社協と福祉公社の移転問題 陳情は継続に

 5月11日の市議会厚生委員会で「市民社協と福祉公社の社屋建設に関する陳情」の審議と移転についての検証委員会を設置したことの行政報告が行われた。陳情文には、移転先として想定している土地の所有者である事業者を優遇することになり、市の事業を受託していることから、今後、公平な事業の受託ができなくなると指摘されている。市はこの懸念を否定。移転については、今回の案以外も検証で検討してもらうとしていた。


 検証委員会は、市の移転計画の現行案(※)と他の場所や手法について、社会福祉事業の有識者、建設・不動産事業の有識者と弁護士、公認会計士、税理士の5名によって構成され、今年の9月に最終答申を出す予定している。

 審議では、陳情書にかかれてあるように事業者を市が優遇しているのか。なぜ移転する必要があるのかの確認の質問があった。答弁では、事業者として税制上のメリットはあるかもしれないが、市として優遇はしていない。社協と福祉公社が入居している大信ビルは耐震補強がされておらず、ビルとしても補強をしないことを決めた。職員や市民が使う社屋を危険な状況のままにしておくわけにはいかないので、早期に移転しなくてはならない。移転にさいしては、迅速性、確実、基金の活用、社協と福祉公社の一体性の確保の四つの原則で行うとしていた。

 委員からはまた、市民社協と福祉公社が一体で移転しなくてはならない理由はあるのか。説明が不明瞭なのが問題を複雑化しているとの質問があり、在宅福祉を担うのが両団体であり連携することが市民のメリットになるが、両団体や市民にとって良い他の案があれば選択はありうる。説明不足については、理解の度合いの違いや間違ったことも伝わっていることもあり、厳しく反省したい旨の答弁があった。

 審議の結果、陳情は継続審議となった。次回は6月議会で審議される。武蔵野市議会は毎年、委員会の構成を変えるので、新たな委員によって審議が続くことになる。

★今回の移転にたいして社協のボランティアなどからなぜ移転しなくてはならないのか。あまりにも急すぎる。事業者との関係は本当に大丈夫なの、との疑問の声が出ている。このままでは、両団体、市と市民との関係が悪くなるのではないかとの懸念を私は持っている。
 今回の検証委員会には、福祉への情熱、信頼を再生させることもも試されているとの委員の意見があった。確かに耐震補強されていない施設に入居していることは早期に解決しなければならず、移転先を短期間で見つけてきたことは一定の評価はできると思う。
 しかし、市民とともに歩んできた両団体の歴史を考えれば、協力されてきている市民にもっと丁寧な説明と理解してもらう努力が必要だったと現状を考えれば言うしかない。移転すべきことは決まっていたのかも知れないが、それをどれだけ説明してきたか、計画書に書いたからそれで良いではなく、市民側にたってどれだけ説明できたのかが問われているのだと思う。

 検証委員会を設置したことは評価できるが、誰でもが納得できるようにしていくには、今からでもゼロからやり直す気持ちで取り組む必要があると思う。半年という短期間であり、ハードルは高いと思うが、市民の信頼を取り戻すことはやらなくてはならない。場合によっては、耐震への不安はあるが時間をもっと作ることも考えるべきだろう。移転先の社屋のオーナーとなる民間事業者は市のごみ収集事業を受託していること、吉祥寺に設置されたビル内駐輪場のオーナーでもあることから市との関係は大丈夫なのだろうかと市民から疑問視する声も良く聞く。この疑問を払拭する意味でも、きちんと説明し納得してもらうためにも、検証委員会が注目されることになる。

※ 八幡町にある民間事業者の土地に民間事業者が社屋を建設し、両団体が20年間の賃貸契約を結ぶことで入居するという案。事前に3億円の前払い家賃を払うとしているが、必要なのか、法的に問題がないのかなど疑問する意見が議会からもあった。

【参考】
市民社協及び福祉公社事務所移転検証委員会の設置について(5月11日の厚生委員会に提出された説明資料)
市民社協及び福祉公社の社屋移転案について(2010年3月8日厚生委員会行政報告資料)