議会報告会の重要性

soukai 3月25日に行われた市民と議員の条例づくり交流会議の総会で議会報告会についてのパネルディスカッションが行われた。議会基本条例を制定した自治体議会が250を超えた現在(※)、制定しても実際の中身が変わらないという新たな課題が出てきている。この課題解決には、議会報告会が大きな意味を持つと思えた内容だった。

 議会報告会は、多くの自治体議会で行われている。都内では、多摩市議会が行っており、立川市議会が4月28日に初の議会報告会を行う予定だ。議会基本条例を制定するさい、この議会報告会を規定するかどうかで、“ホンモノ”かどうかを判断する研究者もいるので重要な要素になる。

 しかし、議会報告会を行っているはいるものの、いくつかの課題がでてきている。これはまた、議会報告会を実現しようとするさいの壁ともなっているものだ。
 例えば
・個人で報告会をしているのになぜ議会として必要なのか
・議会が執行機関のような「決まったことの説明」をすることが必要か。適切なのか
・議案に反対していた議員が可決した議決に対して「連帯責任」を負わなければならいのか…などだ。

 また、議会基本条例を制定しても、改選された後の新たな議員に、それまでの改革の本質をどう伝えればいいか。何も知らないで、議会改革を訴えている議員が当選することがあり、改選前の議会の様子も知らないままで一般論で行おうとするなどの問題もある。
 
 この日のパネラーは、このような課題はあるものの、議会報告会があることで議会改革が進められている例として、それぞれ特徴のある議会からの登壇だった。
 コーディネーターは広瀬克哉法政大学教授。それぞれの議会の概要と広瀬教授のコメントをまとめてみる。

○臼井真人気仙沼市議会議長
 栗山町議会がモデルとした議会報告会を行っていた旧本吉町と合併した市。合併後の2012年に議会基本条例を制定。議会報告会を再スタートしている。旧本吉町の例があったので、制定までの期間は短かった。議長選挙(非公開)も実施している。

・広瀬教授のコメント
 今は課題が高度化しているが、復興計画を議決事件に加えるなどできることからさまざまな課題を解決しようとしている議会の例。

○結城繁取手市議
 議会報告会を実施していたが中止。その後、議会報告会を再開した他に例がない議会。
 委員会で傍聴自由化、メーリングリストやツイッターによる議会情報の発信、反問権の付与などの改革も進められてきているなかで議会報告会を年に四回、実施した。報告会をやりたくない議員もいるので、議会便りの内容など決まったことを報告することと住民との意見交換とした。しかし、当初は79名の参加があったが、少ない時には4名と少なくなり、参加者も特定の人だけが多いこともあり全員協議会で採決が行われ中止に。その後、議員有志で継続していたが、議会に陳情が提案されたことから復活。今は、議会基本条例も制定しており報告会も盛り込んでいる。
 一方、議会としての新たな課題もでてきている。取手市議会では、陳情が提出されたさい、陳情者と傍聴者から意見を述べることができるが、一人の人が何本も陳情を提出し、一件ごとに陳情者と傍聴者、それぞれの立場で発言することとが起きている。このような場合、どうすべきか。議会報告会を活用すればこのようなことへの対応になるのかも含めて課題となっている

・広瀬教授のコメント
 議会報告会へ市民の関心が高まらない課題があるが、特定の少数が使い始めると、その人の制度なのかになり議会が問題視してしまう例。市民の権利はないのは困るが、乱用に近いように使うことはどうか、解決手法が問われている。

○芳賀沼純一南会津町議会議長
 毎定例会ごと(年四回)に報告会を実施している。全国で数少ない例で4年間続いている。議会改革は、勉強して他を参考にして行ったのではない独自路線。この交流会議に参加して、初めて全国で改革が行われていることを知り自信ともなった。議会改革は、議員を減らせ、報酬減らせが改革と考えられ、22名に削減となったことをきっかけに、報酬を減らせと言われないためにも住民と話すことが必要と考え議会報告会を始めた。当初はやりたくない議員がたくさんいたため、約束事は報告決まったことを報告するとした。これは、議案の賛否が分かれている場合、議員同士が議論になってしまう失敗があったこともある。住民から個人の考えを聞きたいと問われた場合は、個人を呼んでくれと説明をしている。
 報告会は、前半が議会の報告。後半は意見交換として、答えられるもは答えるが、分からないは分からないとして、文書で答えるなどで対応をしている。また、意見を元に現場を見たり執行部に確認をする、一般質問に使うなどで解決をしてきている。
 モットーは町民の代弁者が議会であること。議会報告会で90%の議員が勉強するようになった。議会でのいびきもなくなった。

・広瀬教授のコメント
 住民に聞かれ、分からないこと分からない。後で調べて報告することで理解が得られるようになり、自信を持ったことが大きい。

 
★議会報告会を実施するとなると、疑問視する意見は数多く出される。しかし、実際に行うことで議会や議員の力がより高まること。住民が理解するようになっていくことは明らかだとこの報告を聞いていて思った。
 議会改革の本質は、住民にとってベストな議会なのかが問われるのであって、それを決めるのは議会、議員ではない。住民との議論によって創るべきだろう。その意味でも議会報告会、意見交換は重要ということだ。
 また、選挙などで議員構成が変わると、それまでの改革の意味や本質が伝わらないことも多い。そのため、明文化したルール、条例が必要不可欠だあることを再確認したパネルディスカッションだった。
 そして、条例は形骸化することもある。制定することがゴールではなく、時々の課題に応じて活かすことも考えていかなくてはならないとも思った。

自治体議会改革フォーラム 2012調査の速報値より。同フォーラムは、市民と議員の条例づくり交流会議のプロジェクトのひとつ。速報値は口頭での報告