松阪市が「マニフェストの作成支援条例」を提案

 三重県松坂市で「松阪市政に係るマニフェスト作成の支援に関する条例」を上程されることになった。市長と議員へ立候補する人へ市政の情報を提供することで現職と新人との情報格差、マニフェスト型選挙が進むことが考えられる。議会からの反応は芳しくないようだが、この考え方には注目したい。



 松坂市の市長、山中光茂さんは第5回マニフェスト大賞でグランプリを受賞しており、自らの選挙でマニフェスト型選挙を実践している。マニフェストというと、民主党のせいか信用がた落ち状態だが、本来はなんとなく良いことだけ並べて実現は考えていなかったり、選挙が終われば消え去ってしまう。あるいは、財政状況は無視してアレもコレれも何でもかんでもやりますといった公約から現実を踏まえてやることを有権者へ約束するものだ。地方議員の場合は、予算提案権がないため市長や国政政党とは異なり、条例の作成や議会での政策提案、活動などを示すことになる。

 市政の情報が分かりにくいために、絵空事を並べてしまう候補者が出ないようにすることや市民にとっても、財政状況を踏まえた情報が分かることになり考え方としては良い方向だと思う。何よりも、同じようなスローガンが並び、誰が何だから分からない状態で投票するのではなく、政策や現実的な内容で判断して投票ができるようになる可能性が高くなるからだ。提案理由には住民自治が推進されることもあるとされている。

 松阪市政に係るマニフェスト作成の支援に関する条例の解説では以下のように書かれている。

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 有権者が市政に対する意思を表明する選挙で、マニフェストや政策を比較・検討できるマニフェスト型選挙を定着させることは、候補者の主張と責任を明らかにできると同時に、それを選択する有権者の意思と責任も問うことができる。また、その後の市政においても議会と市長の活発な政策論争はもとより、有権者は今後の市政に関心を持つことができるようになるとともに、マニフェストをもとにして議員と市民、市長と市民との対話や議論を重ね、それを政策に反映させていくことが可能となるなど、分かりやすい市政運営が期待できる、という意義がある。
(中略)そして、候補者がマニフェストを掲げて選挙を闘うマニフェスト型選挙の定着は、地方自治体の運営は地域住民の意思と責任において行われるべきであるという「住民自治」の理念にもつながるものであると考えられる。
 また、マニフェストが今後の松阪市の重要な政策の基本となるものであるという認識を、有権者はもとより行政職員も持つことができる
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 ただ、議会からは「市長や議員になる人は自分で勉強して当然。なぜ行政がそこまで支援するのか」、「積極的な支援は、政治活動の支持にならないか」(中日新聞2012年2月10日)と疑問視する意見があり、成立するかどうかは分からない。
 本来なら、市民や議会側からこのような条例、あるいは情報を分かりやすくするように求めるものだと思うが、市長が提案していることの本音の部分の理由は分からない。この提案がどうなるか、注目したい。

 同じような制度を要綱で定めている自治体は、岐阜県多治見市、中野区など全国に8自治体ほどあるが条例は初めての事例。

【参考】
松坂市 マニフェスト作成支援条例
      マニフェスト作成支援条例_解説

中日新聞2012年2月19日 「マニフェスト 地方では工夫が進むよ」