ネット選挙と基本構想策定の義務化削除法案 議会改革も参議院選挙で先送り

 国会が閉会し事実上の参議院戦選挙が始まるが、選挙期間中のネット解禁(公職選挙法の一部を改正する法律案)と市町村への基本構想の策定義務化をなくす法案(地方自治法の一部を改正する法律案 ※)は閉会審査となり先送りとなった。廃案ではないのでまだ良いとしても、ネット選挙は解禁すべきと思うし、1丁目1番地の地域主権は後退すべきではないと思う。
 地域主権がどうなるか分からないが、第五回地域主権戦略会議の資料を読んでいたら、非常に興味深い資料が提出されていたことに気がついた。『地方行財政検討会議資料(「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」)』というもので、現状の地方議会の課題が今後、進むべき方向性についてが良くまとまっていたからだ。この会議もひと休み状態のようだ。早急に進めるべきだ。

 武蔵野市議会の議会改革はひと段落となったが、今後を考えると、この資料は武蔵野市議会以外でも参考になると思う。
 この資料から議会関係を下記に転載するが、私が考えた今後の議論のポイントは下記だろう。

●地域住民自身が選択できるような姿を目指すべきであり、通常の条例の上位に位置する基本条例(「自治憲章」)や住民投票制度の導入が考えられる。

●現行の議会では、市長支持派(与党)が議会で多くなると市政運営はやりやすいが、チェックが甘くなり、議会の機能を発揮しなくなる。野党が多くなると市政運営の妨げになることが多い。
 ↓
憲法改正を行わない前提では下記の改革による市政運営を行いやすくするのではないか。
(a)議会が執行にも責任を持つ(執行部に議員がなる=市長の部下になる)
(b)議会と執行機関それぞれの責任を明確化することによって、純粋な二元代表制の仕組みにする
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自治体によって、どちらかを選択してもいいのではないか

●議会のあり方の見直し
 現状の議会は、政策形成機能、多様な住民の意見の反映、利害の調整、住民の意見の集約の機能を持ち、これを十分に発揮することが期待されているが出てきていない。議員間又は専門家との政策議論が行われていない、財政状況や公金支出への監視が十分でない。住民との直接対話、住民参加の取り組みが十分に行われていない。
 ↓
 ・議員を少数にしてプロ化するか、多人数の議員により審議を行うか検討する。
 ・現行の選挙は、個人本位だが、政策本位、政党本位の選挙制度に変更すべきではないか
 ・議会の果たすべき役割、議員の職責・職務等を法律上明らかにすべきかどうか議論を行う。

 これらの指摘はもっともだと思う。これらの指摘に対して議会が自治体運営の責任を持つようになったり(基本構想、基本計画への議会の関与。事務事業ごとの議会による評価)、議会で議員同士が議論をする(自由討議)、住民との意見交換会を行う(議会報告会、一般会議)などの改革を行っている議会も少数だが増えている。このような議会になれば、国から地方議会の改革を考えてもらうようなことは必要ないと思うのだが。

 参議院選挙で地域主権はひと休み。参議院選挙が終われば、しばらくは国政選挙がないと思うので、早急に国会を再開し審査してもらいたい。
 そして、ネット解禁。国政選挙がしばらくはないとしても来年には統一選挙地方選挙があるなど、ほかの選挙は山ほどある。国会議員のことだけを考えないで地方議員や地方のことも真剣に考えて、早急に解禁してほしいものだ。自分たちの選挙のことだけ考えていないか心配だ。

※ 総務省のサイトに改正条例案と提案説明がある

「地方自治法抜本改正に向けての基本的な考え方」(第1分科会関係)(案)
平成22 年5 月24 日

2.地方公共団体の基本構造の決定方式

(地方公共団体の基本構造と憲法)
○ 日本国憲法は、議事機関として議会を設置すること、長と議会の議員を住民が直接選挙することを求めている(第93 条)。これは、地方公共団体の基本構造として、執行機関として独任制の長、議事機関として合議制の議会を設置し、長と議会の議員をそれぞれ住民が直接選挙する、いわゆる二元代表制を採用していると考えられている。これを受けて、地方自治法では、議会と長の関係を含め、地方公共団体の基本構造を定めている。住民の直接選挙によって選出された長と議会は、健全な緊張関係を構築しつつ、各々の役割を的確に果たしていくことが期待されている。

○ 日本国憲法が地方公共団体の基本構造に関し、どのような組織形態を許容しているのか、第93 条の解釈については様々な立場があり得る。地方行財政検討会議としては、日本国憲法の伝統的な理解に沿った二元代表制を前提としつつ、地方自治法が一律に定める現行制度とは異なるどのような組織形態があり得るかを検討していく。

(地方公共団体の基本構造の決定方式)
○ 地方公共団体の機関の権限と責任、その選出方法等に係る地方自治法の規定は、住民が代表を選出し、その意見を地方公共団体の意思決定に反映させるための仕組みであり、住民自治の基本ルールを定めるものにほかならない。このように地方公共団体の組織及び運営や住民自治の仕組みについての基本的事項は、日本国憲法第92 条に基づいて法律で定められるべきである。

○ 他方、現在の地方自治法の関連規定を見たときに、真にこのような観点から必要なものか、必要以上に画一的になっているのではないかという指摘がある。地域住民が自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにする観点からは、地方公共団体の組織及び運営や住民自治の仕組みについても法律によって定められる基本的事項の枠組みの中で可能な限り選択肢を用意し、地域住民自身が選択できるような姿を目指すべきである。
この場合の選択の方法としては、通常の条例のほか、通常の条例の上位に位置する基本条例(「自治憲章」)を考えることもでき、また、住民投票制度の導入を構想することもできよう。

3.議会と長の関係の見直しの考え方

(1) 現行制度の課題
(現行制度の独自性)
○ 現在の地方自治法は、執行機関としての長と議事機関としての議会を設置し、長と議会の議員をそれぞれ住民が直接選挙することとした上で、
・ 議会は長に対して不信任議決を行う権限を、長は議会を解散する権限を有することとし、
・ また、議会運営について、議会を長が招集することとし、予算案の提出権限は長に専属させ、議会の修正権に制約を課す一方、議案の提出権を長にも付与し、
・ さらに、長による契約の締結、財産の取得・処分、訴えの提起、副知事・副市町村長人事等の執行権限の行使について議会の議決・同意を義務付けている、など、議院内閣制の要素を取り入れるとともに、議会が執行権限の行使についても事前に関与する独特な制度を採用している。

○ この制度は、長、議会の議員をそれぞれ独立して直接選挙で選出する政府形態において決して一般的な制度とは言えない。例えば、アメリカ合衆国の連邦政府において大統領と連邦議会の議員がそれぞれ住民の選挙で選出されるが、連邦議会は大統領に対して不信任議決を行う権限を有せず、州政府及び強市長制を採用する地方公共団体における長と議会の関係についてもこれと同様となっている。

(議会が果たすべき機能の観点からの課題)
○ このような長と議会の関係は、議会による執行機関の監視を行う機能という観点から、長による執行権限の行使に対する監視が事前の段階を含めて確保される制度であるというメリットが指摘される一方で、実態としては、
・ 長が執行権限を行使するためには議会の理解と協力を得る必要があるため、議会の中に与党的な勢力を形成せざるを得なくなる。この結果、議会の執行機関に対する監視は野党的な勢力のみが担うことになりがちである、また、議会に与党的な勢力が十分形成されないときには、議会の執行機関に対する監視が機能するが、長の責任において執行権限を行使することが困難になる。
・ 議会の活動が執行機関の監視に重点が置かれ、団体意思を決定する機関として議会を見たときにその前提となる条例立案などの政策形成について執行機関に大きく依存しがちである。
・ 議決権の行使は、本来、最も重要な議会の権限であるにもかかわらず、現実には長の提案を追認する傾向が見られる。といった問題点も指摘できる。

(議会と長が対立した場合の課題)
○ 現行制度では、長と議会の議員はそれぞれ直接選挙されるから、地方公共団体の行政運営について長と議会が異なる立場をとることは当然に想定される。
○ 長と議会の対立により地方公共団体の行政運営に支障が生ずることがないよう、現行制度は、(ア)議会の不信任議決と長による議会の解散、(イ)議会が議決すべき事件を議決しないとき等における長の専決処分、(ウ)条例又は予算に関する議決等に対する長の再議の制度を用意している。
○ しかしながら、(ア)については、不信任された長が再び選挙で選ばれた場合、また議会が解散権行使をおそれ、長との対立が深刻化しても不信任議決を行わない場合など、対立構造が解消されないという問題が指摘できるほか、(イ)、(ウ)についても長が議会との対立を表面化させることをおそれるため、解決手段として適切に行使されていないのではないかという問題も指摘できる。

(2) 見直しの考え方
(現行の基本構造の見直し)
○ 地方自治法制定から60 年以上を経て、現行の地方公共団体の基本構造は長と議会の間に相互に均衡と抑制のとれた関係を保つ仕組みとして機能し、また定着してきたものであるが、以上に述べたような諸課題を踏まえ、日本国憲法の伝統的な解釈の範囲内で現行のものと異なる基本構造を選択できるようにする場合には、現行の基本構造を次の2つの方向で見直すことが考えられる。
(a)議会が執行権限の行使により責任を持つようなあり方
(b)議会と執行機関それぞれの責任を明確化することによって、純粋な二元代表制の仕組みとするあり方

○ 構造改革特区等、地方公共団体からの提案を見ると、(a)の方向を検討するニーズが存在する。
すなわち、議会が執行権限の行使に事前の段階からより一層の責任を持ち、執行権限の行使の責任は、長とともに議会にあると認識されることによって、議会による執行機関の監視がより一層機能するようになり、また、団体意思の決定機関としての機能も高まるという考え方である。

○ この場合、議会が執行権限の行使に事前の段階からさらに責任を負うこととすることのほか、議員が執行機関の構成員として参画するという関係も考えられる。例えば、現行の地方自治法は議会の議員による長、副知事・副市町村長、地方公共団体の常勤の職員と兼職することを禁止しているが、一部の地方公共団体からは、これを許容するべきであるとの提案がある。イギリスの制度においては議員が住民の直接選挙で選出する長の下に構成される執行機関の構成員を兼職するという形態の地方公共団体が存在するが、一方で、議会と長の役割・権限を考えれば、議員が執行機関に参画し、長の指揮監督下に入ることは問題があるという指摘もある。

○ 他方、長と議会が執行機関、議事機関としてのそれぞれの役割を明確にし、より緊張関係を持った関係を再構築するという観点に立てば(b)の方向も検討されるべきである。
すなわち、議会は団体意思の決定機関としての役割が基本であるとの観点から、執行権限の行使に事前に関与するのではなく、その行使について事後に関与することとし、必要に応じて、執行機関に対する検査権・調査権を行使するという考え方である。この場合、執行機関に対する事後の関与として検査権・調査権を拡充する、また、事後の関与の結果を踏まえて必要な措置を講じることができるよう、条例制定範囲を従来以上に拡大し、これまで長の権限として規則等で定められていた事項も条例事項にするということも考えられる。また、この考え方に立つときには、議会の招集権、議事堂の管理権、議会の予算執行権は議会側が有することになると考えられる。

(地方公共団体による基本構造の選択可能性)
○ 地方自治法が定める基本構造について上記のように(a)又は(b)の方向で検討し、現行制度とは異なる選択肢を取ることが可能とされた場合においては、地方自治法においてそれぞれを選択肢として提示し、その中で選択できることとすることや、基本となる類型を法定した上で、地方公共団体の判断により、これと異なる選択肢を提示することが考えられ、あわせて、検討を進めていく。
また、地方自治法が選択肢を提示する場合、これを選択する地方公共団体として想定するのは都道府県か市町村か、あるいは規模の大きな地方公共団体か、小さな地方公共団体かについても留意する必要がある。

4.議会のあり方の見直しの考え方
(1) 議会に期待される機能とその現状
○ 議会は、団体意思の決定機関、及び執行機関を監視する機関としての役割を担っており、これらの役割を果たすために政策形成機能、多様な住民の意見の反映、利害の調整、住民の意見の集約の機能を持ち、これを十分に発揮することが期待されている。

○ しかしながら、議会の現状は、こうした期待に応えられているとは評し難い。既に述べた諸課題のほか、審議に際し事実上常時執行機関の出席を求めている一方で、議員間又は専門家との政策議論が行われていない、財政状況や公金支出への監視が十分でないという指摘がある。
また、住民の意見反映・集約等の機能の観点から、議員の構成は「住民の縮図」として多様な層の幅広い住民の意見を的確に反映できているのか、住民との直接対話、住民参加の取り組みが十分に行われているのかという指摘もある。

(2)議会に期待される機能に応じた議会のあり方
○ 議会の政策形成機能に着目する場合、議会は専門的知識を有する者で構成されることが望ましいと考えられる。その場合、これらの機能が発揮されるようにするためには、比較的少数の議員で審議を行うことが有効であるという考え方もあり得る。一方、住民の意見反映等の機能に着目する場合、地域の多様な層から幅広い住民が議会に参加することが重要であり、多人数の議員により議会を構成し、審議を行うことが有効であるという考え方もあり得る。
これら2つの考え方を想定して、その実現可能性や課題、実際に効果が期待できるか等について検討を行っていく。

○ 例えば、前者の場合、多様な層の幅広い住民の意見を反映する機能が損なわれることがないかという観点から、後者の場合、多人数の議員で議会が構成されることによって住民の意見の集約が困難になり、議会の権限の適切な行使に支障が生じることがないかという観点から、それぞれ十分な検証が必要である。その検証に当たっては、都道府県か市町村か、あるいは、地方公共団体の規模の大小により、いずれのあり方がふさわしいのか
にも留意する必要がある。
なお、現在の地方自治法は、町村の場合、議会に代えて、選挙権を有する者の総会(町村総会)を設けることを許容しているが、実際には、町村制時代を含め、過去に例があったにすぎない。後者の観点からはこの制度の活用も考えられるが、現行制度のままでは、現実の選択肢となっているとは言い難い。

(3)「住民の縮図」としてふさわしい議員の構成
○ 多様な層の幅広い住民の意見を反映する「住民の縮図」であるべき議会だが、現在の議会の議員構成は、サラリーマンや女性が少なく、偏りが見られる。つまり、「住民の縮図」としてふさわしい議員の構成となっていないとの指摘がある。このために、幅広い住民が議員として活動を行うことができるようにするための環境整備(休暇制度、休職制度、復職制度)を進めることが考えられ、今後、具体的な方策について議論を進める。

(4)議会の議員の選挙制度のあり方
○ 現在の議会の議員の選挙制度は、公職選挙法によって、都道府県議会議員の選挙区は郡市の区域(政令指定都市では行政区の区域)によることとされている。また、政令指定都市の議会議員の選挙区は行政区の区域によることとされている。その他の市町村の議会議員は原則として市町村の区域において選挙され、特に必要があるときは選挙区を設けることができるとされている。

○ 特に、都道府県議会議員の選挙区が一律に郡市の区域によるとされていることについては、市町村合併が進んだ今日、現状にそぐわず、選挙区は市町村の区域を基準とした上で条例で定めることができるようにすべきとの提言があり、今後検討を進める。

○ また、都道府県議会の議員をはじめ、地方公共団体の議会の議員の選挙制度については個人本位の選挙制度になっているが、政策本位、政党本位の選挙制度に変更すべきではないか、選挙制度を変更した場合の議会の構成や地方政治への影響をどのように考えるか、といった論点についても併せて検討を行う。

(5) 議会運営
○ 議会の審議については、一般的に形骸化しているという指摘があり、一部の議会で議会基本条例の制定など議会の活性化に取り組んでいるものの、全体としては依然十分なものとは言えないという指摘がある。

○ 諸外国の例を見れば、イギリスでは、議会運営への地域住民の参加の手法として、議会の本会議や委員会の最後に「市民集会」や「質疑応答時間」が設けられ、地域住民が自由に出席し、地方公共団体の施策について議員に直接質問することができる機会が設けられる例や、議会の委員会に地域住民の代表が参加する例がある。ドイツでも、議会の委員会に議員以外の専門知識を有する住民や学識経験者等を参加させている例があり、アメリ
カにおいては、議員同士の討論を基本としつつ、議会が設置する各種委員会に住民が委員として参加するなど、各国において、様々な形でより充実した議会運営に取り組んでいる。

○ 我が国の地方公共団体の議会においても、議員同士の議論、議員と住民の議論の実施等によって、議会における議論をより充実させる方策を検討すべきとの意見があり、今後検討を進める。

(6) 議員の位置付け
○ 地方公共団体の権限や機能が拡大する中で、議会の果たすべき役割と責任は一層重要なものとなり、これを反映して、議員に求められる活動領域が拡大している。このような状況の中で積極的に議員活動を展開していくためには議員の位置付けの明確化を図る必要があるという考え方に立って、平成20 年に議員提案によって地方自治法が改正された。具体的には、議会活動の範囲を明確化するため、議会が、会議規則の定めるところにより、議案の審査又は議会の運営に関し協議又は調整を行うための場を設けることができることとされ、あわせて、議員の報酬に関する規定を他の行政委員会の委員等の報酬に関する規定から分離するとともに、報酬の名称を「議員報酬」に改めることとされた。

○ これに加えて、議員が住民から選挙で選ばれ、その活動内容が幅広いという特性から「公選職」として位置付けるべきという提言があるが、議会の果たすべき役割、議員の職責・職務等を法律上明らかにすべきかどうか、この点が明らかでないことによって議員としての活動にどのような支障が生じているか、議論を行う。