民主党PT 地方議員年金廃止案を提案

 民主党地方議員年金PT(プロジェクトチーム・小川淳也座長)が地方議会議員年金制度の廃止を求める提言をまとめ片山善博総務相に提出。来年1月からの通常国会に提出する方針となった。他政党の対応は不明だが、来年4月に予定されている統一地方選挙へ向けて注目されることは確かだ。


 地方議員年金は、本来は地方議員の掛け金だけで運営すべきものだが、そもそもの制度設計の甘さ、市町村合併により地方議員が激減したことなどから破綻が明らかになっている。特に市議会議員の年金は2011年にも破綻が明らかになっており、早急な対応が必要だった。
 民主党案では、年金を廃止した場合、これまでの掛け金の戻すさいの一時金を総務省の検討会案が64%を地方議員側の要望にあった80%にしていることが特徴だ。80%は国会議員の年金を廃止したさいの一時金と同じ割合だ。

★地方議員の年金制度は、都道府県議会、市議会、町村議議会それぞれに共済会があり運営を行っている。当初は掛け金だけで運営を行う設計だったが、すぐに行き詰まり公費を導入するようになっていた。現在、約4割を公費負担している。朝日新聞によれば、『2009年度末現在、掛け金を支払っている会員が約3万6千人に対し、受給者は約9万3千人。市町村合併による会員激減により、市と町村の積立金は来年6月に枯渇する見通しだ』という制度。そもそも成り立つわけがない制度だろう。維持を主張できる理由はない。

 地方議員年金は、法律により決められたもの。年金制度に反対でも支払いを拒否すると法律違反となることから強制的に支払いが行われていた。地方議員年金は、“特権”と批判されている。廃止の法案の行方は分からないが、地方議員自信の考え方も問われることになりそうだ。

 以下は、民主党PTの提言案

【参考】
朝日新聞 地方議員年金に廃止案 民主提言、財源が悪化

日本経済新聞 地方議員年金、廃止法案を通常国会提出 総務相方針

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2010年11月19日
地方議会議員年金制度の見直しに関する提言(案)

民主党・地方議員年金PT座長 小川 淳也

地方議会議員年金制度は、昭和36年に互助年金制度として創設されて以来、数次の見直しにも関わらず、財政が予想を上回って悪化し、市・町村議会議員共済会の積立金は平成23年度にも枯渇、都道府県議会議員共済会も平成33年度に積立金が枯渇する見込みに陥っている。

総務省は「地方議会議員年金制度検討会」において対応策を検討し、平成21年12月に存続案(A案、B案)および廃止案の三案を提示した報告書をとりまとめたが未だ見解は一本化されず、三共済会に対し意見集約を求めている。
いずれにしても現行のままでは市・町村議会議員年金財政が来年度にも破たんする見通しとなっており、政府が必要な措置を行う必要があることを踏まえて、民主党では、地方議員年金PTを設置し、党としても本年金制度の見直しについての結論を早急に得て、11月中に政府に提言を行うこととした。
本PTでは集中的に三共済会等関係者や自治体議員等から意見の聴取や民主党組織所属の全自治体議員を対象にアンケート調査を行った上で検討を行ない、以下の政府に対する提言内容をとりまとめた。

1. 地方議会議員年金制度の現状

地方議会議員年金制度は互助年金制度として創設されたが、議員構成の変化や制度の構造的な問題等により収支が悪化した。そのため、議員年金制度は掛金の引き上げ、給付の引き下げ、公費負担(地方公共団体)の引き上げなど様々な制度変更が試みられた。しかし、受給者数が会員数を大幅に上回っており、掛金の大幅引き上げ、給付の大幅な引き下げや公費負担の大幅な引き上げなしに将来的に維持することは極めて困難な制度となっており、本来の互助年金制度の性格からかけ離れてきている。さらに、市町村合併により議員数が激減し、行政改革努力の結果で議員定数や報酬が削減されるなどしたため、市議会議員共済会・町村議会議員共済会の積立金は平成23年度、都道府県議会議員共済会は平成33年度に積立金の枯渇が見込まれている。

2. 三議会議長会の考え方について

現時点での各議会議長会の考え方は以下の通り。

○ 都道府県議会議長会の考え方
. ①給付水準を10%カット、②掛金の引き上げ、③合併による激変緩和負担金も含め公費負担率を約50%まで引き上げた上で制度を維持(総務省検討会報告書存続A案)
. 廃止する場合の考え方を提言するとした意見も1/4程度。(その際には一時金は掛金総額の64%超を確保すべき。)

○ 市議会議長会の考え方
. 制度を廃止し、既裁定者には現行制度に基づく給付を行い、受給資格者には一時金(掛金及び特別掛金総額の80%)又は現行制度に基づく年金を給付。また、受給資格のない者には一時金(掛金及び特別掛金総額の80%)を給付。

○ 町村議会議長会の考え方
. ①給付水準を5%カット、②掛金の引き上げ、③合併による激変緩和負担金も含め公費負担率を最大57.6%まで引き上げた上で制度を維持。(総務省検討会報告書存続B案)

3. 民主党・地方議員年金PTで実施したアンケート結果の概要

民主党が実施した民主党全都道府県連所属自治体議会議員を対象にしたアンケート(回答率48%、回答数1,249)では4割以上が廃止すべき、約3割が廃止やむなしと回答し、合計7割以上が「廃止」と回答した。また、存続A案、存続B案を支持する人は、それぞれ12%、10%だった。さらに廃止の際の方法について様々な意見・論点が示された。
また、11月5日に開催した地方議員年金PTにおける全都道府県連所属の自治体議員の代表者からのヒアリングの際も同様に、ほとんどが廃止やむなし、廃止すべきという意見を表明した。また、様々な廃止に際しての意見が出た。

4. 提言

(1) 地方議会議員年金制度の存廃について
民主党・地方議員年金PTは計7回の総会を通して、各関係者、当事者、団体からのヒアリング、党所属自治体議員との意見交換を行い、各案について議論を重ねてきた。その結果、今以上の掛金の引き上げ、給付の引き下げ、公費負担(地方公共団体)引き上げ等について関係者及び国民の理解を得るのは困難であること、また、それらの措置を行ったとしても、現時点で地方議会議員年金制度の将来にわたる維持は困難であるとの意見に集約されたため、本PTとしては廃止すべきであるとの結論に至った。
よって、政府は、速やかに地方議会議員年金制度を廃止するための法律を整備すること。

(2) 廃止に際して講じるべき措置について
廃止に際しては、旧国会議員互助年金制度の廃止の方法が参考になると考える。ただし、地方議会議員年金は過去に30%の給付の引き下げを行い、既に旧国会議員互助年金廃止時以上の給付引き下げが実施されている経緯から、旧国会議員互助年金廃止時と全く同じ形での現受給者・既裁定者の給付引き下げは困難である。一方で、高額受給者・高額所得者については給付の引き下げや支給停止措置の強化を行い、廃止に係る公費負担投入の必要性を踏まえ、受給者にも一定の理解と協力を得た上で、国民の理解を得ることが必要である。

よって、政府は、廃止に際して以下の措置を講じること。

① 廃止時点で年金受給資格を有する現職議員(在職12年以上)について、退職年金又は退職一時金のいずれかの給付を受けることを選択できるようにする。

② 既裁定者も含め、退職年金額が一定額(概ね年額200万円程度)を超える場合、その超える部分の10%程度の額を引き下げる。

③ 廃止時点の現職議員に支給する退職一時金の額は、掛金総額及び特別掛金総額の80%とする。
④ 退職年金の最低保障額は撤廃し、高額所得者に対する支給停止措置を強化する。
⑤ 退職一時金の支給時期を、制度廃止後直近の任期満了時とする。
⑥ 廃止方針決定後の平成23年1月以降に退職して一時金を受給する者については、同月から廃止法施行までの間の掛金総額及び特別掛金総額は、100%を一時金に算入する。

5. 今後の課題

○ 地域主権改革と並行して、地域の住民を代表する多種多様で有能な人材が地方自治に参画できるような、地方自治体の議会のあり方の検討を進めるべき。
○ 早期に例外なき年金制度の一元化を実現するため、政府は検討を着実に進めるべき。
以上