大阪府議会、名古屋市議会、会津若松市議会。首長の関係と議会基本条例

 2月2日、3日に開催された自治体サミットに参加してきた。いろいろなプログラムがあったが最も興味深かったのは、「新時代の地方政府を実践する ~首長と議会 改革の最先端~ 」と題したパネルディスカッションだった。浅田均大阪府議会議長/大阪維新の会、横井利明名古屋市会前議長、目黒章三郎会津若松市議会議長と全国的に注目を浴びている議会がパネラーとなっていたからだ。コーディネーターは北川正恭早大マニフェスト研究所所長だった。

 それぞれの議会が注目されているのは、首長との関係だった。大阪府議会は橋下前知事、名古屋市議会は河村市長、会津若松市議会は議会改革で注目され議会による政策形成を行っているが市長や行政側との関係が伝わってこないからだ。
 パネルディスカッションの冒頭、各議会の概要が話されたが、浅田大阪府議会長からは経歴として維新の会の政策担当。元自民党だったが、当時は政策の勉強していないことや改革をしようともしなかったことから維新を作り橋下知事(当時)とともに改革を進めてきた。
 横井前名古屋市議会議長は、市長が800万に給料下げたのに議員はどうか。極楽トンボとテレビで言い出すことで市民の気持ちは、この時代で楽をしている、高すぎると批判の声が大合唱になってしまった。議会基本条例をテレビカメラをいれ、生中継もしながら市民に見えることで作りあげたが議会リコールで市長自ら署名を集めることも始めたので給料は高いの声は止まない状態だった。議会としては、議会基本条例は大きな財産になっている。河村市長の唯一の功績かもしれない。
 目黒会津若松市議会議長からは、動かない執行部に対して議会から動こうとしたことが始まり。その結果、大会派から議長を選ぶのではなく議長選挙によって議長を選ぶようになり、政党の会派も投票で割れるなどもあり無所属、それも3人会派から議長になるようになったとされていた。

 北川所長によれば、首長と一体型が大阪。対型が名古屋。議会主導型が会津若松となる。議会基本条例をそれぞれが制定していることも特徴だ。パネルディスカッションではいくつかのテーマごとに各議会からのコメントがあった。議会の特色などを発言から簡単にまとめてみると次のようになる。

■議会運営の重点
○浅田大阪府議会議長
 議会基本条例を制定している。このなかに議員の職務、職責がある。これは自治法にはないことだ。内容は、住民意思を代表して議員提案として政策形成をすること。このことを見せるのは予算に反映している必要がある。そのため、編成のなかに議会ははいることを提案している。議会内閣制に持っていくべきとの考え方だ。しかし、他の会派がチェック機関にならなくなると反対している。他に議会の見える化も進めている。ユーストリリュームも利用している。しかし、議員間討議は条例では規定していない。

○横井前名古屋市議会議長
 どうしたら議会改革ができるかと言えば、ワケの分からない首長を迎えると目が覚める。全て首長に持っていかれる、これではいかんとなる。議会基本条例という仕組みが議員を変えると考えている。特徴は、報告会を入れたこと。議員ではなく議会として行う。しかし、河村市長は自治法違反と予算をつけていない。政治心情を述べることに公費をつけらないというが、議会が市民と密接になることを嫌っているようだ。
 他にも議員間討論で議会が変わる。寝ている、黙っている、逃げるなどができなくなる。名古屋市議会では発言をしていなくても、名指しで意見を求められるので、寝ている暇がない。勉強していないと、しどろもどろになってしまうことになる。委員会中継もテレビで生中継しており、アナウンス付きにしている。市会だよりは議員だけで作っている。このことで、議員が考えるようになった。
 議会基本条例では、議員間討議を規定してあり、何も発言しない人への質問もできるようにしてある。そのため審議には緊張感がある。反問権も議論したが、市長を考えて導入していない。

○目黒会津若松議長
 議会として報告会、議員間討論、市民が見表明ができないようではニセ議会基本条例とされてしまうが、すべてをやり、なおかつ、市民との意見交換会を重視している。議会に求められているのは政策提案、立案。それも生活者基点として。
 議会活動の主語は議会。議員個人としての意見ではなく、議会としてどうしたか、何をしたかで行っている。その結果、会派の垣根が下がった。議会としての一体感ができた。
 しかし、市民にはまだまだ浸透していない。何に役立つんだと言われることもある。例えば、議員報酬を市民に聞いた。年間、何日働いているか。市長との歳費と比較して説明した、それでも高いとの声は多い。どう価値を分かってもらうかがこれからの課題。
 議会基本条例では、議案について議員間討議をしたいとすることで事前勉強をするようになった。当局は退席してから議員間討議をしている。議案審議の前に、論点整理して共通の土俵を持つことが必要だ。視察費を使い講師を呼び研究など行っている。議会として当局頼みはないことにしている。相談相手は議会事務局。条例で反問権はあるが使われていない。今後は、災害対策本部を立ち上げたとき、議会がどう関わるかが今の研究課題。

■二元代表制で困ったこと

○浅田大阪府議会議長
 維新の会の代表が市長、幹事長が知事、政調会長が議長だから二元代表制をある意味、解体していると言われる。しかし、大阪には3000ぐらいの事業があり、首長がすべて見ることは不可能。議会としても見る必要がある。大阪府では、予算の編成過程を見ることができ、課長が予算要求も分かる。議会も積極的に関与すべきではないか。議会が形骸化しないかといわれるが、知事提案を否決したこともある。知事提案ではなく役人提案であることもあり、議会の意義はある。

○横井前名古屋市議会議長
 河村市長が出てくるまで二元代表は意識しなかった。市長の権限は、首相と大統領を持っているほど強い。例えば、議会が議決した条例が気に入らないと交付しないことをしている。さらに裁判で議会を訴えた。地裁では議会の勝ち。今日、控訴をしたので結論はまだが、このようなことをする市長だ。議会対市長では負けてしまう。市民対市長にならないと。そのためには、議会が市民に期待され、信頼されていないとならない。

○目黒会津会津市議会議長
 公共施設の再配置計画の策定委員会があったが議会は入らないので、議会で独自に検討委員会を作り市民と対話をした。市民は、議会と執行部は違うことが分からないこともあったが、議会で説明しながら行った。その結果、執行部案を白紙撤回させ、議決事件にもした。 

■大阪都構想は

 それぞれに、内容は異なっていても議会活動が活性化していることはよく分かった。議会とは直接の関係はないかもしれないが、北川所長から大阪都構想など大都市制度について大阪と名古屋の状況についても番外編としての質問もあった。

○浅田大阪府議会議長
 大阪市と府がやっていることが変わらない。そのために広域行政を一元化するもの。また、現在の大阪市では、大きすぎて住民の顔が見えないと橋下市長が言っている。大阪都構想の考え方の基本は、民間できることは民間でがある。
 維新は政党をつくろうとは思っていない。それぞれでやっていけばいい。

○横井前名古屋市議会議長
 党首が首長である地域政党を見てきたがストッパーがなくなる問題がある。干渉しチェックしていくことが必要。名古屋の例からでは危険だ。中京都構想の中身を聞いたことはない。会合も一回も開かれていないようだ。政局優先でしかないのでは。河村市長はやりたくないようだ。橋下知事から言われたからやったのではないかと考えている。

★番外編は別としても、それぞれの議会が活性化していることは話を聞いているだけも伝わってきた。活性化した理由もそれぞれだが、議員間で議論すること。政策形成能力を持つ、果たそうと考えることで活性化することになる、つまりは議会改革が進み、住民に不要といわれない議会になるのだろう。いい刺激になったパネルディスカッションだった。武蔵野市議会でも反映させたい。

【参考】
自治体サミット2012 VOL.1 
~新しい時代の地方政府とは その意義と実践~ チラシpdf