がれきの広域処理  対立の前に

gareki
 知人の佐藤丈晴酒田市議から3月18日に「東日本大震災に係る災害廃棄物の受入処理に関する決議」を全会一致で可決したとの連絡を受けた。がれき受入れでもめている静岡県島田市でも市議会が賛成多数で受入れの決議を可決している。復興への大きな課題となっているのが、がれき。復興支援への手助けとしてナントカしなくてはならない、と思うのは当然だ。同じような決議は広がるかもしれない。
 しかし、放射線への懸念は払拭されていないのも事実。『バラまかないで!震災がれき 燃やさないで!放射能ごみ ~放射性物質に汚染された廃棄物についての要望書~』との全国署名も始まっている。復興支援は、日本全体で取り組む必要はあるが、今一度、情報を整理して考えてみる必要がある。



  被災地以外でがれきを受入れについて、東京都がすでに受入れを始め、黒岩神奈川県知事も表明、県民の理解を求めようと対話集会を開催している。

 原発に一家言ある自民党の河野太郎衆議院議員は、自身のブログで「被災地には、当面、がれき処理の雇用があればよいという考え方には、私は賛同しません。本格的な復興を早く成し遂げて、本格的な雇用を創出するために、国の予算を使ってがれき処理をしてもよいと私は思います」と述べ、神奈川県の受入れには賛意を示している。被災地に焼却場を作ったほうがいいとの意見があるが、実際には作られていることや何よりもがれきを処分しないと復興が進まないことが賛同の理由としていた。

※河野代議士のブログには震災がれきのQ&Aがまとめれており、代議士の考え方が整理されている。下記の岩泉町のこともある。ご参考まで

震災がれき Q&A その1
震災がれき Q&A その2
震災がれき Q&A その3

 一方、私のブログにもいくつかコメントが寄せられているように、疑問に思う人は多い。例えば、沖縄県では「瓦礫の広域処理の問題点を認識し、沖縄県独自の被災地支援ビジョン策定を求める陳情書」が作られている。この陳情書を読むと、被災地支援は必要だが放射線検査には不備があり安全性を確保できないことや広域処理でおこなうがれきは、全体料の20%でしかなく、受入れを進めても根本的な解決にはならない。原子力規制法と矛盾するなどの多くの問題点が指摘されている。
 
 また、NEWSポスセブンは、『震災瓦礫 カネの成る木に変身で500の自治体、企業が立候補』(2012.03.14 07:00)の記事を配信しており、多くの焼却場は一定のごみがないと稼動を続けられないため、ごみが欲しい状態になっている。そのため、費用を国が持ち補助金までつくがれき処理は「カネの成る木」となっていると指摘。『東北から沖縄まで瓦礫を海上輸送するとなるととんでもない運搬費用がかかる。瓦礫の広域処理で全国にゴミ輸送ネットワーク利権を張りめぐらそうというのが環境省の狙いで、産廃業界は特需に沸いている』とまで書かれていた。
 
 広域処理に疑問を唱える被災地の首長もいる。朝日新聞の岩手版で連載されていた『復興に向けて 首長に聞く』のなかで伊達勝身岩泉町長が述べていたことで『無理して早く片付けなくてはいけないんだろうか。山にしておいて10年、20年かけて片付けた方が地元に金が落ち、雇用も発生する。
 もともと使ってない土地がいっぱいあり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に使って全国に運び出す必要がどこにあるのか』というものだ。
 

 被災地に津波対策を考慮して、がれきを利用した堰堤、防波堤型の処分場をつくるという提案もある(E-wave Tokyo 「三陸海岸 津波被災地 現地調査 ⑮復興に向けての提案」)

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 東京都が受入れを表明し、今年、もしかしたら武蔵野市など東京の多摩地区でも受け入れる可能性が出てきてきているなか、正直なところ、受け入れる、受け入れないのどちらにも正論があるように思えてしまう。

 そこで最も参考になると思えたのが、最近がんばっている東京新聞の「こちら特捜部」で掲載されいた記事「震災がれき広域処理は問題の山 環境総合研・池田副所長に聞く」だろう。上記のE-wave Tokyoを発行している方でもある。

 この記事を読むと、がれきの放射線量はサンプル採取であるため、安全性へ疑問があることや「日本の焼却炉における排ガス規制は、ヨーロッパに比べて非常に甘い。規制されているのは窒素酸化物、ダイオキシン類など5項目にすぎず、重金属などは野放しだ。こうした未規制の物質が拡散する恐れがある」と危険性を指摘していた。
 
 そして、「高台移転には、沿岸部のがれきは全く障害にならない。がれきが復興の妨げになっているかのような論調は、国民に情緒的な圧力を加えているだけだ』、「『受け入れる、受け入れない』という騒ぎになれば、反対する住民への不信感が募るだろう。受け入れを迫られる住民たちも、本当は被災地をサポートしたいのに信頼できる情報もない中で心の余裕を失う。こうした対立構図をつくっているのは国だ」との指摘もあった。
 
 
 現地で処理できれば一番いいとは思うが、がれき処理は単純な構図ではない。絶対安全という言葉が原発事故で失われたと同様に、現状のままの情報では、安心にはつながっていないと思う。何よりも、受け入れる、受け入れないで、それぞれの人格を攻撃するようなことになってしまっては、不幸を生みだすことになる。科学的な議論をせずに、感情論、精神論で決めてはならない。本当に必要なのか、安全なのか。効率的なのかを、まず科学的に考えてみることが必要だ。すぐに賛成、反対を判断する前に。 

 今回は消化不良の内容となっていますが、今後も考えてみたいと思っています。

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東日本大震災に係る災害廃棄物の受入処理に関する決議

 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、マグニチュード9.0という未曾有の大地震と巨大な津波を引き起こし、約2万人の尊い命を奪った。それに加え、東京電力福島第一原子力発電所に致命的な被害を与え、愛する故郷を離れざるを得ない人々がいる。
 また、この災害は、東北太平洋側の被害にとどまらず、日本国民すべての日常生活や産業活動に影響を及ぼした。
本市としても、市長を先頭に、市民を挙げて被災地の復旧、復興支援に取り組んできた。しかし、市議会で視察をした宮城県気仙沼市の災害廃棄物の状況など、いまだ多くの被災自治体で処理しきれないがれきが、復興への動きを阻害している事実は、被災地に隣接する本県、本市として、見過ごすことはできない。
 ようやく政府は、災害廃棄物の広域処理の促進について、受入自治体への支援策を打ち出し、法的整備も検討されているが、がれき処理は遅々として進まない状況にある。
そのような状況の中、昭和51年10月29日に発生した酒田大火で、全国の自治体や市民から支援をいただいた酒田市は、率先して復旧、復興支援にあたる役割を担っている。
 ついては、東日本大震災に係る災害廃棄物の広域処理について協力するため、下記について、強く求めるものである。

  記

酒田市並びに酒田地区広域行政組合において、東日本大震災に伴い発生したがれきその他の災害廃棄物に関して、放射能汚染の不安のないことが確認されたものについては、受入処理に協力すること。
 なお、受入にあたっては、放射能汚染濃度の測定体制を速やかに構築し、住民の不安解消に努めること。

以上、決議する。

平成24年3月15日

酒田市議会