国へ教育予算増を求める陳情採択  内容は良いけど事業仕分け的に考えると課題はあり

11月24日の市議会文教委員会で「国の高等教育予算の増額を求める意見書の提出に関する陳情」が審議され、全会一致で採択(賛成)となった。政府が財政を考えていろいろな軽費を削っているが、今以上に大学への補助金を減らさないように、そして、増やして欲しいという内容だ。趣旨には賛成したが、“事業仕分け的”に少し考えてみることも必用だと思った。

 大学への交付金など教育予算削減については、事業仕分けの対象になったので多くの人が知っていることだろう。スーパーコンピューターや文化振興への予算が削られたことでの批判が多くあったし、一番じゃなければダメなんですか、という言葉は流行語のようになったからだ。この仕分け内容については今回は触れないが、今回の陳情を事業仕分け的に考えてみると単に予算を増やせだけだけでいいのかと思った。

 高等教育への予算だけではなく他の教育予算も含めてだが、OECD諸国との比較でも教育への予算はもともと低い。教育は未来への投資でもあり基本的に今以上に予算をかけるべきと私は思っている。だが、たんに予算をかければいいのではなく、目的にあって効果的に使われているか。余計なことに使われていないか。制度がちゃんとしているかなどをまず考えておくべきではないかと思うからだ。

 例えば、今回の陳情で言えば、陳情された方は予算(交付金)の削減は学費の値上げにつながり学びたくても学ぶことができなくなる。研究したくても研究室がなくなってしまうことになると陳情に先立ち行われた意見陳述で話されていた(委員会の休憩中なので記録は残らない)が、このことを目的にするのなら、学費や研究室にちゃんと使われているかどうかを制度として作っておかないと、学費目的で予算を出しても、あまり必用のない設備に使ってしまったり学校の宣伝費に使われてしまうことが当然考えられるからだ。
 増額してもその狙い通りに使われるのか、効果的なのか、妥当なのかを考えて制度設計をしておく必要があるはずだ。学費の軽減なら学生に直接、渡したほうがはるかに効果的だろう。バウチャー制度というやり方もある。研究機関への直接補助でも同様だ。

 このようなことは、事業仕分けをしていると良くあることなのだ。事業仕分けをするときには、冒頭に事業の説明を担当職員が行うのだが、この事業は、このような目的でいくらの事業費を使っています、と説明されると、ではそれをどのように評価されているか。どのように効果が出ているかを誰がどのように調べているかと質問すると、知らない、分からない、調べたことがないという返答になることが意外と多い。あったとしても、みんなが喜んでいるから効果があるという返答だったりするのだが、対象とする人数がどれくらいで、そのうち何人に事業費が使われているのか。必要とされている人へ届いているのかなど聞くと、喜んでいるのは少数。しかも、事業目的とは関係なく物が安いからで喜ばれているだけということも少なくないのだ。
 このような場合の判定は、効果が分からないようなことに税金を使うべきではない。事業の目的が正してくても制度がおかしいのであれば、事業を止めて制度を一から作り直すべき、となり「不要」となる。
 マスコミなどは「不要」だけを報道するが、なぜ「不要」なのか途中の議論を伝えないことが多い。そのため、事業目的を不要と受け止められがちだが、実はまったく違った意味での不要もある。削減についても同様だ。どんぶり勘定でお金をつけてしまうことのほうが税金の無駄遣いになることをもっと知る必要があるのだと思う。

 
 目的あった制度なのか。どのように使われているか。さらに言えば、やる気にある大学、学生には税金をかけるべきだが、そうでないところまで必用なのかという課題もあるはずだ。そういう意味で、今回の陳情では、たんに増やせばいいのかという疑問があった。陳情者の方は、このあたりは分かっていたようなので良かったのだが、世間的にはどうなのだろうとも思う。大学への予算を考えると、そもそも独立行政法人にしたことが自体が良かったのかという課題もあると思う。予算の多い、少ないだけでははずなのだ。

 採決では賛成したが、これから作ることになる意見書には、このようなことも含めて出したいと思う。

 先週、京都府の事業仕分け(主催;京都府議会民主党議員団)に仕分け人として参加したのだが、このときの感想は、市町村のように住民と密接でない都道府県単位になると、実際にどのように使われているのか余計に分からないことが多いのだな、ということだった。実際に行うのは市町村ということもあるので、ある程度は仕方がないのだが、これが国になればもっとあいまいに使っているのではとも思った。たんに予算の多い少ないの問題ではないのだ。税金は湯水のようにあるのではない。効果的に使われているのか。制度は妥当なのか。このことのほうが重要だと思う。

【参考】
陳受22第33号)国の高等教育予算の増額を求める意見書の提出に関する陳情