学校の土曜日

 東京都教育庁は、「土曜日における授業の実施に係る留意点について」を都内自治体の教育委員会などに通知した。月に二回を上限として土曜日の授業実施を認めるものだ。
 武蔵野市をはじめ、各自治体ですぐに土曜日の授業が始まるかは分からないが、実質的に土曜日に授業が行われていることや私立では実施されていることが背景らしい。ゆとりのために土曜日の授業をなくしたのに、ゆとりはかえってなくなっているように思えることから、基本的には土曜日の授業は実施したほうがいいように思う。

 通知文には、下記のように平日や土曜日の実態が記されている。

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土曜日等の学校の状況
・現在、補習等のために多くの教員が土曜日に出勤
・週時程が過密で平日に補習等を実施できないことから、土曜日に行う学校が増えてきているが、指導を要する児童・生徒全員を対象とすることが困難
・十分な授業時数を確保することが困難なことから、長期休業日の短縮を実施する学校も毎年増加

平日の学校の状況
・週時程が過密なため、児童・生徒会活動や学校行事のための準備、教育相談などの教育活動を行う時間の確保が困難

新教育課程実施後の状況
・新学習指導要領の全面実施に伴い、授業時数が増加し、これまで以上に過密な週時程を余儀なくされ、児童・生徒及び教員の負担が増大
・週時程がさらに過密となり、教育相談や学校行事のための準備、児童・生徒会活動のための時間の確保が困難
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 これらのことから、毎週ではないにせよ、土曜日に授業が実質的に行われていることが分かる。そのため、下記の内容で行うことは、かまないとしている。

・確かな学力の定着を図る授業の公開
・道徳授業地区公開講座やセーフティ教室
・保護者や地域住民等をゲストティーチャーに招いての授業

 学校関係者に伺うと、新学習指導要領で決まられている授業時間を確保したいが時間数がたりない。さらに、地域行事や保護者への対応などの時間も増えているのでさらに足りなくなっている。また、土曜日に運動会や公開授業を行うと月曜日が振り替え休日になるが、土日が祝日になった場合に月曜日が休みになるハッピーマンデーもかさなり、特に月曜日の授業が難しいとの話はよく聞くことだ。
 授業数が足りないために夏休みを削ったり、土曜日に授業も行う学校もある。武蔵野市の場合は、都民の日や開校記念日を休みにしないことで時間数と確保しているが、ぎりぎりであることは確かだろう。

 土曜日に授業はない、ゆとりになっているという建前から、土曜日に授業、あるいは地域行事を実施することが望ましいとはいえないため、現実を優先させた消極的に実施を求めているということだろうか。

■ゆとりとはなにか

 自分の小中学校時代を思い返してみると、放課後や学校帰りの道筋にいい思い出が残っているように思う。授業時間のゆとりではなく、授業以外の部活も含めた放課後の時間が人として豊かな体験をする貴重な時間、ゆとりになっていたように思う。
 また、土曜日に教師が授業を行うことで夏休みに長期間の休みを得て、さまざまな体験、研修を行い、その経験を授業や子どもたちにフィードバックすることもあったと思う。多少、授業内容から脱線しても普段の教室では体験できない話を教師から聞くことも子どもにはいい経験になるはずだ。
 このようなことが重要と考えれば、土曜日に授業をして、平日の放課後にゆとりを持たせるのであれば、土曜日に授業を行ったほうが良いのではないだろうか。

 しかし今回の通知を見ると、授業時間が足りないから土曜日も使ったほうがいい。とにかく授業時間をクリアすべきだとの狙いに思えてしまい、素直には賛成できない複雑な気持ちだ。

 ゆとりとはなにか。子どもが成長するには、どのような時間が必要なのかをもっと考えるべきではないだろうか。学校は授業だけの場所ではないと思う。