国民生活センターが調査発表  学童の中途退所に問題が潜む

 独立行政法人国民生活センターが、全国の学童保育の環境整備についての調査研究を発表、行政への提言を行っている。これを見ると、学童保育への国の支出額は非常に少なく自治体がほとんどを持ち出していること。ケガ・事故報告を分析し、事故防止策をたてている自治体は12.8%しかないことがわかる。
 そして、なによりも注目したいのは中途退所についての提言があることだ。子どもが行きたくない学童は、結果として子どもにとっては不幸な空間だと思う。保育は成長産業と菅直人首相は発言しているが、学童保育を忘れてしまっては困る。学童の不幸を最小にしてもらいたい。



 この調査研究は、2010年1月29日に政府が決定した「子ども・子育てビジョン」のなかに、放課後児童クラブ(学童保育)の利用児童を30 万人増だけではなく、「質の改善を図る」としていることから、量だけではなく、質についても調査をおこなったものだ。主に子どもの生活環境、ケガ・事故情報の収集・分析体制、予算措置状況、契約の適正化、安全面への取り組みを調査したもの。調査を踏まえて子どもの傷害予防、社会福祉、学童保育の各専門家と法律家による「学童保育サービスの環境整備に関する研究会」(座長 松村祥子 放送大学教授)を設置し、調査結果を分析、行政へ向けて提言となった。

 
 提言は多様におこなれれているが、注目したいのか下記の項目だ。

・国は運営実態に見合う補助額、補助要件を検討する。
 国は設定した補助基準と市区町村が実際に負担している運営費等の大きな隔たりを見直す。また、補助対象外の施設要件等を見直し、指導員の処遇改善等に資する補助のあり方の検討が必要である。

・「中途退所児童」が多い状況の改善を、事業内容向上の課題と位置づけて取り組む。
 年度途中の退所児童の中には、「子どもが学童保育に行きたがらない(友達関係や指導員の対応の問題)」がある。質や制度自体の課題として捉え、サービス提供体制や支援への配慮が必要である。

・都道府県は管内の指導員数などの実態を把握し、研修を通して人材を育成し、質を拡充する。
 指導員の資質向上を図る研修を計画的に実施し、受講機会の拡大に努めて、人材を育成し、指導員の待遇を改善し、市区町村を支援して質を拡充する。

・学童保育の「施設」、「人」、「財源」の確保へ向け国・都道府県のリーダーシップが求められる。
 国・都道府県は率先して、事業の位置づけ・基準を検討し、指導員の待遇改善・人材確保や施設・設備の確保へ向け、必要な財政支援のデータを収集し、学童保育の拡充への取り組みが重要である。

 以前から指摘していることだが、国が想定している学童保育事業の単価が低すぎ、補助金自体がスズメの涙的な金額でしかないことをこの調査でも示しているのだと思う。必要な事業には必要は費用はかけるべきだ。

 そして、今後、最も注目しなければならないのが、中途退所児童だ。

 調査では、『待機児童は全都道府県にわたり、さらに把握されている中途退所児童数は待機児童数より多い』との分析もある。つまらない、行きたくないで子どもが退所するケースを聞くが、学童保育が第二の家庭と言うのであれば、家庭に帰りたくない子どもがいることになり、学童保育の中身に大きな問題を持っていることを示すのが中途退所だと思うからだ(当然だが、転居などは省く)。真剣に学童保育の運営者(自治体など)は考えなくてはならないはずだ。
 武蔵野市も含めてだが、施設整備を重視したきたことから肝心の中身、ソフトについてあまり考えてこなかったと思う。怪我がなければ問題ない、静かにしていればそれでいい。遊びまわるな、駆け回るなという“ことなかれ保育”になり、つまらない学童、子どもには居心地の悪い空間、結果的には子どもにとっては不幸なことになっていないのかを保護者も真剣に考える必要があると思う。

 子どもにとって不幸な空間にならないようにするには指導員の力量が最も問われていると思う。その力量を確保、発揮してもらうには、指導員の待遇改善も重要になるだろう。このことが明確になっているのが上記の提言であり、この調査研究の成果だと思った。

【参考】
国民生活センター
 学童保育サービスの環境整備に関する調査研究-都道府県の取り組みに大きな格差-

川名ゆうじ 学童クラブ夜7時まで… 前進だがそもそもの問題は未解決