議会、議員と市民との距離                     市民と議員の条例づくり交流会議 in 九州 報告 その2

 基調報告の後は、仲道俊寿大分市議会議長、田中隆敏熊本県御船町議会議長。市民側からの発言として神戸章吾指宿青年会議所元理事長の三つの実践報告があった。議会、議員と市民との意見交換、接点づくりが重要なこと。議会、議員の仕事を知ってもらうことが議会不要論への一番の特効薬なのだろうと思った。

 ■大分市議会

 仲道大分市議会議長からは、中核市としての議会報告会の実践報告だった。栗山など町や規模の小さな自治体であれば小回りが利くので議会報告会は行いやすいとは良く聞かれることだが、中核市という大規模な自治体での議会報告会はどうだったのか興味深いものがあった。

 大分市議会の市民との意見交換会では、議会の役割や組織体制、議会改革への取り組みについての説明も行ったが目的は政策立案のため。交換会での意見を市議会の各常任委員会振り分け、委員会として回答をするとしていた。意見交換会は、各地区の公民館を回り会場ごとに議員が最低一回はかかわるように実施。宣伝のために古参議員も一緒になり街頭でビラも行ったのだという。
 具体的な政策は、初年度には議会基本条例。二年目の現在は、仮称子どもに関する条例制定についてアンケートや市民意見交換会を実施しているという。子どもに関係する条例には、例えば子どもの権利条例などでイデオロギーのぶつかり合いになることがあるが、大分市議会では、制定すべきかからの問いかけをしているとしていた。

 ■御船市議会

 事例報告の二番手は、田中御船町議会議長。御船町議会で制定した議会基本条例と通年議会の取り組みについてだった。
 御舟町議会は栗山町に視察にいったところ御船の町民から視察の報告をしてほしいと要望された。しかし、全員協議会を三回も開き実施を検討したが反対となってしまった。そのため、住民主催で行うことになり、この報告会で議員が自身を持ち、議会基本条例へつながったとされていた。
 そして今では、議会の会期を通年として(通常は武蔵野市議会のように年に4回)、毎月議会を開催し一般質問を行うようにしている。通年としたことで、会期の縛りがなくなり、いつでも機動的な議会活動ができるようになり、デメリットはない。報酬は以前と変わらずだが、活動は飛躍的に増えている。なぜ基本条例が必要かといえば、開かれた議会。町民と歩む議会。行動する議会が御船町議会であり、町民の良い暮らしのために、と言い切っていたことは印象的だった。
 田中議長のお話を伺うのは二回目だが、山本孝二町長の改革と相乗効果をもたらせていることが良く分かる。この話は別の機会に。

 ■指宿

 三番手の報告者は、神戸指宿青年会議所元理事長。市議会議員選挙のさい、市民として市議候補者にマニフェスト作りを要請し市議選立候補予定者の公開討論会を開いたことの報告だった。公開討論会は、県議会議員選挙や衆議院選挙でも行っているのだそうだが、候補の全員が参加しなくても実施したのだという。なぜこのようなことをするのかといえば、市民は議員をほとんど見たことがない。どういう人かを知ることからはじめたもので市民にとってデメリットはないから。全議員の参加ではないので、議会全体とではないが、参加した議員との距離は縮まったとされていた。

★三つの実践報告を聞いて思ったのは、市民と直接対策することの重要性だ。議員は全市民の代表であるはず。特定の人だけ、極端なことを言えば、自らの支援者だけと話すだけの内弁慶に議員はなっていないか。その特定の利益代表になっていないかを常に考えていなくてはならないと思う。そのためには、多くの市民と接すること、話すこと。そして、要望されるだけ、聞くだけではなく、実現するには何が課題か。本当に必要なことなのか。他に優先させるべきは何かなどを市民と議員が議論できるようになることが必要ではないだろうか。

 議会報告会や通年議会の実施は、改革を進めている議会は標準装備といえるのかもしれない。だがあくまでも、道具であって目的ではない。いかに市民と議会、議員が近くなれるか。自分自身のことも考えて大きな課題だと思った。田中議長の、今求められているのは議員の資質向上。ここを改革の主眼に置いた。議会基本条例ができて議会が活性化したのではない、との発言は意味深い。
 司会者の広瀬教授が、議会、議員から日常的に情報の発信がない。市民が知りたいことが伝わっていないことも、議会が見えないことにつながっていると指摘されていたが、私自身も含めて考えなおしてみようと思った。市民と議員の距離を縮めることがまず必要だ。