自治・議会のあり方を見直す節目になるか 阿久根市長選挙始まる

リコールに伴う阿久根市長選挙が始まった。「大事なのは対立ではなく対話だ」、「投票は一番大事な公の仕事だ。社会全体のために投票してほしい」と両候補が第一声で訴えたと産経新聞は報道している。どちらも正論であり正義。市長選は16日の投票で結論が出るが一方では議会の解散を求めるリコールも行われるという。何がどうなっているのか東京からでは分からないが、住民意思はどうやれば決められるのだろうか。

■議会のあり方も問われる住民投票の法制化法案 

 住民意思の決定は、議会の議決と首長の選出して決まるというのが正論だが、双方が対立してしまい互いを無視してしまうと、どちらが正論、正義なのか。どちらが住民意思なのか分からなくなってしまうのが阿久根市や名古屋市の例ではないだろうか。現状の二元代表制の矛盾が明確になってしまったともいえるのだと思う。

 そのためか、総務省は住民投票に法的な拘束力を持たせる地方自治法の改正案を今月から始まる通常国会に提出する方針と報道されている(日経1/10)。国会情勢は混沌としているので、改正案がどうなるか分からないが、いずれ住民意思を“正しく”決める手法が決まるのだろう。手法が決まれば、議会の議決がおかしいとなれば住民投票で結果を変えること、あるいは議会の判断を求めずに住民が直接決めてしまうこともできるようになるかもしれない。そうなると、今の議会は何をすべきなのかも問われるのではないだろうか。この改正案には、さらに、議員定数の上限をなくす改正案も含まれる予定だからだ。

 議員定数の上限をなくすということは、議員を何人にするかを住民が決めることが可能になるということ。武蔵野市で言えば、議会ではなく住民が良いと判断すれば現在の26人から100人にすることも可能になるということだ。ただ、100人にするとすれば、議員報酬を現状の額面年収1000万弱のままというわけにはいかないだろう。数を多くしてアマチュアの議員による議会にするか。それともプロの議員による議会にするかが問われることになるのだと思う。
 住民投票には、議会権限を脅かすとの思いからか否定する考え方もある。しかし、議会が本当に住民意思を反映しているのか。意思を確かめようとしているのか。議決するだけの機関でいいのかも問われることになるはずだ。これは議員と住民双方に。

■自治基本条例の必要性

 法的拘束力を持った住民投票ができるとなれば、どのような内容をどのように判断するかを決めなくてはならない。議会の議決との関係も含めて自治体の意思をどのように決めるか。自治をどのような仕組みにするのかを明確にする必要が出てくることになる。つまり、自治基本条例が必要になってくることだと思う。
 以前、石田芳弘衆議院議員(民主党。元犬山市長)とこの地方自治法改正案の話をした時に、当然ながら自治基本条例を自治体が作ることが前提になるとされていた。改正案を出すときには、自治基本条例の義務化も入るのかを伺うと、それは自治体で決めることだろうとの返答だった。

 改正案が成立すれば、議会のあり方だけではなく、自治をどのようにするかも、これから問われることになる。武蔵野市でも自治基本条例も含めた自治のあり方を考える事業が行われているが、遅々として進んでいないように思えてならない。このままでは国が先を行ってしまいそうだ。
 そして、何よりもこの大きな流れに、どれだけの人が気がついているだろうか。

 阿久根市の行く末は、じつは今の議会制度を考える、見直すだけではなく自治を考え直すことへの大きな節目になるように思えてしかたがない。何が正論なのか、正義なのか。マイケル・サンデル教授の白熱教室で取り上げてもらいたいくらいのテーマだが、まずは、16日に市長選挙の結果が出る。注目をしたい。