委員会室でのネット環境の中止を求める陳情は継続に ネットは議論の妨げになるか 

 12月13日の武蔵野市議会議会運営委員会で、『委員会審議において、議員が「無線LANを導入したパソコンによる検索」及び「委員外議員との審議中のメールの送受信」を行うことに対し、早急に中止を求める陳情』が審議された。
 武蔵野市議会では、試行として委員会審議のさいに議員が使用するパソコンを無線LANを使ってインターネットの接続を可能としているが、このことが、審議の前の事前調査をおざなりにする。情報漏えいにつながるので早急に中止するようにとの内容の陳情だった。
 陳情者の意見をこの日を委員会で聞いていたが(私は委員ではないので傍聴)、どうも論点が違っているように思えてならなかった。特にインターネットの利用がなぜ問題になるのか、理解はできなかった。



 審議では、第四期長期計画調整計画の審議のさい、利用が禁止されているのにまったく関係のないサイトを検索していたり、メールを送受信している議員がいたと陳情文に書かれていたことで、事実かどうかが主な論点になっていた。現在は、委員会室でのネット利用を可能としているが、このことが事実であれば現在の利用も考直す可能性があることになり、重要視されていた。
 しかし、審議の前に陳情者との質疑が休憩時間(お休み時間ではなく、議事録を取らないフリートーク)にあったのだが、陳情者が自ら確認したのではなく聞いた話としていたので、事実を調べてみるべきとの判断になり、この日に採決はせずに継続審議となった。

 陳情は他に『事前に調査・研究を重ね 、一定の考え方を踏まえて審議に臨む姿勢を要望します』というものと無線LANには情報漏えいの危険性があること、パソコンを使える議員と使えない議員の格差が広がることにもなるので公金を使う合理性がないことから中止をするべきとの内容だった。

 これは私の考えで、委員会の見解と同じかどうかは分からないが、事前に調査をするのは当たり前のこと。委員会審議の途中で情報が必要となれば、ネットを使って探すことができるようになるのだから逆に市民利益につながると思っている。委員会審議では、議員は一人で答弁者席には数十人の職員が控え、それぞれに膨大な資料を持っている。そのなかで対等に議論をしようと思えば、道具としてネット環境を得てもいいのだと思うからだ(行政側のネット利用も可としているが、行っていない)。
 特に行政資料はネット上にあることが多く(武蔵野市の各種報告書もネットに掲載されている)、膨大な資料を持ち歩くよりもネット上の資料を使ったほうがはるかに効率的だ。クラウドといっても良いと思う。
 何よりも、委員会は議論することが目的ではないはずだ。議論によって課題を抽出したり、改善点を提案することで、より事業や施策が良くなることで市民利益につなげることだと思う。事前に調査したことの発表の場ではないはずだ。

 情報漏えいについても誤解があるように思えた。議員が使うの議会専用の回線で市役所の庁内LANとはつながっていないからだ。住民の情報とは隔離された環境であり、漏えいするとすれば、議員個人のパソコンに入っている情報であって、それは委員会室だけに限らず、自宅でもどこでも同じことになる。議員にパソコンを使うな、ネットを利用するなと同じになってしまわないか、と思えた。

 パソコンを使えない議員との差も指摘されていたが、使う使わないは議員が判断すべきことではないだろうか。結果として市民利益につながれば良いだけのことであって、道具を使えない議員がいるから全員に使わせるなというのもよく分からない。調査ができない議員がいるから全員調査するなと同じ理屈にならないだろうか。

 議員間のメールの送受信についても、今でも他の議員からメモ用紙が渡されたり(これは行政側も同じ)、耳打ちが行われているのだが同じことだと思う。

 ただ、公金を投入する理由については、もう少し理解してもらう必要があったのかもしれない。ネット環境の導入を検討する過程で、当初業者から示された案からはセキュリティを保ったままで大幅にコストダウンはしていたからだ。逆に言えば、コストを安くして環境を整備しているのだから、もっと利用をすべきなのだと思う。

 今回の陳情は議会運営上の問題についてということもあり、説明員(議会事務局以外の行政側の市職員)がまったくいないなかでの議論となっていた。いわば、自由討議だ。このような議論は、議案の審議でももっとすべきだと思った。
また、今回の陳情で陳情者が訴えたいことと陳情文、さらには委員会の受け取り方にずれがあったようにも思えた。陳情者、市民と議会とが議論する場も増えてもいいのだと思う。審議が始まってしまうと陳情者は議論に加われないのが現在の議会の仕組みだからだ。

 話は変わるが、ネット環境を抑制するのではなくもっと活用することも考えていいのだと思う。YouTube(USTREAM)を使って安価に議会中継を行っている議会やツイッターで情報を伝えている議会もある。委員会中にネットで傍聴している人から意見をもらって議論に活用することもできるはずだ。これは委員会室で傍聴している人に発言機会を認めることと同じことになるのだが、後ろ向きに考えるのではなく、せっかくの技術を使うことも考えていいのだと思う。

 いずれにせよ、今回継続審議となったことで議論はさらにできることなった。

 陳情文はここ