地域主権  地方に任せると本代は道路に?

 民主党政権では、地域主権が一丁目一番地。地域主権と地方分権と何が違うのか、よく見えないが、国が地方、地域をコントロールする仕組みから、地域のことは地域で考えるようにシフトしていくことは確かだろう。
 でも、本当に地方、地域に任せて大丈夫か、との疑問もあるはずだ。その理由のひとつに一般財源化された学校図書館(図書室)の図書購入費のデータがある。本を買うために国が予算をつけていたのだが、本ではなく他に予算を使っている地方自治体が多いことが調査で分かっていたからだ。


 平成20年4月に文部科学省が『「学校図書館図書関係予算措置状況調べ(平成18,19年度)」の結果について』を公表している。

 この調査は、12月議会の一般質問の下調べで使ったもの。国が地方自治体の規模から想定した標準的な学校図書館への図書購入費に対して、実際はどの程度の学校図書購入予算をつけているかを全国の自治体ごと、小中学校ごとに調査している。
 
 調査データを見ると学校図書館の図書購入費の2割強の44億円が図書購入以外の別の用途に使われていたことが分かる。
 また、小学校での図書購入予算が標準的な予算額を満たしているかの項目での達成率割合を都道府県別に見てみると、一番低いのが北海道で17.3%。一番高い山梨県の81.0%。東京都は50.8%。全国平均は42.0%(中学校は37.0%)と半分以上の地方自体が、標準的な額を使っていない。言い換えれば、本の予算を他に使っていることになる。なぜ図書購入に使っていないかの理由も調査しているが、ほとんどが、財政事情のためとなっていた。

 このことを考えると、学校図書の購入予算から地域主権にしても安心できるのか、との疑問が残る。

 平成17年に当時の鳥取県知事の片山善博さんが、「進化する図書館~その豊かな可能性を求めて」との講演を行っているが、講義録を読むと、図書館よりも道路や公共工事に予算を使うべきという自治体が多いのではないか。財政難とは言うが地方自治体には公共図書館などの図書を購入する予算があるのに他に使ってしまう「猫ばば」状態になっていると指摘している。

 さらに山口県の情報を発信しているブログ、「A PEACE IN THE SUN」に山口新聞に掲載されていた道路特定財源についての片山さんの主張が掲載されているが、そこには地方自治体が『道路に追加して投入している財源は一体どこから捻出しているのだろうか。その捻出先の一つだと推定されるのが教育費である。例えば、小中学校の学校図書館は~』と書かれておりこの文部科学省のデータを裏付けている。さらに、『高齢者の足が奪われ、病院の医師の確保にも窮している現状にあっても、何が何でもひたすら道路を造り続けることを優先しなければならないのか。しかも、子どもたちのためにせっかく用意されたお金を出し惜しみ、これをネコババしてまで道路につぎ込む必要が果たしてあるのか。もし首長がそう考えているとしたら、議会においてその当否を徹底的に吟味点検されるようお勧めしておきたい』とまでもしている。

 当然ながら「猫ばば」をさせないためには議会がチェックすること。何よりも市民が、それは違うよ考えることが必要だと思う。そのことが、地域主権だと思うのだが実際はどうなのだろうか。

地方交付税は、地方自治体が自ら使い道を決めることができるので、目的以外に使ったからとって違法ではない。でも、学校の本を買うために税金を地方自治体に渡しているのに、たとえば道路建設や無用に思えるハコモノに使ってしまっていいのか、と疑問に思ってしまう。地域主権なんだから、本より道路と地域が決めてどこが悪い、と言われればそれまでだが、その地域の独自財源を使うのではなく、全国民の税金を使うのだからどうなんだ、と私は思ってしまった。日本の未来を考えれば教育であり、本だろうと思うからだ。

■武蔵野市の学校図書購入費

 調査資料から標準財政需要額に対する予算措置額の割合(標準的な予算額に対していくらの予算が付いているかの率。100%を超えれば国の総定額よりも多く、低くければ少ない)で武蔵野市をみると、18年度が187.7%、19年度が119.1%と国が想定している額よりも多くの予算をつけており評価できるものだ。このことはもっとアピールしても良いのにと思う。

 ただし、予算額だけで教育や図書館などを評価はできない。子どもへの貸し出し数や選書方針、蔵書などを総合的に考えなくてはならないはずで、何よりもどのような学校図書館であるべきかの目標を定めるべきだ。これは公共図書館と同様に今、問われると考えて12月議会の一般質問は行った。
 実は事前に子どもへの本の貸し出し数を探してのだが公表されている資料からは見つけ出すことができなかった。基礎的なデータはもっと分かりやすくすべきに、予算はしっかりと誇るだけあるのだから、あとは分かってもらうこと。そして、何に向かっての予算かを明確にすべきと考えたのが今回の一般質問だった。

 参考に多摩26市ごとの小中学校の学校図書館予算の予算措置率を転載しておこう。これだけで評価はできないが参考になると思う。
 下記は、18年度と19年度の率を合算した数字を多い順に並べてみたもの。武蔵野市は、図書購入の予算額は評価できるものの、全国的にも高いレベルにある多摩26市と比較すると上位ではあるが物足りないと思うのは私だけだろうか。

●多摩26市 学校図書館図書関係予算措置状況調べ(%)

     18年度  19年度
八王子  95.4  64.9
立川  112.7  71
武蔵野  187.7  119.1
三鷹  89.7  58.5
青梅  98.2  69.8
府中  206.5  120.7
昭島  163.5  144.3
調布  271  107.6
町田  118.8  92.6
小金井  103.4  58.1
小平  147.8  95.5
日野  113.6  80.6
東村山  104.9  74
国分寺  229.6  143.2
国立  174.9  116.1
福生  204.4  137.2
狛江  119.6  89.9
東大和  66.4  42.9
清瀬  157.7  121.3
東久留米  164.5  110.5
武蔵村山  135.9  83
多摩  108.4  68.7
稲城  119.9  104.5
羽村  92.5  61.1
あきるの  167.6  93.9
西東京  178.7  115.5

●18年、19年の予算措置率合算率順位

合算数値
1 調布  378.6
2 国分寺  372.8
3 福生  341.6
4 府中  327.2
5 昭島  307.8
6 武蔵野 306.8
7 西東京 294.2
8 国立  291
9 清瀬  279
10 東久留米 275
11 あきるの 261.5
12 小平   243.3
13 稲城   224.4
14 武蔵村山 218.9
15 町田  211.4
16 狛江  209.5
17 日野  194.2
18 立川  183.7
19 東村山 178.9
20 多摩  177.1
21 青梅  168
22 小金井 161.5
23 八王子 160.3
24 羽村  153.6
25 三鷹  148.2
26 東大和 109.3