[決算一日目] 貯めすぎ? 基金をどうするか

kikinn2 21年度決算審査の一日目(※)、総括、歳入、議会費の審議が行われた。このなかで、武蔵野市の基金についての議論があった。市民一人当たりの基金残高が多摩26市平均が6万2000円に対して、武蔵野市はダントツ1位の20万3000円もあるからだ。財政を厳しくしているが、使うべきところに使っていないのではないか、との趣旨の質問があったからだ。


■突出している基金額

 基金は、いわば貯金のこと。将来の学校の建て替えなどへの準備資金として貯蓄しているものだ。武蔵野市は、審議している21年度決算では市民一人当たり20万3000円。周辺自治体の三鷹市が5万2000円、小金井市の4万6000円、西東京市の4万7000円と比較しても突出して多い。
 一方、自治体には基金だけではなく市債(借金)もある。これも市民一人あたりで比較してみると武蔵野市は17万7000円。多摩26市の平均は21万円。三鷹市23万6000円、小金井市25万3000円、西東京市26万5000円と比較しても少なく、多摩市の17万2000円に次いでの2位という少なさとなっていた。

 決算委員会では、上下水道やクリーンセンターの建て替えなど都市基盤のリニューアルで約1500億円が必要とされ基金を積み上げているが、本当のこの額が必要なのか。調整計画での想定よりも61億円も基金が増えている。いくらまで積み上げるのか。他に使うべきことがあるのでは。昨今の異常気象から学校にクーラーを入れるべきだ、との質問があった。答弁では、基金の額は行政努力の結果だがいくらのとの目標はつけにくい。クーラーは課題として認識している。基金が想定よりも増えているのは、毎年の不用額からの繰り入れを調整計画では計算していないため。基金は必要との趣旨の答弁となっていた。

■余ってしまった予算の使い道

 この不用額額についての質問もあった。不用額とは当初の予算で計上したが実際には使わなかった予算額のこと。21年度の一般会計(介護保険など使用目的が決まっている特別会計以外の通常の予算)の決算額は約605億8100万円。このうちの約28億4000万円が不用額となっていた。監査委員からもこの額の多さには是正を求められていたが、多少の誤差はあるにしてもこの額は多いといえる。予算の見積もりが甘かったといわれても仕方がないだろう。kikinn
 そこで考えてみたいのは、足りなかったのではなく、余ってしまったということだ。昨今の経済状況を考えれば贅沢な話だが、その余った額は他にもっと使うべきことはなかったのだろうか。基金はいずれ使うものだから積み上げることは必要だが、緊急に行うべきこと。あるいは、次年度に計画していた事業を前倒しして実施しても良かったのでないだろうか。自治体にできる緊急的経済刺激策、多摩で唯一という学童クラブの土曜閉所(今年は年に7回だけ開所)を年度の途中で実施しても良かったのではと思った。他にも年度で状況が変わるものではなく、すぐにでもやるべきことはなかったのか、考えなかったのかとの疑問も残った審議だった。これらのことは、来年度予算に反映させて欲しい。

■富士高原ファミリーロッジ

 この日の審議では、富士高原ファミリーロッジへの質問もあった。売却は仕方がないとはいえ、議会への報告に疑問があるというものだった。答弁は、進行状況に合わせて報告している。売却についても報告しているが、議会からの異論はなかったとの認識だったという趣旨のものだった。行政報告が前市長時代に比べて飛躍的に増えているという指摘が委員会のなかであったが、確かに情報提供は進んでおり評価できるものだ。
 しかし、多くの情報が出されるのはいいが、そのなかで何が重要なのか。報告して何を期待しているのか、何の議論を必要としているのかが、いまひとつ分からないこともある。議会側の認識不足と言われればそうかもしれないが、報告や説明の仕方、議論の仕方について、これは議会だけではなく各種の委員会や市民会議でも同様だが、もう少し考えてもいいのではないだろうか。当然ながら、行政任せではなく議会としても考えてみるべきと思った審議だった。

■結局は議会改革か

 議会改革の先頭に立つ北海道栗山町の議会基本条例には、決算などの資料の出し方を下記のように規定している。審議にさいしては、他の類似した政策との比較や他自治体との比較した情報も提出すべきというものだ。このような情報もあれば市民にも分かりやすいのではないかと思う。
 いずれにせよ、いつまでも同じ内容の決算審議でいいとは思わない。議会改革を進めることで審議も変わるのだろうな、と思った決算一日目だった。

※一日目=実際には正副委員長を決める日が一日目だが、実質的な審議の一日目との意味

画像は、武蔵野市の年次財務報告書(平成21年度決算)からの抜粋

【参考】
売却中の富士高原ファミリーロッジ

 
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栗山町議会基本条例

第6条
 町長は、議会に計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)を提案するときは、政策等の水準を高めるため、次に掲げる政策等の決定過程を説明するよう努めなければならない。
. 政策等の発生源
. 検討した他の政策案等の内容
. 他の自治体の類似する政策との比較検討
. 総合計画における根拠又は位置づけ
. 関係ある法令及び条例等
. 政策等の実施にかかわる財源措置
. 将来にわたる政策等のコスト計算

2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、それらの政策等の水準を高める観点から、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算・決算における政策説明資料の作成)
第7条 町長は、予算案及び決算を議会に提出し、議会の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料を作成するよう努めるものとする。