青少年健全育成条例改正案否決は歴史的なこと 議会の役目も再認識すべき

 6月20日に「青少年健全育成条例改正案の結果と今後の課題」をテーマに松下玲子都政報告会が開催された。アニメや漫画の内容などを規制する条例だが、先の都議会で否決となったもののが、都は9月議会には再提出するとしている。否決した会派は一枚岩ではないので、気を緩めるわけにはいかないとの発言が報告会ではあった。聞いていて思ったのは公権力の暴走を止めるのが議会の役目。そのことに気がついているだろうか、ということだ。



 報告会では、松下都議から都議会の様子、この問題に長年取り組んでいる山口貴士弁護士からはこれまでの経緯やこれからについてさまざまな観点からの発言があった。話をまとめてみる。

 今回、否決となったのは、石原都知事自信が条例について課題があると発言をしていたことから、取り下げをすべきと民主党などが主張していたにたいして取り下げなかったことから否決となったもの。

 今回の条例では児童ポルノが注目されていたが、暴力表現も入っていた。もし、成立するとアンパンマンの「アンパンチ」もダメになっていたかもしれない。規制するほうが説明責任を果たすべきだが、賛成していた側はやったのか。都は解説をしたが、解説するような条文じたい失格。それほど問題のある条例だった。

 今回は否決になったが、油断はできない。条例文を手直ししての提出された場合や何かの見返りを用意して議員の切り崩しに出られると次はどうなるか分からない。規制する側は何度も提出できるが、反対する側は一度でも許してしまえば、そこでおしまい。時間をかけて運動を続けるしかない。

 知事は条例を出し直すということには腹が立つ。日本語の読み方が分からないと批判しているが、法律の専門家である弁護士会が問題のある条例として反対していることをどう思うのか。出し直すために検討するというが誰が検討するか。協議していたことになっている委員会の委員は同じまま。しかも都知事が任命することや部下の都職員が入っている委員会だ。恣意的な内容になってしまうのではないか。

 今回の動きは、民主党の国政からのバックアップもあったが、今後の政治情勢も考えなくてはならない。今の内閣には規制反対派が多いと思うが、参議院の結果次第で連立などとなると条件は変わってしまうことになる。参議院選挙も重要だ。
 そして、今回の件では複数のメディアが同じことを言っていることがあり、何かの意図があるのではないか。誰が得するかで考えるべきで報道の行間を読む必要がある。

 2004年に青少年健全条例の改正が行われているが、子どもの夜間外出を規制している。本来は親の仕事ではないか。都は、電車のなかでの飲食や化粧を規制しようともしていた。自分に関係があることだけに関心をもつのではなく、今の流れのベクトルを読まないとならない。
 児童虐待と青少年健全育成とは違う議論なのに今は混同されてしまっている。問題は貧困。社会にストレスがたまっていることではないか。子どものことを本当に考えているのか。公権力がなりふり構わずきだ。危険な状態だと思う。

 しかし、今回の否決は、“おたく”が90年代に政治参加をしてからの歴史的なこと。これまでは、ロビー活動などでの条件闘争でしかなく正面きって否決したのは初めてだ。こんなに粘っている市民運動はないと思う。自信を持っていいと思う。

★公権力の暴走を止める役目を担っているのは議会であることを示したのが今回の結果ではないだろうか。

 会の終わりに挨拶に立たせていただいたが、都議会だけではなく、区市町村の議会では生活に密着した条例などが審議され決定されている。このことに住民が気がつき議会に関心を持ってほしいと話したつもりだ。提出されている議案について、どれだけ議会がチェックできるか。もしも課題があれば修正ができるかなど議会の本来の役目に気がついてほしいとの願いからだった。
 議員も含めて、議会の本来の役目にどれだけの人が気がつくかで、このような公権力が暴走しているような条例を止められるかが、かかっているように思えてならない。

 今回は、長年運動をされてきた人たちと議員のコンタクトができたことで否決へとつながったが、都議会へのコンタクトがなかったら、あるいは、議員が気がつかなかったら、否決まではならなかったのだろう。松下都議がガラスの上を歩いているようなもの。メディアが本質をなかなか報道していない、と発言していたが、今回の否決は、偶然の産物だったのだ。今後も都議会に任せておくのではなく、その都議会自体を議会の役目を果たしているかを住民が見ていく必要があるはずだ。

【参考】
弁護士山口貴士大いに語る