学童クラブの土曜日 15時30分までの中途半端開所に これでいいのか!

1月18日に武蔵野市小学生の放課後施策協議会が開かれ学童クラブの土曜開所について事務局(市)案が示された。全クラブで全土曜日(年末年始を除く)を開所することは良いとしても、驚かされたのは、開所時間は9時~15時30分という中途半端なもの。さらに、あそべえと協議をして合意を得られたところから開所する、つまり、開所するしないはあそべえ次第という先行き不透明な内容だったからだ。

 この日の議論を聞く限りでは、中途半端な開所はお役所の都合で考えているとしか思えないものだった。学童クラブは誰のための事業なのか。少数の子ども、家庭を無視していくのか。協議会でも事務局案に否定的な意見が多く出されていたが、このままで開所を行うのか。武蔵野市のあり方も問われるものだ。


 学童クラブの土曜開所については、前回に開所すべきとの協議会の意見となり、今回に具体的な事務局案が示されることになっていた。事務局案として示されたのは下記の内容。

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 【事務局案】

○育成対象児童
 各学童クラブに入会した児童のうち、保護者の就労証明書などにより、土曜日において明らかに保育に欠けている児童(事前登録・予約制)

○開所日:毎週土曜日(12/29~1/3を除く)
 ただし、両施設(あそべえと学童)で運営方法に関する協議が整い次第開所

○育成時間:午前9時~午後3時30分

○育成場所:あそべえ(教室・校庭・図書室)及び学童クラブ育成室
      午睡・おやつの時間などは育成室を利用
      ※拠点方式ではなく、あぞべえ全館及び学童クラブで実施

○育成の概要
 ●あそべえ館長・スタッフと学童クラブ指導員と協議の上、双方の職員が相互協力するかたちで育成・見守りを実施。
 ●あそべえ(教室・校庭・図書館)の利用方法や利用頻度は、あそべえ側の運営方針や今までの両施設の協議の経緯、学童クラブの育成スケジュール、利用児童の意向などを考慮して決定。

○職員体制
 1箇所につき、学童クラブ指導員1名及びあそべスタッフ3名

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 この案に対して委員からさまざまな意見が出された。

・事前登録だと不定期に土曜日の仕事がある家庭、突発的な仕事へも対応できない。
・あそべえと学童クラブは別事業とこれまでしてきたのに、15時30分以降はあそべえで、となれば安心して預けられるのか。
・あそべえと学童の共倒れにならないか。
・本当に困っている家庭への事業が福祉だ。利用することが楽だから入っている人もいるだろうが、困っている家庭への観点で進めて欲しい。大人の都合が見え隠れしている。
・サービス残業などで土曜日に仕事をするのであれば会社は(就労証明を)書いてくれない。利用できない。
・平日となぜ変えなくてはならないのか。(土曜日の)登録枠をつくることに疑問。特別な子どもを作りたくない。
・学校を含めた当事者の意見を実施前に聞くべきではないか。
・学童には育成指針がある。あそべえではどうなるのか。考慮されるのか。
・(指導員からの発言)指導員一人では育成はできない。複数体制が必要。
 などだ。

 いつものことではあるが、協議の時間が2時間を過ぎると委員長から協議を終わらせる提案があり、今回も議論はそこで終わった。ほとんどの意見が開所時間は平日(夏休みなどの長期休業時の8時~18時)と同じ開所時間にすべきというもの。この協議会は意思の決定機関ではなく、行政が意見を伺うための委員会という位置づけだが、事務局案に全面的に賛成する意見はなく、否定的な意見がほとんどだった。その状況下で土曜開所が進められることになる。
 委員長は最後に、この協議会で議論するにはもう一回必用になるが、予算や議会との関係を考えれば今回が最終リミット。試行でやってみて、いい方向を目指す、と今回を結論付けていた。次回は3月8日だ。

 ■疑問

 傍聴していて私が思った疑問は下記だ。

□何時から開所できるのか

 あそべえと学童クラブの協議が整い次第開所する。早ければ23年度の4月から、としていたが、協議が整わなかった場合は開所しないということか。
 あそべえの運営は地域ごとの運営委員会が行うことになっている。そのため事務局ではすでに3つのあそべえ運営委員会に土曜開所案を提示したところ、ひとつのあそべえで持ち帰りになっているとしていた。あそべえ側ができない、やりたくない、当初の話と違うと拒否すれば土曜開所ができないことになる。言い換えれば、あそべえに責任転嫁していることにもなる。それで市の事業といえるのだろうか。

□15時30分の根拠

 事務局の説明では、土曜開所を止めた時の時間だとしていた。しかし、協議会では議論になっていなかったが、これは学童クラブ指導員の勤務時間の都合でしかないはずだ。指導員は非正規の嘱託職員で週35時間までの制約がある(それ以上、定期的に勤務するのなら正規にとなる)。そのために、18時まで開所するのなら正規にするか、ローテーションで対応するために現状以上に指導員を新規雇用して増やさなくてはならなくなる。つまり、事業費が増えることになる。それができない、やりたくないという理由でしかないはずだ。委員が指摘していたように、大人の都合、行政の都合でしかない。

 過去の話になるが、学校の土曜授業がなくなったとき、学童クラブの土曜日の開所時間は当初、11時30分から17時までというものだった。これは、土曜日に授業があった土曜日の指導員の勤務時間だからが当時の説明で今回も同じことだ。当事はこれでは意味がないとなり18.429筆の署名とともに議会への陳情が行われ全会一致で意見付採択となり、前倒しの9時~15時30分となっている。

 コスト意識は重要だが、事業目的を達成するために必要最低限のコストは必要だ。都内で武蔵野市だけが学童の土曜開所をしていないことのおかしさを考えるべきだ。コスト至上主義では福祉はなりたたなくなる。

□利用可能性

 閉所になった当時、あるクラブでの利用数が少なかったとの指摘が議論のなかであった。また、15時30分以降は土曜学校(教育委員会の事業)があり、こちらを利用してもらえばと考えたが、利用は少なく15時30分以降は必要ないのかなと思ったとの発言もあった。真意は分からないのでなんともいえないのだが、この発言だけをとらえてしまうと、物事の本質をまったく理解していないとしか言いようのないものになる。

 閉所当事、私は現役の学童クラブ保護者だったこともあり多くの当事者に意見を聞いたのだが、15時30分までという中途半端な時間では子ども預けるわけにはいかない。利用できないという意見がほとんどだったからだ。

 何よりも学童クラブが15時30分までだから、この時間に家に帰れるように勤務時間を短くできるという仕事がどれだけあるというのだろうか。全ての仕事が土曜日休みでないことを理解しているのかと思う。特に昨今の経済状況から土曜日に仕事ができないのなら雇用できないといわれる人もいる。当時でも遠くの親戚に朝から預けに行くことでしのいでいたという家庭もあった。利用者が少ないのはなぜか、その理由を考えないで必要がない、少ないと考えるのはあまりにも短絡的だろう。欠陥商品を売っていて、売れないのは買わない客が悪いと居直っているようなものだ。利用数が多かった学童クラブもあったことも説明すべきだ。

□あそべえの対応

 学童の子どもをあそべえで対応できるのかの質問があり、あそべえからの委員は、じっさいに学童の子どもは来ているので、なんら問題はない。新たに指導員が増えることになると問題視しない発言があった。頼もしい内容だが、どこまでの範囲で大丈夫としているのだろうか。発言からは分からず家庭に戻っても保護者がいない子どもという前提で考えているの疑問が残った。

 単純なことでいえば、子どもがどこかへいなくなった場合、探し出すようなことができるのか(良くあるのは駅前の繁華街で遊んでいた)。一人ひとりの体調管理などへの対応もできるのかなどだ。

 さらに、障がい児への対応ができるのかはこの日の議論では明らかになっていなかった。障がい児があそべえを利用するさいは、保護者が付き添うこととされているが、障がい児も学童クラブの土曜日を利用できるとの発言はあったものの、学童クラブでは障がい児対応として臨時職員を加配しているが、どうなるかの説明はなかったからだ。

□そもそも連携できているのか

 画像は、11月30日にあった協議会の資料で、現状のあそべえと学童クラブの連携状況を示したものだ。
 これによるとあそべえと学童クラブがそれぞれ全部で12があるが、学童クラブの自由時間(おやつや勉強、帰りの会など以外の遊びの時間)にあそべえに制約なく参加できるが6箇所と半数でしかないことが分かる。本宿と境南は、校舎内にクラブがないので物理的に難しいことは理解できるが、他の4クラブはどうなるか。このままであれば、土曜開所はできないクラブが半数とならないだろうか。あそべえと学童の連携

 この資料はまた、あそべえ自体に課題があることも示している。
 あそべえは全児童対策事業とされるもので、全ての児童を対象としているのに学童の子どもはダメとしていることになるからだ。理由はそれぞれあると思うが、あそべえの課題を解決するほうが土曜開所よりも先、とならないだろうか。
 

□試行の目的

 委員からは、利用しにくくて利用率が少ないといわれたくない。試行の意味からいえば18時まで開所すべきだとの意見があった。このことは、事務局案には示されていなかったが、何のための試行なのかが明確になっていないからだろう。
 18時までの全面開所へ向けて、まず試行してあそべえと連携する場合の課題を抽出するための試行なのか。それとも、利用数を計るためなのかが明確ではなかったのだ。

 土曜閉所をした時は、保護者や市民の意見は聞かない。市が決めると言い切って閉所を強行した。開所になるとはいえ、今回も同じように行うのかどうか。これが見えていないことにも問題がある。
 他にも疑問はあるが、これらの疑問は、今後、議会でも議論になるはずだ。中途半端な土曜開所とはいえ、予算とも関係するため、予算審議での大きなテーマにもなるはずだからだ。

◆ビジョンを示せ

 少しでもよい土曜開所になればと思うが、不安は残されている。それは、何をめざして土曜日を開所するのか、何ために試行するのかの目的が明確ではないからだ。なによりも、都内の他市では行っているのに武蔵野だけやってこなかった土曜日へ認識が見えないことがその根本にあると思う。

 土曜日を強行閉所したのは、当時の市政の方針だったから。当時と今では時代も変わり経済状況も変わった。何よりも困っている家庭があるのだから児童福祉の原点に戻り土曜開所をすることにした、と明確なビジョンを示した上で、現実的にはあそべえと学童クラブとの連携手法に課題が残されている。コストも考えなくてはならない。そのために、まず中途半端といわれてもいいから試行させて欲しい。課題を整理した後に、早ければ24年度には全面開所にしたいと考えている。子どものために最善は何かを今後も協議させて欲しい…、ぐらいは事務局(市)が言うべきではないだろうか。
 
 土曜閉所から開所へ大きく舵を切ったこと。あれこれ課題を考えて進まないことよりも、早期に開所をしようとしていることは高く評価できる。長年、武蔵野市の学童クラブの流れを見てきた身としては、今回のことは画期的なことだ。技術的なことよりも、ビジョンがあるのなら、協議会委員、そして多くの市民と共有することを先にすべきではないだろうか。このことが残念であり、問題のネックではと思った協議会だった。

 学童クラブ保護者の「土曜開所を求める切実な声」は、武蔵野市学童クラブ連絡協議会のブログに掲載されている(同じ内容の資料と開所を求める要望書は市長、議員宛に送られている)。この声をどのようの思うのか。今後、市は問われることになるはずだ。

 ◆お願い

 学童クラブの開所はどうなるのだろうか。現役の学童保護者、将来の利用者(保育園保護者など)の意見も伺いたい。ご意見をお寄せください(メールかコメント欄への書き込みで。コメント欄はすぐに書き込みが表示されません)。

【参考】
武蔵野市 学童クラブ育成指針