東町の下水貯留施設  ここにもボタンの掛違い?

 6月25日にあった吉祥寺東町の合流式下水道改善事業に関する説明会にでかけてきた。この事業は、法政中高校の講堂跡地に下水の一時貯留層を設置するもので、現在の武蔵野市下水容量が不足している(※)ことなどから、大雨時になるとあふれた下水が善福寺川に流れているため、流れ出る量を半減すること。そして、北町の水害対策を目的とするもの。
 しかし、説明会に参加していた人の意見や質問を聞いていると、この目的の賛否ではなく、今まで情報が伝わっていなかった。もっと早くから地域の人と意見交換して欲しいと思えるような内容が多かった。市がやろうとしていることは良いことなのだが、どこかにボタンの掛違いがあったのではないか、と思ってしまった。

 説明会では、武蔵野市の下水のほとんどが家庭の雑排水と雨水を一緒に下水に流す合流式であり、大雨時など一定の容量を超えると善福寺川などへあふれた下水を流す構造になっている。法律が改正され、このような状況を平成25年までに改正することが求められていることや下流域への迷惑を少なくするために市(土地開発公社)が購入した法政中高校跡地に一時貯留層を設置したい。市は下水対策としてこの貯留層だけではなく、家庭への雨水浸透マスや公園、学校などへも雨水浸透施設を設置するなどでも対応をしてきており、今後もさらに進めたいので理解をしてもらいたい、という趣旨から各種のデータを示しながら必要性を説明していた。
 この説明の後に参加者から雨水浸透マスなどをもっと市内全域で広げればこのような下水貯留施設は必要ないはずだ。法律で改善が求められているとすれば、この土地を得られなかった場合はどのようにすると考えていたのか、代替案あるのではないか。当初は、北町の水害対策のために貯留層を作るという話だったのに、いつの間にか、下流対策が目的になっている。話が違うなどの質問や意見が出されていた。

 これらに対して市からは、雨水浸透マスまどで対応するとすれば、下水流域の60%の家屋に浸透マスを設置し市内道路の100%に浸透トレンチなどの浸透施設を設置しなくてはならない。現在、設置している家屋数は約1000戸だが、これをH25年度までに約7000戸にすることが必要になる。道路への浸透トレンチ設置には、交通規制や他期間の設備との調整が必要になるので、現実的には25年までに対策をすることは困難。また必要量の雨水浸透マスと道路の浸透トレンチを設置するには約75億円の費用がかかってしまう。

 法政中高校の跡地が入手できなかった場合、女子大通りの地下、現在の下水管のさらに下、地下17mに直径4m、長さ800mの貯留管を敷設することが想定できる。だが、工事をするための立抗の用地確保が必要になるが現状ではできていない。この案を行うとなると、用地代を別として約37億円の費用がかかり、昼夜連続で行ったとしても工期が3年3ヶ月程度かかるなどの課題がある。目的が変わっているとの指摘に対しては、これまでにも説明をしてきているとしていた。
 
 他の質問や意見があったが、会場の都合で終了となった。参加者からはもっと時間をかけて意見交換をすべき、疑問へ回答して欲しいとの意見もあるなかでの説明会終了だった。
 

※下水は、武蔵野市だけの単独で解決できるものではない。下流にある処理施設や下水管など総合的な対応が必要になる。本来ではあれば、自らの市で処理することが求められるが、下水処理施設を作るような土地は市内にはなく、単独の市で行うには事業費が巨額となることから東京都や他の区市との共同事業となる。

★費用だけで考えるべきとは思わないが、現行の計画では24ヶ月程度の工期、建設費用は約30億円(法政中高校跡地の施設費用。東町ポンプ場跡地での費用は約5億円。通常は建設費用の半額程度の補助金が得られる)であることを考えれば、計画の妥当性はあると思う。武蔵野市の下水で杉並区などへ被害がある現状を考えれば、この下水貯留施設は必要性も高い。

 しかし、住民が望んでいることと市の対応に微妙なずれがあるようにこの日の説明会を聞いていて思った。

 この日の説明会は三回目で、その前に出されていた住民からの質問に対して市が検討したことも示す(雨水浸透マスで対応するとすればなど)など市の対応には好感を持てたのだが、このようなやり取りは、計画がここまで進む前にやっておくべきことではなかったかということだ。
 計画を固める前に情報を出して、いろいろな対応策を住民と考えてみるという作業があれば、全員とは言えないまでも多数の納得を早期に得られたのはないだろうか。計画が固まる前に、課題を示し、やらないことも含めて複数の解決のための選択肢を市民と協議することが必要だと思うのだ。それが協働でもあると思う。
 東町には法政の問題が過去にあり、市と軋轢があったことは確かだが、顔が見える関係ができたとも言える。その関係をもっと活用してもいいのに、とも思った。

 そして、この日の説明会でも住民から指摘されていたことだが、迷惑施設とも言える下水貯留施設や市の下水が抱えている問題について東町だけに説明するのではなく、流域(関前、西久保、緑町、北町、本町、東町、八幡町の一部)や市全体にも伝えていく必要性があることだ。
 本来ではあれば、流域の世帯が雨水浸透マスを各家庭に設置すれば、このような大規模な施設は必要ないとも言える。市は雨水浸透マスへの助成を行っているが、知らない人が多いと説明会で指摘されていたように、今以上に広報を行うことも必要であり、自らの家庭からでる雑排水や屋根からの雨水が東町、杉並区へと流れ被害を作り出していることを周知させ、市民自らの問題と認識してもらう努力が必要ということだろう。市や一部の町だけの問題ではなく、市民全体の問題にすべきということだ。
 クリーンセンターの建替えでは全市で説明会などを行ったのだが、同じようなこともすべきなのだと思う。東町のこの下水施設については、先の一般質問で複数の議員が取り上でおり、市政の大きな課題となっているが、そもそもの発端を考えてみると、福祉公社と社協の移転問題と同じで、どこかにボタンの掛違いがあったのでは、とも思った。今からでも直すことは十分可能まはずだ。

 説明会では東町の下水施設の工法や他地域への市民への周知については、住民と検討をするとしていた。今後、設計の詳細についてが検討され、住民への説明会も続けられる予定だ。期待をしたい。

★今後、市には水道や公共施設の再配置、建替えなど全市的な課題が待ちかまえている。これらの課題も市民と共有して考えていくこと、ボタンの掛違いをしないようにすることも必要だ。