記憶に残す防災意識

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 1月17日は「防災とボランティアの日」。阪神・淡路大震災をきっかけに、ボランティア活動への認識を深め、災害への備えの充実強化を図る目的で閣議による制定された日だ。阪神・淡路大震災から17年。東日本大震災の記憶も生々しいなかにあって、あらためて震災への備えを、今一度、考えてみたい日でもある。
 昨年、市議会総務委員会で「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」と「大阪市立阿倍野防災センター」を視察させていただいたが、自らの身は自ら守るという大原則をいかに伝えていくかが重要だと思わされた。そして、その手法はさまざまあり、“大阪らしい”手法はとても参考になった。


「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」は、平成14年に兵庫県が設置し、財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構が運営を行っている施設。地上5階の西館と3階の東館があり、映画や地震直後のまちの様子を再現することなどで阪神・淡路大震災の経験から災害文化の形成、地域防災力の向上、防災政策の開発支援を図ることが目的となっている。さらに、展示だけではなく、資料の収集・保存、災害対策専門職員の育成、災害対応の現地支援、防災研究なども行っている。

shinsai2「大阪市立阿倍野防災センター」は、地震発生直後の街並みなどを再現し体感することで災害時に必要な行動を体験し学習することが目的の施設。防災対策職員の研修センターなどを併設する複合ビルのなかにある。煙の中を歩いたり、実際の揺れを体験できるのが特徴だ。

 どちらも阪神・淡路大震災の経験を伝え防災意識を高めていくことが目的で、県と政令市の施設ということもあり、施設としては大型のものだ。維持費を考えると課題はありそうだが(阿倍野防災センターは指定管理者制度により市の外郭団体と民間で競合させている)、いざという時に備えを考えれば、このような事業自体は重要だと思った。両施設とも東日本大震災後は来場者がかなり増えているという。
 また、どちらの施設も、災害が発生した時には「自らの命は自らで守る」、「自らの地域は自らで守る」という強い信念と連帯感を持つことが必要とのメッセージを発信している。このことには同じ思いを持った。震災は忘れたころにやってくると言う言葉はあるが、決して忘れてはならないのだ。

 東京でも大地震の確率が高いというが、武蔵野市でこのようなリアルな体験はできないものの、もしもの備え、対策を日頃から繰り返し体得していくしかないのだろうと思う。防災訓練などを武蔵野市でも行っているが、サラリーマン世帯などでは参加しにくいこともある。このことも考えないととも思った。

 
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■“お笑い”要素が記憶に残る
 
 阿倍野防災センターでは、細かなところに“お笑い”の要素が散りばめられており、そのことが記憶に残ることへつながっているとも思った。例えば、震災直後の街並みを再現した地震災害体験ゾーンでは、崩壊した商店の名前が「親切商店(しんさい、と読む)」、であったり、救急体験を行う場所が「宮間(きゅうかん)医院」、火事が発生している家屋の表札には「梶(かじ)」と書かれていたことなどだ。このゾーンに入る前に災害発生時を再現する映像を見ていたが、その映像と同じセットになっていたことでも、より印象深くなっていた。ちょっとした遊び心が、より印象を深めることになり、結果として防災意識を高めるのだと思う。このようなひと工夫が防災訓練などにも必要だろう。通り一辺倒な訓練や解説では、記憶には残りにくいと思うからだ。ちなみに、このような名称は職員で考えたのだそうだ。その時の様子も再現して欲しいとも思った。
 
写真は阿倍野防災センターでのカット。「大伸不動産」、「ショットバー DANGER」、「はんかい荘」などの名称が付けられていた