事業仕分けは誰がやるべきか

 議会による事業仕分けをテーマにしたローカルマニフェスト推進地方議員連盟の研修に参加をしてきた。民主党京都府議会議員団が2008年から毎年行っている事業仕分けの実際の様子を視察し、その成果や感想、今後の展開などを参加者(対象は議員)で議論するという内容だ。京都府議だけではなく、京都府の職員の参加、事業仕分けに協力をしている構想日本からの仕分け人(※)も参加して多角的な視点でも議論となったが、最大のテーマは、本来の事業仕分けは誰が行うべきかだった。



■議会としての事業仕分け

 2011年の民主党京都府議会議員団による事業仕分けは、10月12日に京都市内のホテルで開催され、研修は、翌日、同じ場所で行われた。
 事業仕分けの説明は、上村崇京都府議から行われたが、そもそものきっかけは、議会活動への疑問だったからだという。
 それまでは、議案を否決しない、修正しない、条例は出さないという三ない議会。府議の仕事といえば、選挙が第一で地元を歩くこと。地元に何億持ってきた、施設を使ったことを自慢する議員が多く、政策は行政に任せておけばいいという状況だった。
 一方で、政務調査費の監査請求があり、多くの議員が返還することになった。中身を見れば、人によっては宴会費用や自治会費があるなど当たり前と思えるものもあった。
 これらのことから、それまでの議会は本来の議会像ではない、追認機関でしかないと考え、いわば議会改革として始まったのだという。

 改革は、他に選挙の時に示した会派マニフェストを議会での質問や予算要望と連動させたことも大きいという。選挙時の会派マニフェスト→議会質問、予算要望、条例→検証・評価→予算審議→検証・評価とサイクルを回しているが、この検証・評価の道具としても事業仕分けを位置付けている。とかく要望だけになりがちな議会活動を、要望し実現した事業がどのように実施されているか、効果的に行われているかの検証・評価ツールとして使うこと。さらに、他の事業でも税金の使い方として効果的かどうかを検証・評価するためにも事業仕分けを行っているとしていた。

 
■仕分けの変化

 事業仕分けの内容も試行錯誤で行ってきたという。
 現在の事業仕分けは、仕分けの対象となった理由を説明するスーパーバイザー1名と仕分け人2名が京都府議。コーディネーターと仕分け人2名が構想日本から、という府議と外部との混成で仕分けを行っている。しかし、当初は外部だけの仕分け人で行ったが、権限を持つ議員として結論を出さなくていいのか、行政職員をいじめているだけではないのかの批判もあったことから議員だけで実施をしてみた。ところが、議員だけでは自らが予算を通していること、情けも出てしまうことからマイルドな結果になってしまった。そのため、外部の仕分け人と議員を半数ずつにする現在の形になったのだそうだ。

 このことはまた、外部仕分け人と議員が比較されることになり、議員へのプレッシャーはかなり大きいとされていた。これは、事業仕分けは公開が原則であるため質問の仕方や視点の違いが分かることになり、いい刺激になることだと思う。私も仕分け人として事業仕分けに参加すると他の仕分け人の視点がそれぞれ異なり、いい刺激になっていることからも分かることだ。また、行政は極端な決断をしたほうが後の行革には利くとの話もあった。 

■職員、他会派の反応

 今回の研修では、行革担当の職員の方が研修に参加してくださり行政側からの考えを伺うことができた。そのなかで、行政は新規事業は気にするが長年継続している事業には目が届かないことが多い。補助金に、じつは積算根拠がないことが多く、目的がはっきりしないこともある。自らの業績になるため、事業者が行政に受け取ってくれと言われているような補助金もある。何百、何千とある事務事業に目が行き届かないこともあるとの話は興味深いものだった。
 また、行革担当ということもあり、今回の事業仕分けの対象となった事業について想定答弁を考えていたが、全く違う観点から質問があり自分が答弁してもできなかったかもしれない。事業仕分けは、職員を鍛えるツールでもある、との話もあった。
 そして、事業の評価、見直しは行政内部なりに努力をしているが、100%完璧な事業はない。時代、府民ニーズにあったものかを常に考えるには、外部の視点を入れていくことが必要。行政にはいろいろな地域、立場の人への思いもある。問題意識があってもできないこともある。仕分けでの指摘で考え直すことにつながっていると話されていたことは意味深いと思った。

 京都府での事業仕分けは民主党議員団によるものだが、他政党会派の様子を伺うと、黙認、断固反対、京都府議員団としては反対としているが他自治体の同じ政党から視察に来たなど反応はさまざまだという。

■しがらみ

 参加者から、どの事業を仕分けの対象にすべきなのかとの質問があり議論になった。行政や議会でもいいのだが、その事業の背景にある当事者の顔(時には首長や議員の支援者)が思い浮かぶこと、議員提案により実施された事業であれば、その議員などが分かり、簡単に俎上に載せられないのでは、との疑問からだった。
 このことは、事業仕分けにとって大きなポイントだと思う。私の経験からは、どの事業を対象にしたかどうかで、仕分けの成果の半分は達成できているように思うからだ。
 行革のために事業仕分けをしましたよというアリバイ作りのために、行政内部で廃止を決めている事業や小額予算の事業を対象にすることが時としてはあることもある。このような場合、本質的な行革や税金の無駄遣いをなくしていくことには結びつかないはずだ。
 何年以上継続している、外部委員会で検証をすべきと指摘されたなど分かりやすい選定基準が必要なはずだ。研修の議論でも、事業仕分けが公開の場で行うとの同様、恣意をなくしオンザテーブル、見えるところでやるべきとの結論だった。

■本来は議会の仕事

 そして、本来は誰がやるべきかで議論となったが、それは、本来は議会の役割で一致した。しがらみを排除できるか、質問の技術、議会の審議手法など課題は多いとしてもやっていくべきとの結論だった。
 このことは私も同じ意見だ。しかし。そのさい、外部の視点を入れるべきかどうかが課題になると思う。
 同じ自治体の行政と議会だけでは、時として見落としてしまうことがある。井の中の蛙ではないが、自らは常識と思っていても外部から見れば、明らかにおかしなこともあるはずだ。しがらみがないから判断できるのが事業仕分けの大きな意味だが、このことを議会が払拭して判断できるかの課題も背負うことになると思うからだ。

 しかし、具体的にはどうすればいいのだろうか。どこの議会でも同じだが、事業への評価は決算委員会で行うことになる。だが、一事業に対して時間をかけて審議をすることはほとんどない。武蔵野市議会では総務費や民生費などの費目ごとに審議するため、問題思われる事業に対して複数の議員が質問し評価することが少なく、結果として全ての事業に目が行き届かないことがあるからだ。予算審議でも、どうしても新規事業に目が行きがちで、継続事業がそもそも妥当なのかの議論が少ないのが現実だ。
 とはいうものの現状のままでも行うことができる。議会審議の内容を変更することも可能だ。参加者からは、議会で行政評価を始めている。あるいは議会で事業仕分けを始めるとの報告もあった。数は少なく世間の目にはとまらないかもしれながい、このような改革も進められているということだ。

 研修会では、参加者からそろぞれの議会での改革や現状についての報告や意見を行い、それぞれの議会での取組み、課題解決の手法などの意見交換もできた。横の連携がし難いなかにあって貴重な時間だったと思う。議会改革で議会の歌を作ろう、ゆるキャラが必要と議論している議会もあるという。これが良いのかの別としても、手法はさまざまだが、議会改革の流れはより強く、より多くの議会で始まっていることは確かだ。武蔵野市議会でも、議会改革の議論が始まっている。今回の研修での議論を武蔵野市議会にも活かしてみたい。

(※ 前日にあった事業仕分けには川名が構想日本の仕分け人として参加)