武蔵野市 独自の放射線量暫定基準値を設定。食品へは今後の課題

 武蔵野市独自の放射線量暫定基準値を設定したことが市議会に行政報告として行われた。主な内容は、空間放射線量について、毎時0.23マイクロシーベルト以上の空間放射線量を測定した場合、低減対応を行う。今後は公共施設を中心により細かくホットスポットがないかを計測する。市民から寄せられた情報にも市で対応するとというものだった。食品への対応は、まだ明確な方針はだされていなかった。

■空間放射線量

 毎時0.23マイクロシーベルト以上としたのは、年間1ミリシーベルトを超えないとの国際放射線防護委員会(ICRP)勧告を元に、1日のうち屋外に8時間、屋内に16時間いると仮定し割り出した数値。原発事故以前にあったと考えられる自然放射線量0.04(環境省による国内平均値)として加算しているため、以前、お伝えした毎時0.19マイクロシーベルトが、原発事故により増えた放射線量となる計算だ。現在は暫定基準値だが、11月中に行われる環境市民会議を経て正式に決定するとしている。

 報告では、これまでにもこの基準により市内の小中学校で対応が行われていることも報告された。例えば市立第2小学校では、雨どいから毎時0.36マイクロシーベルトが計測されたために、雨どいを除去している。他にもいくつか除染を行っているが、現行では国の処理方法が確定されていないため、見つかった場所(学校)で人に触れないように保管しているとしていた。
 今後については、高い放射線量が予測される、雨水が集まるところ(雨どい、側溝、集水マス等)や雨水・泥・土がたまりやすいところ、微粒子が付着しやすい構造物などの測定を行い、いわゆるホットスポットの有無を確認していく。市民から空間放射線量が高いとの情報があった場合、場所や測定方法などを確認したうえで市が再計測を行い暫定基準値を上回った場合にも除染などの対応をするとしていた。
 また、市民への測定器貸し出しを始めたが、11月15日の申し込み開始日で年内の予約はいっぱいになったともあった。

■食品への放射線量

 行政報告への質問に、学校や保育園の給食食材への対応についてもあった。低温殺菌牛乳に微量の放射性物質が検出されたが、市では使用しなかったものの、今後は具体的にどのようにしていくかだった。
 答弁では、検出された報告があったさい、使用しないことが可能であったことから念のために使用を取りやめるように指示を出した、としていた。給食一食当たり約500グラムだが、そのうちの200グラムとなるのが牛乳であること。検出された牛乳は低温殺菌牛乳であり、教育委員会で産地へ出向き確認をしたのにもかかわらず検出されたことが理由。他の食材についても、検出された場合、他の食材に変更可能なものは変更しているとの答弁もあった。

【視点】 検出された食材は食べていないか

 給食食材への答弁では、今後、食材について空間放射線量のように市独自の基準を設定するか。どの数値まで許容するか、あるいは、検出されたら使わないのかなどの使用方針は決まっていないように思えたものだった。今後、早急な方針の策定と市民の安心を得られるために何をすべきかを早急に考えるべきと思う。

 市が現在公表している給食食材の検査結果について、タイムラグについての答弁もあった。
 市が検査結果を公表しているが、公表段階で放射性物質が検出された食材があった場合、すでに使用され子どもが食べてしまっているのではないか、という疑問があるからだ。

 答弁によると、検査結果が出るまでは約1週間かかる。そのため、給食で使用予定の食材を事前に検査しており、検出された場合には、その食材を購入せず他の食材に変更しているというものだった。つまり、検出された場合は、同じ産地や出荷者からの食材を使用しないため、子どもは食べていないことになる。
 このことは事前に検査することでリスクを少なくしていることになり評価ができることだ。しかし、実際の食材を調べてはいないことになる。変更した食材はどうなのか、ともなってしまう。
 現実的なことを考えると、現状のような検査方法では、実際に食べる食材の検査を待っていては食材が腐ってしまう。短時間に検査できる機器があれば、出荷者、あるいは、購入者(市)が実際に食べることになる食材を使用するその日に検査できるかが今後の課題となりそうだ。

 このことについて、市が検査機材を購入したらどうかの質問があった。市は現状では専門検査機関に依頼し専門的な検査を行ってもらっているが、例えば、購入して測定しても確実なテータが得られるのだろうか。専門的知識を持つ人材が必要にならないか。簡易測定機で行い数値が高かった場合、専門機関で再確認をするのでは二度手間になってしまう。余計に時間とコストがかかってしまわないか。リアルタイムで測定ができるのだろか、との答弁で課題を示していた。
 一方で、放射性物質は少なければ少ないほうがいいに決まっているとの頼もしい答弁もあった。リアルタイムで確実、そして、コスト。このバランスが重要ということだろう。
 何をどうすれば、リスクを減らせるのか。安心へとつながるのか。早期に現実的に考える必要がある。

※セシウム134=3.1/セシウム137=3.9。国の暫定基準値は放射性セシウムが200となっている。単位はベクレル/kg。

【参考】
放射線量・放射性物質に関する情報(市の基本方針等について)

公共施設78か所における空間放射線量の詳細測定について

11月14日までに情報提供を受けた場所の対応について(第二小学校・第一中学校・第六中学校・旧桜堤小学校)