脱原発世界会議 国任せではなく自治体から主張を

 datu1月15日に開催された脱原発世界会議に参加してきた。会議といっても大ホールでのイベントから小テーブルを囲むようなワークショップまであり、バラエティなプログラムでとても全てには参加できない規模だった。いくつか参加したプログラムのなかで興味深かったのは自治体から何ができるかだった。



 
 脱原発世界会議は、1月14日と15日にパシフィコ横浜で開催された。主催者によると海外からの約30国、100名を含め、のべ1万1500人が参加。インターネット中継の視聴者は、約10万人となったと発表されている。会議の終了時には「原発のない世界のための横浜宣言」が発表され、今年の3月11日には全世界での行動も呼びかけられた。
 
 この会議でいくつかのブースで話しをさせてもらったり、プログラムに参加したが、自治体から何ができるかをテーマにした「福島と全国を結ぶ ~地方自治体は福島のために何ができるか~」(福島原発震災情報センター持込企画)と特別セッションとして開かれた「首長会議」は、これからの自治体のあり方、行動を考える意味で非常に参考になる内容だった。

datu3「地方自治体は福島のために何ができるか」は、主に地方議員が行っている放射能汚染食品を被災地に送る活動や避難者への住宅借り上げ支援、健康相談などの活動が紹介され、被災地から離れ放射線量が低い地域で長期間の保養を子どもたちに与えられないかがが話し合われた。その後、首長会議へ全国の市区町村長らによる脱原発のための首長ネットワークをつくることを提案しようとなった。

 その後、別会場で開催された首長会議には、井戸川克隆福島県双葉町長、桜井勝延福島県南相馬市長、石井俊雄千葉県長生村長、保坂展人東京都世田谷区長、三上元静岡県湖西市長、西原茂樹静岡県牧之原市長、笹口孝明新潟県元巻町長、上原公子東京都元国立市長がスピーカーとして参加。山本コウタロー白鴎大学教育学部教授(フォークシンガー)による司会で進行され、各首長による原発への考え、今後の行動についての発言があった。概要を簡単にまとめてみる。

■これで終わりかと思った
 井戸川双葉町長は、事故は絶対ないといわれてきたなかで事故は起きた。その時思ったのは、死の灰ってこうなんだ。匂いもない。これで終わりかと思った。しかし、まだ終わっていない。1ミリが基準になりつつあるが、それ以上の地域があることを知ってほしい。役場機能、職場、商店も学校もすべて放棄して避難している。近代社会で創造できないことが起きてしまったと訴えていた。それなのに、国も事業者も対応が他人行儀で情報が閉ざされいるとの指摘も考えなくてはならないものだった。 

■何も変わっていない
 桜井南相馬市長は、現状について実態として何も変わっていない。未だに被災地のなかを捜索している人がいる。2万7000人の市民が自宅を追われている。人生が180度変えられたことを想像したことあるだろうか。これだけの大きな被害から逃げるわけにいかない。二度と起こしてはならないから脱原発だ。原発の再開や収束したと報道があるが、原発は無理やり修理をやっていた。私は修理屋でもあるので思うが、まだまだ危険、微妙なバランスのなかで対応をしている。非常に乱暴なことで憤りを感じていると発言。報道ではなかなか伝わらない現場の姿を話されていた。

■自治基本条例があるから判断できる
 西原牧之原市長からは、浜岡原発の永久停止をなぜ求めたかについての話もあった。牧之原市は浜岡原発がある御前崎市に隣接し浜岡原発から10キロ圏、中部電力と安全協定を締結している。市議会が「確実な安全・安心が将来にわたって担保されない限り、永久停止にすべきである」とする決議案を可決しており、西原市長も議場で「市民の安心・安全のため、永久停止は譲れないと強調したい」と発言している(朝日新聞2011年9月26日)。
 西原市長は、福島の事故について、誰が見たって原発を止めて欲しいと思う。私もそう思い市内の企業の聞き取り調査をし、市民意識調査も行ったところ、6割が止めるか廃炉となった。そのため、最終的な判断を市議会に求めたのがこの結果だったされていた。ただし、議会には廃炉を求める意見から再稼動を容認する意見もあったことから、安全が担保できなければ永久停止という内容になったのだそうだ。
 市長はまた、安全なんか担保できない。牧之原市は中部電力は安全協定を結んでいる。知事や周辺が再稼動をやろうとしたら自治基本条例があるので住民投票を行って判断する。住民の命を守るために地方からやりたいとも発言されていた。牧之原市には自治基本条例と議会基本条例があり、苦しいことも楽しいことも市民と共有しようとしているからだとの主張には感銘を受けた。

■世論が二分なら決めるのが政治家
 浜岡の廃止を求める原告団のひとりでもある三上湖西市長からは、9.11テロを思い出して欲しい。私がテロの首謀者だったらどうするか。原発を狙っただろう。今の原発は、自衛隊が守っているのではない。警察だ。守れるのだろうか。地震と津波については、国は神戸や奥尻島で調査をしているはずだ。それなのに事故が起きてしまった。これで、技術大国の日本が信用できない、日本の技術が問われていることにもなっている。
 今、原発で世論はまっぷたつ。原発やめろと推進派で分かれている。そうであるのなら登場するのは政治家だ。どちらの方向がいいのか選択をしなくてはならない。だから、4に脱原発の宣言をしたとの発言もあった。

■実行力のある政治を
 他にも省エネルギーの推進やエネルギー推進など自治体から脱原発へとできることの発言が続いた。また、福島では災害復興への道路さえできていない。その状況でやんばダムを作るべきかとの発言もあり会場を沸かせていた。

 原発を抱える自治体の首長からの発言は現実の重みがあり、さらには、このままの社会ではだめ。首長には住民の生命を守る役目があり、権限がある。首長が立ち上がり脱原発への仕組みを作り新しい社会を作るべき。首長がリーダーシップを発揮すれば総理大臣よりも、実行力のある政治が可能。原発政策が変えられるとの趣旨でネットワークをつくろうとの呼びかけがあり、出席者全員の賛同となった。
 
 具体的な行動などはこれからになるのだろうが、大きな意味があった会議だった。
 国任せでは先行きが見えない。地方自治体が主張し将来を考え変えていく、脱原発も進められる。そういう思いなのだろう。私もそう思う。国任せ、人任せではなく行動すべきなのだ。そして、首長任せでもなく、と付け加えたい。