民主党の消費税への考え方

 消費税率アップについて、にわかに議論が沸き起こっている。私のところにさえ「消費税を口にするな、負けるぞ」といわれたり、「良くぞ言った」と正反対の反応がある。そこで、民主党の資料を基に民主党の消費税へのスタンスをまとめてみた。
 私は、消費税率を上げることを考える時期になっていると思う。ただし、ムダをなくすこと、税制全体の再構築などやるべきことをやってからとの前提だ。
 以下が概略。ご参考まで。



●Q1
・何時から検討を始め、各党との協議を開始するのか?
・超党派での合意が得られた場合、何時までに改革案をとりまとめ、法案を提出し、成立させ、実施することを目指すのか?
・超党派での協力が得られない場合には、どうするのか?

○A1
・今回の参議院選挙で「消費税を含む税制の抜本改革」の議論を開始することを提起し、これに対して国民の理解を得ることで、議論の出発点に立てる。それ以降のことは選挙戦の中で得られる国民の声、各党の意見を十分に聞きながら、選挙後に検討していきたい。これを前提に、現段階での民主党の提案は以下の通り。

 □検討開始時期
 ・参議院選挙後、税制改革案の検討を開始したい。あわせて、各党には「財政健全化検討会議」の設置を呼びかけたい。

 □改革案とりまとめ、法案提出・成立・実施実施時期
 ・改革案は、2010年度内にとりまとめる。その後の具体的スケジュールは現時点では決めていないが、幅広い合意が得られれば、速やかに法案を提出し、成立を期したい。
 ・なお、税制改革の前提として、ムダづかい根絶に向けた一層の努力、成長戦略の実施によるデフレ克服・景気回復で、国民が受け止められる環境をつくることが重要と認識。

 □超党派での協力が得られない場合の対応
 ・仮に各党が協議の呼びかけに応じなかった場合も、民主党中心に2010年度内の改革案とりまとめを目指す。

●Q2
・社会保障国民会議や、今年2月の社会保障円卓会議など、自民党から超党派の議論の呼び掛けに対し、民主党は応じなかったのは何故か?

○A2
・平成20年にスター卜した社会保障国民会議は、自公政権の下で現行の年金制度、同年4月にスター卜した後期高齢者医療制度などが前提になり、議論の土俵が整っていなかった。
・本年2月の代表質問で、自民党・谷垣総裁から「社会保障円車会議」の呼びかけがあり、「まずは国会審議」とお答えした。その後、国会審議、ギリシア問題などを踏まえて党内で検討を続けてきた結果、民主党としても一定の方向性が出たので、改めて超党派の議論を呼びかけることにした。

●Q3
・消費税を引き上げる前に総選挙で国民の信を問うのか?

○A3 
・大きな税制改革を行う場合には、実施する前に、あらかじめ国民に信を問うのが本来あるべき道と考える。
・今後、超党派での幅広い合意をめざしていくが、その話し合いが順調に進むのか、進まないのか、その推移によって、その後の展開も変わってくる。
・したがって、総選挙について、今のところ、いつ頃どうこうというようなことを申し上げる段階ではない。

●Q4
・なぜ、今、消費税の議論を始めるのか?

○A4
・我が国財政は、税収の大幅な落ち込みもあり、現状の国債発行水準を継続すれば、数年のうちに債務残高がGDP比200%を超えることになる。
・このような状況を放置して、ギリシャのように国債市場での我が国の信認が失われ、財政破綻に陥って、財政自主権が失われることになれば、経済や国民生活に多大な悪影響が生じる。
・このような事態を回避し、財政の持続可能性を確保するには、無駄遣いの根絶と経済成長を実現する予算編成に加え、税制の抜本改革に着手し、我が国財政への信認を確保する必要がある。この問題は、国家財政における「待ったなし」の課題であり、早急に取り組
む必要がある。
・また、税制の抜本改革は、マニフェス卜で掲げた「強い経済」、「強い財政」、「強い社会保障」の一体的な実現のためにも必要不可欠。消費税による税収を、社会保障をはじめとする成長分野ヘ投資することにより、それが、新たな需要や雇用の創出をもたらし、それにより経済成長の実現が可能となる。
こうした観点から、これまで成し得なかった、消費税を含む税制の抜本改革の問題に、逃げずに取り組んでいきたい。

●Q5
・消費税は何%と考えているのか?
・消費税率引き上げの根拠は何か?

○A5
・自民党が提案している10%は一つの参考と考えている。
・また、11年前から国の消費税は「高齢者3経費(老人医療、年金、介護)」に充当することが定められている。その必要額約17兆円に対して、国分の消費税は7兆円であり、約10兆円不足している。さらに社会保障費は毎年自然増があり、これも含めて考えれば、この程度の財源は必要。
・自民党も概ね同様の考えに立って、10%を提唱されたと考えている。
・いずれにしろ、社会保障を税制の抜本改革と一体で議論することが重要であり、具体的な税率はその中で検討していく。

●Q6
・消費税を上げたら何に使うのか?

○A6
・我が国の財政面で大きな岐路に立っている。選択脹は以下の3つが考えられる。
 ?社会保障の財源を確保するために行ってきた巨額の借金(赤字国債)をこのまま続けて破綻する
 ?ムダづかいの根絶を徹底的に行った上で、赤字国債の抑制のためにさらなる予算の削減を進めデフレに陥る
 ?消費税を含む税制の抜本改革により、必要な費用を国民の間で分担する

 財政の持続可能性を維持するには、?の選択しか採りえないことは明らか。

・税制改革により、必要な歳入を確保した上で、その使い途については、新成長戦略を踏まえて、社会保障など経済成長や雇用を生み出していく分野に財政資金を効果的・効率的に投入していく。こうして、強い経済、強い財政、強い社会保障を実現。

●Q7
・消費税の逆進性対策はどうするのか?

○A7
・消費税の逆進性対策として、一般的には食料品などの生活必需品に軽減税率を適用する「複数税率」が検討されてきた。
・民主党ではこれに加えて、「還付制度」や「給付つき税額控除」も検討してきた。
・今般、各党に税制の抜本改革の協議を呼びかけていることもあり、逆進性対策についても広く選択股を持って議論を行いたい。
・なお、社会保障の受益は低所得者の方が相対的に大きいことを考えれば、消費税を社会保障に充てることによって、所得再分配機能が強化され、そのこと自体が、逆進性緩和に資するとも言える。

●Q8
・消費税の引上げよりも、歳出削減が先ではないか?

○A8
・民主党は政権交代後速やかにムダづかいの根絶に着手した。自公政権の概算要求を見直し、要求段階で1.3 兆円の削減を行った。その後の「事業仕分け」では国民の前で予算を1つ1つ検証し、約2兆円の見直しを行った。これは民主党政権で無ければ実現できなかったと自負している。
・民主党政権では予算のムダづかいをやめることや、歳出の徹底した見直しに不断に取り組んでいく。ムダづかいの根絶なしに税制改革に取り組むことは、バケツに穴を空けたまま水を入れることと同じであり、決して国民の理解は得られない。
・2009マニフェス卜に掲げた「総予算の組み替え」で9. 1兆円は、大変困難であるがギリギリまで取り組む。地方財政の悪化や地方経済の疲弊など一部では現状を踏まえた対応が必要となるが、特別会計をゼ口ベースから見直すなど、さらに「総予算の組み替え」を徹底していく。また、いわゆる「ムダづかい根絶」については、4月、5月に実施した独立行政法人・公益法人等の事業仕分けの結果を生かすなど、今後も全力で当たっていく。
・議員定数の削減、国会議員の経費削減などにも取り組んでいく。
・それだけでなく、税制改革を行うことによって、財政の持続可能性を確保し、人々の将来不安を払拭するとともに、社会保障などの成長や雇用が期待される分野に財政資金を効果的・効率的に投入していく。これにより、「強い経済」、「強い財政」、「強い社
会保障」を一体的に実現。

●Q9
・消費税を引き上げると景気に悪影響があるのではないか?

○A9 
・今日に至るデフレの状況下では、人々の流動性選好(現金を消費に回さず、保有する傾向)が高く、お金が消費や投資に回っていない。
・税と財政出動により、お金の潤沢で安定した循環をもたらし、仕事と雇用を生み出すことが、デフレを解消し、景気回復につなげる道だと考えている。
・これらを含めた成長戦略を実施することによって、早期にデフレを克服し、最低でも名目で3児超の経済成長を実現することに全力を挙げる。
・消費税の引き上げ時期については、経済状況などを勘案することは言うまでもない。

●Q10
・消費税以外の税目については、検討しないのか?

○A10 
・わが国の税制は、消費税導入を除けば、これまで抜本的な改革は常に先送りされ小手先の改正を繰り返してきた。その結果、時代に合わず、財源調達力が減退し、一般の国民が理解不能な複雑な税制となっている。
・消費税のみならず、個人所得税、法人課税、資産課税等にわたる税制の抜本改革を進め、「公平・納得・透明」な税体系に改めていく。

●Q11
・2009年度の税制改正法の附則第104条との関係は?

○A11
・2009年度の税制改正法附則第104条では、消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を講じ、その場合、2010年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立することを旨とする、とされている。
・これは、自公政権で成立した法案だが、税制改革の道筋は、ほぼ私の考え方と同様である。今後、税制改革を進めていくにあたり、活用できれば活用していきたい。
・自民党・公明党をはじめ、この法案の成立に携わった方々にも、ご協力をいただきたい。

●Q12
・民主党は2005年郵政選挙で「消費税3%の引き上げ」を主張した。なぜ、今回は5%引き上げて10%なのか?

○A12
・2005年選挙の際の民主党の主張は年金制度の抜本改革を実現するとともに、消費税政を引き上げ、これを年金財源に充当するというもの。
・その後、医師不足などによる地域医療の崩壊、介護サービス不足が明らかとなった。
・医療・介護などの分野に財政資源を重点的に充当することは、国民の将来への不安が軽減し消費の拡大が期待できるとともに、サービス供給の拡大自体が雇用の拡大につながる。
・このような観点から、消費税率を引き上げた場合の税収は年金に限定することなく、医療・介護などの分野にも充当することを考えている。この点は、05年郵政選挙時の主張とは異なる。
・ただし、抜本改革における消費税の引き上げ幅やその後の使途については、これから議論するもの。現段階で、何ら確定しているものではない。

●Q13
・民主党は消費税の社会保障目的税化を主張してきた。方針を変更したのか?

○A13 
・従来の方向性を踏襲しており、社会保障分野への投資によって雇用を生み出し、それを経済成長、そして財政の健全化ヘ繋げる道筋を提案している。
・社会保障の財源を消費税で確保することで財政の余力が増す場合には、わが国の閉塞感を打破し元気な日本を復活させる分野にそれを充当していきたい。強い経済をつくることが、強い財政・強い社会保障をつくるためには最も重要と考えている。
・この点についても、今後の党内及び超党派の議論の中で検討をお願いしたいと考えている。