都のアニメ、漫画規制の狙いは?

 東京都が、先の都議会で継続審議となった「青少年の健全な育成に関する条例改正案」についての質問回答集を都のサイトで公表している。主な質問内容には『「非実在青少年」のパンチラや、おっぱいやお尻が見えるシーン、裸のシーン、入浴シーンやシャワーシーンがある漫画は、全て規制されるのですか。』などがあり、答えを読んでみるとお堅い行政のサイトとは思えない言葉が並んでいる。このことは横に置くとして、そもそも、都が規制しなくてはならない理由が今ひとつ明確ではないように思う。4月23日に開催された民主党武蔵野のサポーターズフォーラムでもこの点が指摘され、隠れた意図の指摘があったからだ。

 フォーラムでは、松下玲子都議会議員の都政報告の後に、この問題について山口貴士弁護士が課題点を指摘。会場との質問、議論となった。フォーラムの内容はツイッター『東京都議会の舞台裏で何が起きたか?フォーラム 』などで“生中継”されていたので参照してほしい。

 なぜこの条例の改正案が出されたかだが、山口弁護士は、条例の改正案について、不透明、情報も非公開なことが多い。都議にも事前に知らせないで審議を始めようとしていた。反対の声が出てきてから都が否定にはしってきたが、説明は欺瞞的だ。マスコミもおかしい。都庁クラブの記者は、都の情報を鵜呑みで条文をまともに見ている人がほとんどいないのではないか。なぜ規制しければならないかではなく、規制しなくては、規制ありきで始まっている。解釈しだいでなんでも網にかかってしまう、とそもそもの策定過程に問題があることをまず指摘していた。

 改正案が何を目指しているかについては、条文を見ればわかるが、知事がの言葉が多く知事が決めることが多すぎる。公権力をそこまで依存していいのか、都の価値観を押し付けようとしているのではないかと指摘。そして、青少年は保護すべき対象と考えているのではないか。そのようなことを続けることで、依存する人格になってしまう。もろい人間になる。青少年期は誰もが通るもの。そこまで規制するべきなのか。海外への支援を例に出し、魚を与えるのではなく、釣り方を教えるべきではないか、との見解を示されていた。

 また、このような規制が行われることで民主主義の行方もおかしくなるとの指摘もあった。それは、表現の自由の問題だ。表現の自由を憲法が保障しているが、これは少数派を守るためにある。多数がいつも正しいとは限らず、少数派の意見を尊重することが民主主義の基本だが、その表現を規制されてしまえば、少数派がカムバックする道がなくなってしまう。これくらいなら規制はいいだろうと少しずつ規制されていくことで、最後にはどうなるかわからない。消費税なら戻せるが、表現することがなくなってしまえばどうなるのだろうか、との根本的な問題も指摘されていた。

 条例の改正案は、都議会では珍しく継続審議となっている。6月の都議会で再び審議される予定だ。成立するのかあるいは、否決、廃案となるかは分からない。いつのまにか、そっと規制しまえとならないように多くの人が関心を持つことが必要だ。
 会場との議論のなかで、規制が増えたほうが警察の裁量権が増えることになる。力関係から利権が生まれるのであって、アニメや漫画などのコンテンツ産業が増えるよりも天下り先ができればいいとの考えがあるのでは、との指摘もあった。気になる点だ。
 最後に、松下都議が「政治に関心を持って欲しい」と話していたが、まさにそのとおりだろう。

★今回のイベントに参加されていた人の多くは、ツイッターなどで知った人が多かった。会場参加者有志で“反省会”をしたが、以前からこのような規制に対して反対してきた人が多いこと。今回の規制には多くの女性漫画家も反対していたのも分かった。新しいメディアの力を知ったように思う。アニメや漫画への規制の問題だけではなく、民主主義の問題としても考えるべきだ。ちばてつやさんのブログがさらに心に響く。
 この集まった力を、今後、どのように活かしていくかが私も含めて政治に問われている。知られないうちにそっと規制を強めていく。その行く先がどうなるか。隠された意図も考えなくてはならない。
 

【参考】
東京都 東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集」の作成について
毎日新聞 都青少年健全育成条例:改正案 漫画やアニメの成人指定、都が質問回答集公表 /東京
ITmediaNEWS 「綾波レイのヌードはOK」――都が条例改正案のFAQ公開、「条文と違う」と指摘も

Ceron.jpセロン 松下玲子都議会議員(民主党)都政報告会(プラス民主党武蔵野支部のサポーターズ・フォーラム)に行ってきました。その1
表現規制について少しだけ考えてみる(仮)