高速道路の無料化 発案者から新たな提言

 民主党マニフェストにあった高速道路の無料化が迷走している。この無料化の発案者である山崎養世さんが民主党に新たな提案を行った。その内容を送っていただいたので転載する。連休で渋滞中の高速道路。そもそも何のための道路なのかを考え直すべきだと思う。作ることが目的ではないはずだ。約束したことはやってみることも必要だ。



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昨年9月、民主党政権誕生時には高速道路無料化への期待が高まった、前原国土交通大臣は就任直後の記者会見で「総理からの指示書の第一項目が高速道路の無料化の実現であり、総理の指示を受けた。」と述べた。しかし、その後、「高速道路無料化」は迷走を続けている。

先週、前原大臣は、6月から「値上げ」となるケースが多い新しい料金体系を発表した。とりわけ、本州四国連絡橋では、神戸から、鉄道のない淡路島を通って徳島まで行くのに5000円もかかるといった、高額な通行料金を復活させることとなった。いったいマニフェストで約束した高速道路無料化はどこに行ったのだろうか。

そもそも、2010年度の国土交通省の高速道路無料化予算は、当初6000億円が計上されていたが、1000億円に削減された。社会実験として無料化されるのは首都高と阪神高を除く全路線の18%にとどまる。

麻生内閣予算を1兆円も削り、最も大きな予算の削減をした。国交省の目玉政策である高速道路予算をこれほど大きく削減することは不公平としか言いようがない。しかも、ガソリン税の暫定税率の復活によって2兆5000億円もの財源が生まれても、前原大臣は、その一部を高速道路無料化に充てることすらしなかった。

こうした状況を踏まえて、改めて次の提案を行った(民主党国土交通議員政策研究会小委員会の勉強会で発表)。

1.提案の骨子とマニフェストの補強

(1)2010年度から地方路線を永久無料化=今年度分から完全実施(当初予算要求で可能)
── 大都市圏(首都・阪神など)と大都市間(名神・東名・中央)を除く、全国の高速道路を永久無料化。無料化した料金所は撤去し、方針を国民に明確に示す。
【ポイント】
・全国の路線の8割が無料化。しかし、財源は、当初予算要求の6000億円程度で可能。
・永久無料化と料金所撤去によって、安心感と信頼感。
・地方のほとんどに無料化のメリット。

(2)2011年度からの無料化の範囲を縮小し、必要財源を縮小。2013年までの措置に。
【ポイント】
・2013年度までは、無料化の範囲を上記の地方に限定。大都市部や大都市間(料金収入では半分)の無料化は当面先送り。
・無料化の必要財源(マニフェストでは年間1兆3000億円)は縮小し、財政に貢献。

(3)橋の料金を一本化
── バラバラである橋の料金(関門橋4キロ350円、明石海峡大橋(神戸-淡路)4キロ2300円、アクアライン15キロ800円など)を統一する。料金は、高速道路通行料金と同じ1キロ25円とする。
【ポイント】
・特に不公平感が強く、極端に高い、橋の料金の大幅値下げで地域の不満解消。
・年間1000億円以下の財源で可能。
((1)と(3)を合わせて7000億円の財源必要)

(4)ガソリン税の暫定税率分での財源確保
── 本来、自動車ユーザーに利益還元すべき2.5兆円の財源から、無料化や橋の料金値下げの財源を優先確保する(暫定分の2割程度で可能)。
【ポイント】
・高速道路ユーザーは道路財源のうち、1兆円以上を負担しているから、無料化財源に充てることは受益者負担原則にかなう。
・自動車ユーザー全体へのメリットにもなり、不満解消へ。

(5)出入り口を増設し、SA,PAなどの自治体への払い下げと公共交通の事業参画、環境政策実施など関連措置。
【ポイント】自治体の財源確保と地域主権確立。交通多様化へ。環境対応も。

2.全体的効果
・マニフェストおよび政権への信頼回復。
・予算減額による財政への貢献。
・強固な地方メリット。
・環境や公共交通への配慮。

無料化や値下げというと、財源が問題になるが、一部有料化を維持することと、ガソリン税の暫定税率分が約2.5兆円あることを勘案すれば、前述の(1)と(3)を実行するのに必要な財源7000億円を確保することは十分可能だ。

もともと高速道路ユーザーは、道路財源のうち1兆円以上をガソリン税を始めとする税金の形で負担しているから、これを高速道路無料化の財源に充てることは受益者負担の原則に悖ることはない。

無料化の実施と同時に、出入り口を増設すれば、一般道路との接続がよくなり、高速道路が生活道路に生まれ変わるため、新たに一般道路を建設する必要が減る。一般道路の混雑緩和や交通事故とCO2の削減にもつながる。
さらに、サービスエリア・パーキングエリアなどを自治体に払い下げれば、自治体は財源を確保し、地域主権を確立できる。

また、公共交通にも十分配慮し、交通の多様化を進めるため、バスやフェリー会社に優先的に地域交通や街づくりに参画させることも掲げてはどうだろう。

高速道路無料化を起爆剤にして、沿線の出入り口付近の地域がそれぞれの特色を生かして、企業や産業を興し、日本のどの地域でも住める、そんな国土に生まれ変われるのか、この国は、いまその瀬戸際にある。

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【参考】
山崎オンライン