京都のコミュニティスクール【視察報告】

京都市立新町小学校のコミュニティスクールを視察させていただいた。学校運営などに地域の協力は必要不可欠だが、その地域自体の活性化が課題となるケースが多いなか、その地域が元気だという学校だ。学校運営協議会長と校長先生にお話しを伺うと万事がうまく言っているとはいえないものの、活性化、元気になる秘訣はあるとのことだった。


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 コミュニティ・スクールは、学校運営協議会制度とも呼ばれ、保護者や地域住民などから構成された学校運営協議会を設け、学校運営の基本方針を承認したり、教育活動などについて意見を述べることで保護者や地域の意見を学校運営に反映させる仕組みのこと。この仕組みは、小中学校だけではなく、幼稚園や高校などの公立学校に導入可能で、導入するかどうかは、学校、保護者、地域の意向から自治体の教育委員会が決定する。学校と保護者、地域住民などが一体となることで、子どもをより豊かに育てるだけではなく、地域の絆を強め、地域づくりの担い手を育てようと平成16年に考えられた制度だ。この学校運営協議会を設置した学校を「コミュニティ・スクール」と呼ぶ。

 具体的には、主な三つの役割りがあるとされている。

●校長の作成する学校運営の基本方針を承認します。
・学校の重点目標や年間の学校行事計画などの基本方針について、校長の説明を受け承認

●学校運営に関する意見を教育委員会又は校長に述べられます。
・「挨拶の指導に力を入れて欲しい、」、「地域に協力を求めて欲しい」、「学校にエアコンを入れて欲しい」「学校予算を増やして欲しい」などの意見

●教職員の任用に関して教育委員会に意見が述べられます。
・「若手の先生、体育が得意な先生が必要」、「A校長やB先生に次年度も残って欲しい」などの意見』ができる。

 成果としては
○地域全体で子どもを守り育てようとする意識が高まり、多くの保護者や地域の皆さんが先生役や見守り役として学校に協力する姿が見られるようになってきました。
○保護者の「学校への苦情」が「意見や提案、相談、協力」へと変化してきました。
○地域のお祭りづくりなどに参加する子どもが増え、地域が活性化してきました。

 課題は、学校運営協議会の協議の形骸化や地域住民の参画の偏り、継続的な取組を進めるための支援の不足などがあるとされている。

(上記は文部科学省によるコミュニティスクールのパンフレットより)

 平成23年4月現在で日本各地で789校が指定されており、多摩地域では三鷹市=22校小15校・中7校)、小平市=3校(小3校)、日野市=2校(小2校)、武蔵村山市=2校(小1校・中1校)という状況だ。

 前段が長くなったが、この中にあって、「地域が参画しやすく、実効性ある組織づくり」の代表例として上町小学校を文部科学省が紹介していることもあり、超党派の地方議員で構成されているローカルマニフェスト推進地方議員連盟の視察として訪問をさせたいただいた。

 上町小学校の組織構成は、次の二つの組織で構成されている。

・「理事会」=学校から提案する学校運営の基本方針、その事業や取組、学校運営協議会の企画立案等について協議

・「企画推進委員会」=学校との協働事業を展開する。地域の人は、自分が取り組めそうな委員会に所属。

 この企画推進委員会が地域の参画を促進するもので、地域ボランティア約140名が所属し、地域が子どもたちのためにできることを議論し学校への支援活動を実施。
 具体的には
 ・農業体験活動へのサポート
 ・4泊5日の長期宿泊学習へのサポート
 ・学びの支援、理科実験教室の実施
 ・図書整備など学校教育の手伝いなど

 京都市立新町小学校は京都の中心街にあり、三つの小学校が統合し平成9年に誕生した小学校だ。コミュニティスクールの核となる運営協議会は今年で立ち上がって7年目になり、以前は、旧小学校の単位で地域を考えてしまうことがあったが、現在では、新町という考え方の人が増えてきているという。藤原会長に話を伺うと、もともとお茶や花が盛んな地域で、いろいろな機会でお茶をたててのむ習慣がある地域。以前から自治活動は活発だった背景はあるとされていた。その状況で、学校への協力を考えてきたという。

 理事会は月一回、第四金曜日の19:30から校長室で行われ、保護者のほかに旧の三つの地域の自治会長、幼稚園の園長などの学識経験者で構成され、校長はオブザーバーとして参加する。現在、14名の理事がいるのだそうだ。

 保護者や地域の参加者数だが、総会には100人ぐらい集まっている。子どもが30人でも70人ぐらいの大人が集まるような地域。学校でのキャンプもあり、学校で肝試しもやっている。夜のプールなども行っている。そのさいに、地域の人たちのお話し交流会があり、なぜ電気屋さんになったとか学校と違う話題も多い。教師も参加しているので、異業種交流会ではないが、社会の姿が伝わっているのではないかとの話だった、

 このなかで特徴的だと思えたのが長期宿泊体験への協力だ。武蔵野市のセカンドスクールのような長期期間ではないが、4年生2泊3日、5年生で4泊5日の自然体験学習があるが担任がいけないこともあるので、教師が手薄になりがち。そのため、地域で手助けしているのだそうだ。地域の協力が得られたことで担任だけでは手が足りず、管理が中心になってしまい結局は教師が怒ってばかりになっていたことが防げるようになった。逆に最近では過保護になりつつある、すぐに手を出さないようにとお願いしているほどだそうだ。

 このことは武蔵野市にとっても興味深いと思う。日程に土日を入れること。武蔵野市のように遠方に出かけないことで可能という前提はあるものの地域との連携ができているからだ。教師が子どもとどれだけ接していられるか。子どもの自主性をはっきするためにどれだけフォローできる体制ができているかを考え、適正な教師やスタッフが配置されているかを改めて考えてみる必要もあるとも思った。
 セカンドスクールには、二回ほど視察させてもらっているが、最長で10日間にもなるため担任はすべての行程に参加はできないことが多い。学校の授業もあるため他の教師の参加も難しい。結果的に校長先生が長期間対応し、現地の人たちに対応をお願いをすることになるが、善意で当初は受け入れても受け入れ側が高齢化し対応が難しくなってきた。受入れ側の人はいたとしてもコーディネートへの対価が考えられていないなど細かな問題を聞いているからだ。

 このことは別として、話は戻り課題についても伺った。

 課題のひとつには、参加する地域の人たちの数は増えてはいるが、平均年齢が上がってきていることがあるとされていた。仕事をしている人でもできる時にだけ参加してもらえるようにしてはいるが、次の世代を広げることを今以上に考える必要があるとされていた。これは、どこでも同じ課題だろう。
 この課題解決には、PR不足があるのでは、との話もあった。子どもの保護者が地域活動について知らない人が多いのだそうだ。一緒に活動すると内容についての評価は上がるとされていたので、入り口を行かない広く、そして低くすることが必要ということだろう。これはどの地域でも同じだと思う。

 また、学校には負担が増えてしまうので教師には嫌がれているのではないか、と質問をしたところ、校長先生からは、ゲストではなく一緒に楽しむようにと説得している。そのことで、いろいろな場に先生が出るようになり、地域も学校への目が変わった。学校にはさまざまな問題が起きるが、学校と地域が仲良くすることから乗り越えられてきた。当初は、子どもの学力はいいけれど社会に出ても通じないと悩んでいたが、その解決のひとつに役立っていると思うと感想を話されていた。他の地域では同じように上手くいっているようではないが、ひとつのヒントになると思った。

 さて、課題はあるものの活性化しているのは確かなのが、新町小学校のコミュニティスクールだろう。上記のようなこともあるが、その秘訣は何かと伺うと、運営委員長からは宴会も多いことがポイント。宿泊もありますし。校長先生からは、夜の地域との交流がいいとの話だった。大人だけの会が重要ということだ。このことは、男性を勧誘する大きなポイントであり、さらに何かを一役をお願いすることがいいのだそうだ。イベントなどのご苦労さん会を学校でやると寒くて飲めない“課題”があるので、他の場所や別の機会でやるようにしている。大文字を見ながらの会もあるとの話はうらやましい限りだった。 

 地域と協力する学校運営には、学校評議会という組織形態もある。コミュニティスクールとの違いは、校長先生が組織に入るか入らないかが大きな違いで、コミュニティスクールにすることで地域と学校との間のワンクッションができ、地域のボス的な人が組織を牛耳り学校が混乱してしまうことを防ぐこともメリットにはあるという。武蔵野市の場合は、開かれた学校づくり協議会と学校評議委員会と二つの組織があり、それぞれから校長先生が意見を聞き地域と保護者と連携するという方式をとっている。
 地域によって学校とのかかわり方は異なる。武蔵野市に同じように取り入れることはできないとは思うが、大変参考になった。新町小学校、地域の皆さんにこの場をお借りして感謝を申し上げたい。

【参考】
文部科学省 コミュニティ・スクールについて