金属などに粗選別し、残った混合廃棄物(重量比で58.6%)をこの廃棄物選別処理施設へ運び、機械での選別した後、手作業で木材やプラスチックなどの可燃物と石や陶器、石綿、ビン・ガラスなどの不燃物などへさらに分別するというのが選別処理の概要だ。
 運ばれた混合廃棄物のうち、31.1%を占める木材や25%となる可燃物を焼却処分することになり、その一部を広域処分する。東京都で焼却処分するのは、平成23、24、25年度の三年で約50万トンとなる予定だ。

 注目されている放射線の測定は、選別エリア(地上1m)、選別した後、ストックヤードで抽出したものをバックグランドから遮蔽しての測定。処分する廃棄物を積み込んだコンテナを外部から測定する。どれもが、空間線量の測定でシンチレーションの測定器を使用している。そのほかに放射性物質濃度も検査をしていた(画像参照)

■放射性物質について

 震災がれきを受け入れる、受け入れないで争点になるのが、がれきの放射線量だ。あくまでも施設側の数値を見た範囲だが、特に問題となる数値ではないと思える。私の測定器(ホリバのradi)で簡単に空間線量を測定したみたが、処理場でも一次仮置き場でも空間線量は武蔵野市の数値とほとんど変わりがないものだった。これは福島第一原発からの距離を考えれば当然のことだろう。

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 ただし、たとえ低い数値だとしても焼却により濃度は上がる。それを少数のまとまったところで焼却処分するとなれば、微量だとは思うが数値は上がるだろう。このことで処理する地域は現状よりも危険性は上がることになる。数値的な考察ができないので、どの程度かの結論を現状では出せないが、なるべく危険性を少なくすることを最優先させると考えれば、広域処分には疑問符が付くと思う。
 PCBやアスベストが紛れ込む可能性については、一次仮置き場での粗選別で取り除いていると説明があった。

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■事業として効果的か

 震災がれきの議論で、広域処分することで処理する時間が早まるとのメリットがよく言われている。現地の人に聞くと、震災を思い出してしまうがれきを見たくない。車を運転するときも、見ないように違う道路を通るようにしている。昨年の夏は、がれきからのハエが街中に異常発生していたので衛生的にも早くして欲しい。一日も早くなくして欲しいから、東京都からの申し出でにはたいへん感謝しているとの話も聞いた。

 このことは心情的には理解できるし、なるべく早くすべきとは思う。都の対応もあってだろうが、女川町の震災がれきは、来年には処理ができそうだとの見込みも聞いた。これはこれで良いことだとは思うが、時間だけが判断基準でいいのか。全体的なお金のかけ方も検証すべきはないのかとも思う。

 広域処分することで当然ながら移動などに費用が発生する。早くすればするほど費用はかかる。少し時間を遅らせることで復興へのお金として使えないのかと思うからだ。普通に考えれば、できれば女川町内で処理。それでもダメなら近隣自治体で処理をしていくというものだろう。
 しかし現実的に考えれば、人口約1万人の町に大きな処理施設を作ることはできないというのは分かる。ならば、近隣でと考えていくべきではないだろうか。九州まで運ぶことが合理的かと考えれば、現実的ではないと思えてしまう。

 女川町の復興計画はまとまったばかり。これから詳細な計画になる段階だ。現地の人には申し訳ない気持ちもあるが、お金を有効に使うために、使い方の検証が必要ではないだろうか。

■現地の雇用になるか

 現地で処理場を作ったほうが現地の雇用になるはず、と指摘されることがある。しかし、この施設での求人には満足な応募はないのだそうだ。現地では建設関係による事業は多い。私が女川に宿泊しようと思ったが、建設関係者が長期滞在していることもあり泊まれる所はなく、近隣自治体のビジネスホテルも空いていなかったほどだ(温泉宿はあったが)。処理施設でいくらになるのかまでは知らないが、このような状況を考えれば他にも雇用があることになる。処理場でどの程度の雇用かと考えればと考えれば、雇用のための処理施設とはいえないと思った。

 そのことよりも、がれきはいつの日にかなくなるので、正規雇用にはならない。短期雇用でいいのか現地の人に言われてしまった。自分たちの町のがれき、もしかしたら自分や遺族のものを選別するような仕事を雇用だからといって勧めるべきかと問われると何もいえなくなってしまう。
 また、女川は漁業で成り立っていた町。がれきの処理ではなく、魚を取り、魚を加工し、魚を売る仕事がしたいとの思いも聞いたからだ。

 早く漁業を再建しないと、人がどんどん町外へ出て行ってしまうとのあせりもあるという。

 つづく

写真は上から

・第一次仮置き場
・廃棄物選別処理施設で機械選別にかけるところ
・手作業での選別
・放射線測定の様子(左右下)
・廃棄物選別処理施設

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